恋物語
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10

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朝7時。
山の中だから空気キレイ。玄関前の掃除のため外に出てみると初夏の木々の緑に日の光がキラキラ輝いて見える。

すぅ~~~…

はぁ~~~…

私は両腕を横に広げ、爽やかな空気を吸った。うん。頭の中のモヤモヤが浄化された気分。

{あたし杉崎のこと好き}

昨日のさくらんの言葉。

深く…深く心に刻み付ける。

『よぉーし!ちゃっちゃかやるぞー!!』

『気合い入ってんなぁ朝から…』

後ろから声をかけられて振り向いたら昨日話の中に出て来た松田があくびをしていた。

『寝不足なん?あんま寝てないの?』

『いや~昨日男子部屋まじ盛り上がってさぁ…杉崎くんが鳥栖とかと騒いでてめっさおもしろかったよ』

『は!?杉崎くんて騒ぐようなキャラだっけ??』

『あ~あいつ意外とおもしろいよ。変わってるとも言うかな?』

『へ~…そうなんだ…』

杉崎くんが騒ぐ…想像できないなぁ…見てみたいな…ってダメじゃん私!!!

『松田!喋るのやめて掃除だ!掃除!!』

『へぇーい…』

9

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夜。

先生の10時の点呼も終わり電気も消された大部屋(女子)。

しかし今時の中学生が10時に寝ますか!?いや寝ないだろ☆(反語)

例にももれず部屋の中では隣の先生の部屋にバレないようにみんなコソコソと話をしてる。

私とさくらんも他のコに混じって話をしていた。

『入学して3ヶ月がたったけどさ~誰がかっこいいと思う?』

やっぱり今みんなが興味あることは恋話みたい…☆笑。

『あたし松田くん☆』

松田は私と同じ小学校出身で頭もいい、スポーツもできる、顔もハーフみたいでかっこいい(でも松田はハーフって言うと怒るのだ。褒め言葉なのに。)

『あたしは鳥栖くん☆』

鳥栖はやっぱり私と同じ小学校出身。サッカーが上手くサルっぽい顔。まぁかわいい感じかな??


なんだなんだ??大串小学校はカッコイイ人が多いのか!!?

そうやって思った時


『あたしはね~、杉崎が好きなんだ~☆』

ん???

いや…今、私が言ったんじゃ…ないよね?いやまぁ私も思ってたけど…

『え~さくらちゃんってそうなん~!!??』

『ビックリ~!でもまぁ王子系だよね?』

『がんばれ~☆』

いろんな言葉がさくらんへ向けられる中、私は動けなかった。ただ、ただ畳を見ていた。

『うん!頑張るよ!!小学3年生の時からこの気持ちは持ってるし、やっぱみんなに言っておきたかったんだ☆』

さくらんはホッペタをピンクにさせて笑顔でそう言っていた。


私は杉崎くんを好きになって3ヶ月。
さくらんは4年。
新しくできた友達。



まだ…

まだ間に合う。

忘れられるよね…?

この気持ちは封印しなきゃ。

8

宿泊研修当日。

1年生全員で、『少年の家』に来ていた。少年の家は朝は国旗掲揚から始まって掃除、旗揚げ、カッター漕ぎなど規律も厳しくて軍隊みたいなトコ。でも友達が一緒だしテンションはMAXだった。

でも一つ残念なのは男子と女子の関わりが少ないこと…。

(こんなんじゃ杉崎くんと全然話せないじゃん!!(泣))

は~とため息をついていると、さくらんが話かけてきた。

『えっちゃん?どーしたん?大丈夫?』

『あっさくらん!!うんめっちゃ元気よ☆ありがとう!』

『そっか☆よかった♪今日さぁ夜いっぱい話しようね!!』

『うん☆もちろん♪』

その後、話しすぎと先生に指摘されて掃除を再開した2人だったけど、私は夜のさくらんとの約束が楽しみでしかたがなかった。


その会話で苦しい毎日が始まるとも知らずに。

7

『えっちゃん、おはよ☆』

『さくらん!おはよ~!』

さくらんは本名「花園さくら」。お嬢様みたいな名前だけどめっちゃ元気な女の子。ゆうこと同じ小学校のコで絵を描くのが上手な元気なコ☆

『今度、宿泊研修があるやん?一緒の班になろ~??☆』

『え?あっそっか!班決めておけって先生言ってたっけ!!うん、いいよ♪私もさくらんと一緒がいい☆』

『なら決まりね!!楽しみだぁ♪いっぱいいろんな話しよーね☆☆』


宿泊研修かぁ…杉崎くんはどこの班なんだろ??てか2泊だって!お泊り…楽しくなるといいな☆夜2人きりになっちゃったりして!!!キャーー笑。

6

杉崎くんから借りた本は、普段活字を読まない私にとって読み切るのは難しかった…(汗)
しかも内容怖いし…(泣)

けど杉崎くんとまたこの本について話ができるのだと思うと頑張って読める気がした。

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『杉崎くん。本ありがとう!おもしろかった!』

『本当?よかった。俺作家では芥川が好きなんだ。短編だから読みやすいし人間の感情とかが細かく書かれてて。』

休み時間の短い間だけだったけど杉崎くんとこんなに普通に話ができていることが嬉しかった。


もっともっと杉崎くんのことが知りたいと思った…。