この年になってくると、もう長く着られるいいものを、なんて勧められることが多いんだけど、実はトシとともにせっかちにもなるもんで「来シーズンのことまで考えてられっかよ(ケッ」なんて思うこともあったりして。意外とこの年齢を迎えてから定番だけじゃなくて流行り廃りのあるものに手を出すようにもなってきた。もう来年にはダサくてムリぽくなるんだろうなあ、なんて思えるものとか、今シーズン越せるかなあ、ぐらいのチャチな出来のものとか。よく考えたら若いときのほうがムリしてハイクオリティの定番商品ばかり買ってたような気がする。

昔からコートが好きで、この前韓国で買ってきたのでもう8着目。前世の死因は凍死だったんじゃないかと思うぐらいコート好き。でもなぜか黒いコートだけは持ってなくて。どうも定番過ぎるせいか、かえって納得できるものが見つからないもので、ずっと買わないままきた、という感じ。まあ既製服があまりぴったりこない体型というのも一因ではあるんだけど。やっぱり黒いの必要だわ、と思ったことは何度かあった。

とりあえず手持ちのコートのうち半分は自分で縫ったもので、自分で作れば丈の調整もできるわけだし、久しぶりに作ってみるか、と思い立ったわけです。

そこで夜勤明けのある日、蒲田のユザワヤで黒のカシミヤウール(4800円/m)を購入。カット台に持って行くと「何mですか?」と聞かれたので

「えっ・・・とー、ロングコート作れるぐらい」とフワフワな答え方をすると

「身長どれぐらいの方が着られますか?打ち合わせは?」と畳み掛けられ、困ったぞー、コート作ろうとは思ってたけど、シンプルなーぐらいで具体的なデザインなんて考えてない。まあ足りないよりマシだからダブルってことにしておくとしてー・・・

「打ち合わせはダブルで・・・身長は170cmぐらい・・・で・・・」

ちょっと!人を上から下までジロジロ見るな!

「はぁい、じゃあ2.8・・・3mぐらいは必要ですねー」と、生地のロールをごろんごろん広げていくと3.2mぐらいで終了。

「もうここで最後なんでー、3mにして全部つけときますねー」なんて言われてちょっぴりお得気分、でも結構な材料費。これだけでもうユニ○ロだったら何着買えるんだっての。

それで裏地と芯地を買いに行こうと上階に移動したら、売り場が変わっちゃってる。以前は3階に裏地やらボタンやらミシン糸とかあったもんだけどなー、しばらく行かない間に紳士服地とかカーテン売り場になっちゃってる。案内図を見たら7号館になってるから、トボトボ歩いて移動、ちょっとしっかりした裏地と織りの接着芯(不織布キライ)、肩パッドを買う。ボタンはデザイン決まってからにしようっと、たぶん水牛にすると思うけど。

さて、デザインはどうするか。

結局この生地厚だとダブルにしたらもたつきそうな気がしたので、合わせはシングルにすることに。どうしようかなあ、あまり凝りたくないし。家にある洋裁本を片っ端から見ていくと、もんのすごい昔の別冊ドレスメーキングを発見。それに出ていたパネルライン切り替えのフレアワンピースのデザインを改変してコート用パターンを起こす。実はこの別冊ドレスメーキング、1988年秋冬号(笑)ボディコンシャスが流行りはじめた頃のものですな。そしてダブルにするつもりで生地を多めにしていたので、丈は堂々の120cmにしちまえ、というわけで。ロングどころかマキシ丈のフレアラインという、相当ゴージャス仕様のデザインとなりました。冠婚葬祭にも対応できるようにムダな装飾は一切なし。元デザインにあったフラップポケットも脇のラインを利用した見えないポケットに変更。

次は裁断&しるし付け編です。(多分つづくの)