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※重篤な副作用は一般的に発生頻度が低く臨床現場において遭遇する機会が少ない。

そのため、副作用の発見の遅れが重篤化することもあるので、早期発見・早期対応を簡単に記したものになります。

(自分用にまとめたメモなので、抜けや読解ミスによる誤記がある場合もありますのでご了承ください)

 

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の治療薬依存

【症状】

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の治療薬依存とは、ベンゾジアゼピン受容体作動薬に分類される睡眠薬抗不安薬を使用する際に注意が必要なことの一つ。これらの薬を服用するなかで、もともとの不安や不眠などの症状が良くなっても、依存(精神依存や身体依存)が形成されてしまうことがあります。精神依存では、その薬に対して不安や不眠を良くするためにその薬を服用したいと強く感じる気持ちが見られます。身体依存では、その薬を服用することによって心身の安定が得られた状態であっても、薬の減量・中止で不安やイライラ感をはじめとした多彩な精神症状や神経症状を呈する離脱が生じることがあります。離脱に加え、耐性にも注意が必要です。

耐性とは、ある薬をずっと使うことで、もともと得られていた効果が弱くなり、その結果、同じような効果を得るために薬の量が増える現象のことを指します。ベンゾジアゼピン受容体作動薬に対する依存が生じて、薬をやめようとしてもやめることができなくなった状態をベンゾジアゼピン受容体作動薬の治療薬依存といいますが、このような離脱や耐性といった事象が関連する複雑な病態です。

 

【原因になり得る薬剤】

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の睡眠薬、および抗不安薬(向精神薬に分類されない医薬品、ベンゾジアゼピン骨格を持たない医薬品を含む)

 

【対処】

①適切なアセスメント(ベンゾジアゼピン受容体作動薬を使う前に)

不安や不眠を生じる身体疾患としては、内分泌疾患、心血管系疾患、代謝性疾患など多様である

身体疾患を多く併存しているほどベンゾジアゼピン受容体作動薬の処方剤数が増えることが示されており、その安易な使用には注意が必要である

長期処方には、精神疾患の併存が有意に関連していることが示されている 

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の減量・中止を目指すにあたっては、これらの精神疾患の症状コントロールが得られていることが前提となる

睡眠薬として使用されている場合も原発性の不眠症状であるのか、不眠症状が難治化しやすい睡眠障害かなど十分に鑑別する

併用薬剤や嗜好品(アルコール、カフェイン)等により不安や不眠が惹起されている可能性について評価し、可能な範囲でこれらの薬剤や嗜好品の調整を行っていくのも重要

 

②すでにベンゾジアゼピン受容体作動薬が長期に使用されている場合の対処法

睡眠薬の減量・中止を目指すための大前提として、夜間の不眠症状が消失し日中の心身機能が良好に保たれている必要がある

抗不安薬に関しては、指針はないが、さまざまな離脱症状の発現リスクなどを考慮すると、現実的には、不安症状が改善し、安定した経過となっていることが減量・中止の前提であると考えられる

ベンゾジアゼピン受容体作動薬中止は、認知行動療法、時間をかけた漸減、代替薬物療法も考慮

 

【概要】 

(依存の定義)

依存には精神依存身体依存がある。

精神依存とはある薬物に対して強い渇望や欲求が生じる状態を指す。

身体依存とはある薬物を繰り返し使用することによって変化した生理状態を指し、その薬物を使用することによって生理的均衡は保たれるものの、薬物の中断や使用量の減少によって離脱という特異的な症候群をきたす

これらに加え、薬物依存の大きな要素の一つに耐性の形成がある。

耐性とはある薬剤を反復的に使用しているうちに当初得られていた効果が減弱し、その結果以前と同様の効果を得るために使用量が増える現象のことをいう。

精神依存、身体依存、耐性に関する定義は国際的に統一されていないものの、ICD-10の依存症候群の診断基準にはこれらの3つの概念が組み込まれている

 

【早期発見と早期対応のポイント】
(1)早期に認められる症状

精神神経系症状]
不安、易刺激性、不眠、内的不穏、抑うつ症状、精神病様症状、離人感せん妄、聴覚過敏、羞明、困惑、認知機能障害、ミオクローヌス、けいれんなど
自律神経症状]
振戦、発汗、嘔気嘔吐頻脈、血圧上昇など
身体症状]
頭痛、嘔気、呼吸困難な

 

(2)副作用の好発時期

・中断2~3日以内に強く症状が出るとされるが、5~6日後に出現する場合もある

 

(3)推定原因医薬品

・ベンゾジアゼピン受容体作動薬

(一例:ゾピクロン、エスゾピクロン、ゾルピデム、トリアゾラム、リルマザホン、フルニトラゼパム、二トラゼパム、フルラゼパム、クロチアゼパム、エチゾラム、アルプラゾラム 、ブロマゼパム、ロフラゼプ酸エチルなど)

 

(4)リスク因子

・薬物の長期使用、高容量使用

 

(5)発症機序

精神依存の形成には脳内報酬系、つまり腹側被蓋野から側坐核や前頭前野に投射するドパミン神経系が重要な役割を担っていると考えられている。ベンゾジアゼピン受容体作動薬も腹側被蓋野領域に隣接する介在ニューロンのGABAA受容体を調節することによって腹側被蓋野のドパミン作動性ニューロンを活性化させ、精神依存を形成すると考えられている

身体依存の機序として GABAA受容体α1サブユニットの関与が想定されているが、詳細な機序は不明である。耐性については、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の曝露によって細胞内に陥入する GABAA 受容体が増加することや、GABA 結合部位とベンゾジアゼピン結合部位の相互作用が減弱することが耐性を形成する機序の1つと考えられている

 

【治療方法】

①漸減法

1~2週間ごとに服用量の 25%ずつ減らしていく方法(月単位の間隔で減量していく場合も多い)

減量の途中で離脱症状が出現した場合には,いったん離脱の生じた量よりも少し上の量に戻し、再び減量を開始する

長時間作用型薬剤では隔日法で少しずつ休薬日を増やしていく方法もある

 

②代替薬物療法

メラトニン、パロキセチン、トラゾドン、バルプロ酸ナトリウムなどの薬に変更、もしくは併用して、ベンゾジアゼピン受容体作動薬を減量させる(十分なエビデンスが無いので、注意が必要)

 

 

【その他】

(1)医療関係者の対応のポイント

・ 臨床の現場においてはベンゾジアゼピン受容体作動薬の長期・高用量使用を行わないこと、使用した場合はなるべく早期に減量、中止することが推奨されている。

・実際に処方の減薬を提案すると忌避感を示す患者がいるのも事実だが、一般的にベンゾジアゼピン受容体作動薬の長期服用は推奨されないので、患者に十分に説明を行ったうえで減薬法を試すなどの出口戦略を模索していくのが望ましい

 

(2)備考

ジアゼパムに関する研究では8ヶ月未満の服用で5%に離脱症状が認められたのに対し、8ヶ月以上の長期使用では43%に離脱症状を認めたと報告されている

 

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