※重篤な副作用は一般的に発生頻度が低く臨床現場において遭遇する機会が少ない。

副作用の発見の遅れが重篤化することもあるので、早期発見・早期対応を簡単に記したものになります。

(簡単にまとめたものなので、抜けや見解の違いによる誤記がある場合もありますのでご了承ください)

 

《偽アルドステロン症》

【症状】

「手足のだるさ」「しびれ」「つっぱり感」「こわばりこれらに加えて「力が抜ける感じ」「こむら返り」「筋肉痛」がだんだんきつくなる

他にも「麻痺」、「頭痛」、「顔や手足のむくみ」、「のどの渇き」、「食欲の低下」、「動悸」、「気分の悪さ」、「吐き気」、「嘔吐」「糖尿病が悪くなる」などある。

 

【原因になり得る薬剤】

主に甘草やグリチルリチン製剤

漢方薬かぜ薬胃腸薬、肝臓の薬に含まれていることがある

 

【対処】

原因と思われる医薬品の服用を直ちに中止し、病院を受診する。

 

【概要】

アルドステロンは副腎から分泌され、体内に塩分と水をためこみ、カリウムの排泄をうながして血圧を上昇させるホルモンです。このホルモンが過剰に分泌された結果、高血圧、むくみ、カリウム喪失などを起こす病気が「アルドステロン症」と呼ばれています。

偽アルドステロン症」は、血中のアルドステロンが増えていないのに、「アルドステロン症」の症状を示す病態です。

偽アルドステロン症は、高血圧、低カリウム血症、代謝性アルカローシス、低カリウム血性ミオパチーなどの原発性アルドステロン症様の症状・所見を示すが、血漿アルドステロン濃度 (PAC) がむしろ低下を示す症候群である。甘草あるいはその有効成分であるGLグリチルリチン)を含有する医薬品などを服用したことにより生じるものが主体であるが、ミネラルコルチコイド作用を有する他の医薬品によるものや、Liddle 症候群、ミネラルコルチコイド過剰 (apparentmineralocorticoid excess, AME) 症候群、先天性副腎皮質過形成など遺伝子の異常による疾患、そして、11 - デオキシコルチコステロン (DOC) 産生腫瘍などを含めることもある。

 

【早期発見と早期対応のポイント】
(1)早期に認められる症状

・四肢の脱力

・頭重感

・しびれ、筋肉痛

 

(2)自覚・他覚症状

徐々に進行する四肢の脱力筋肉痛

高血圧(自宅で血圧測定が可能な場合は、血圧上昇に留意する)

・しびれ、頭痛、口渇、食思不振

 

(3)副作用の好発時期

使用開始後 10日以内の早期に発症したものから、数年以上の使用の後に発症したものまであり、使用期間と発症との間に一定の傾向は認められない。ただし、3ヶ月以内に発症したものが約40%を占める

 

(4)推定原因医薬品

甘草やグリチルリチン製剤、肝臓の薬、漢方薬など

 

(5)患者側のリスク因子

チアジド系降圧利尿薬やループ利尿薬、インスリンなどの低カリウムになりやすい薬剤

 

(6)早期発見に必要な検査と実施時期

特に自覚症状はないが、血液検査にて低カリウム血症を発見され、本症の診断に至った例も少なくない。

投与開始時、あるいは投与量変更時は1ヶ月以内、維持期でも3~6ヶ月に1回の定期的な血清カリウム値のチェックや心電図測定が重要

 

【副作用の概要】
(1)症状について

・四肢の脱力、痺れ、こわばり、脱力感、筋肉痛、頭痛、浮腫み(顔、足など)

 

(2)検査所見

低カリウム血症、代謝性アルカローシスに加えて、血漿レニン活性 (PRA)あるいはレニン濃度とPACの低値

 

(3)発症機序

アルドステロンなどのミネラルコルチコイドはミネラルコルチコイド受容体 (MR) を介して、コルチゾールなどのグルココルチコイドはグルココルチコイド受容体を介して、その生理作用を発揮する。

甘草あるいはグリチルリチン(GL)で生じる本症は、GLの代謝産物である、グリチルレチン酸 (GA) により 11β-HSD2 の活性が抑制され、過剰となったコルチゾールがMRを介して、ミネラルコルチコイド作用を発揮することにより生じる。

なお、AME 症候群の多くは、遺伝子の異常により 11β-HSD2 の活性が失われたものである。一方、フッ素含有ステロイド外用薬による場合は、医薬品自体のミネラルコルチコイド作用が原因とされる。

 

【治療方法】

①原因と思われる医薬品の服用の中止

②抗アルドステロン薬であるスピロノラクトンの通常用量の投与

※適切な対応が行われれば、予後は良好である。甘草を原因とするものでは、甘草含有物の摂取中止後、数週間の経過で臨床症状の消失と血清カリウムの上昇をみることが多い。

 

【その他】

①医薬品の服用に伴い、低レニン・低アルドステロン血症とともに血圧上昇や血清カリウム低下が生じ、これらが原因医薬品の中止により正常化した場合に、医薬品の副作用としての偽アルドステロン症と診断される。

原因医薬品中止後も数週間は症状と臨床検査値異常が残存することに留意すべきである。なお、血圧上昇は必発ではない

 

②甘草は極めて多くの漢方製剤に含まれ、また、一般用医薬品(かぜ薬、解熱鎮痛薬、健胃薬、総合胃腸薬、鎮咳去痰薬、ビタミン含有保健薬、婦人用薬など)やチョコレートなどにも、GLあるいは甘草エキスを含むものが多くある。一般用医薬品等を含めた服用歴の把握が大切である。 

 

おまかせ広告ですパソコン

押してくれるだけで買わなくても大丈夫なものですので、ポチッグッと協力お願いします

そして、いつも押してくれている方ありがとうございます照れ

------------------------

 

医療者向け

 

患者向け

 

重篤副作用疾患別対応マニュアルまとめ一覧 他