緊急事態宣言が、57日以降もさらに延長される可能性が高まりました。

その理由として、80%の移動・接触自粛が未だ実現できず、新規感染者数の増加が続いているからと報道されています。

 

これについて問題が2つあります。

1.今になっても、都道府県別の新規感染者数と感染者数類型の報道だけで、検査人数に対する感染者数割合が示されていないことです。

国会の議論でも、今後PCR検査能力を高め、PCR検査数を増やす方針が示されています。その結果、今後8割自粛が実現しても1日の新規感染者数は依然として増え続けることが予想されます。これでは、いつまで経っても緊急事態宣言が終わりません。(その一方、検査数が増えれば、検査者数に対する感染者数の割合は確実に減るはずです。)

2.緊急事態宣言による自粛の目的が、コロナウィルス感染を収束させることなのか、感染の増大を抑えオーバーシュウトによる医療崩壊を防ぐことにあるのか、不明確です。両方の目的が同時に専門家委員会から発出されています。

  コロナウィルスの収束は、治療薬とワクチンの実用化が実現するまでは無理なことは明らかで、80%自粛が実現して新規感染者数が少なくなったとしても自粛を止めた途端に第2波、第3波が来る可能性があります。

  そうすると自粛措置の目的は、後者の医療崩壊を防ぐことと言えます。医療崩壊を防ぐことが目的であれば、感染者数の増加を抑えるという医療需要を抑える措置と同時に医療の供給能力を増やす措置も緊急に行う必要がありますが、この供給側の対応が圧倒的に遅い感じがします。東京や大阪の感染症対応ベッドの8割がすでに埋まっていると報道されていますが、すべて重症患者なのでしょうか。東京都が用意した無症状・軽症感染者用ホテルのベッド数のまだ3割ほどしか使われていない現状のようです。無症状・軽症者用のホテルに詰める医療従事者は、必ずしも感染症の専門家でなくても良いのではとも考えられます。

また、各都道府県知事は、自分の管轄内の感染を抑えるのに必死ですが、都道府県の境界を越えた広域的な医療供給体制の構築も考える必要があります。

医療供給能力が高まり、ある程度の感染者数の増大に対応できる体制が整えば、その分経済再開の余地も広がります。

 

よく「手術は成功したが、患者は死んだ」という言葉が、目の前のことのみに気をとられすぎて大切なことを見逃さないための警句として使われます。もし、新規感染者数が減少に転じないので、もう1ヶ月緊急事態宣言を延長して8割自粛を続けるべきだと主張する専門家委員会は、この言葉を胸に刻むべきです。

8割自粛のための営業休止は、5月6日までが限度です。5月末まで続けるように指示すれば企業倒産や個人事業者の倒産が増え、回復しがたい経済的な傷が残ります。それを避ける補償をするための国の財政ももちません。(そのために日銀引き受けの国債の増発をやれば、不景気下のインフレであるスタグフレーションを引き起こします。財やサービスの供給が少ない中で、紙幣の量だけが増えるのですから。)

それでも新規感染者数のはっきりとした減少につながらない場合に、さらに延長して6月末まで継続すべきと専門家委員会が提言したとしても、もはや国民の誰も従わないと思います。

そんなことにならないように、今、政府の専門家委員会は感染症の専門家だけによって構成されていると思いますが、今後は経済の専門家も加えるべきです。

 

1.コロナビールスの特徴は、感染しても過半数の人が無症状であると報告されていることです。(無症状の割合が2/3との3/4 とも言われています。) そうすると、仮に現在の非常事態宣言により、2週間にわたって人と人の接触を100%なくすことに成 功し、ビールスが日本から完全になくなったとしても、非常事態宣言を解除した途端に、海外から無症状の感染者が入国検疫を すり抜けて入国して次々に新たな感染が再開することになります。そして、無症状者による感染が拡大して一定の数に達した段 階で、そのうちの一定割合の感染者に症状が現れ、さらにそのうちの一定割合の感染者が重篤化して死亡する事態が生じます。

すなわち、どんなに緊急事態措置を短期間完璧に行ったとしても、世界からコロナビールがなくならない限り、この事態の収束にはつながらないということです。

(無症状感染者も含めて、一度感染して回復した場合には抗体ができてその後感染しないということであれば、感染を抑制しないで感染者が多くなる方が、むしろ集団免疫が早くできるのではとも考えられますが、この点は医学的な検証が必要です。)

2.コロナビールスに対する恐怖の中心は、重篤化した場合に症状を軽減する薬が、未だ発見・発明されていないことです。有効な薬が開発されて、感染しても適切な治療を受ければ、重篤化して死亡するリスクがなく確実に治癒するということになれば、コロナビールスを恐れる必要はなくなります。

3.感染した場合に重篤化するリスクの高い高齢者や持病のある人は、事前にワクチンにより予防できることが望ましいと言えますが、コロナビールス・ワクチンの開発と実用化には早くても1年近くの時間が必要と考えられるので、中長期的な課題と考えられます。

4.以上を踏まえると、目下の喫緊の課題は、

(ア)  治療薬(症状を抑える薬)の開発です。

簡易検査キットの開発は、できて検査数が増えても(無症状の感染者を含めた)報告感染者数の増加につながるだけで効果的な感染者防止対策に結びつくものではないと考えます。なぜなら、簡易検査キットを使うのは、なんらかの症状がある人か感染者と濃厚接触があった人に限られ、多くいる無症状感染者は依然として検査対象にならないからです。その一方、検査数の増加に伴う報告感染者数の大幅な増加は、かえって一般市民の恐怖感をあおる結果になります。

(簡易検査キットの開発が無意味だと言っているわけではありません。最も喫緊の課題ではないと言っているだけです。)

(イ)  感染すると重篤化するリスクの高い高齢者等や持病のある人(高リスク者)の自己隔離の推進と、それ以外の人(低リスク者)による通常どおりの経済活動の維持です。

高リスク者は、治療薬が実用化されるまでの間は、(家族や介護する人を含めて)周囲の人が感染者であるとの認識のもとに、徹底した自己隔離・防御を行う必要があります。それをサポートする行政の体制や周囲の人々の姿勢が重要です。

(家族が、家の中で。高齢者に対してマスクをかけて接触したり、常に2メートルの距離を置いたりすることに、どれだけの現実性があるのかとの疑問もありますが、効果的な薬が実用化するまでの短期間の処置として、割り切って取り組むことが求められます。)

そのためには、医学的な視点からの高リスク者の判定基準を早急に明らかにして公表する必要があると思います。