夫婦の関係が長く続くほど、心の中には見えない境界線ができます。
相手の行動や言葉を通じて、かつての信頼が少しずつ失われていく。
けれどその「終わり」を、真正面から認めることは、とても難しいことです。

ある人は、「まだ夫の中に情はある」と思いたがり、
ある人は、「あの人を支えられるのは自分しかいない」と信じようとします。
しかし、現実の多くはその願いと裏腹に、すでに関係が静かに終わっている。

夫は妻を『憎んでいる』のではなく、

もはや感情を動かす必要がない相手として見ていることもあります。

それは、冷たさではなく、心の機能が自然に『距離を取る』という防衛反応です。


終わった関係を終わったと認められないのは、
自分の存在価値をそこに置き続けてきたからにほかなりません。

「お金をどうするか」「家をどうするか」
そうした現実的な話を並べるほど、心の整理は遠ざかっていくものです。
本当は、どちらが正しいかではなく、

もうお互いが『同じ物語の中にいない』という事実に気づくこと。


それこそが、最初の一歩なのかもしれません。

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