「調子はどうですか~?」といつものセリフ。
「あんまり良くないですよ。何もヤル気がおこりません。」
「ふーん、いけませんねぇ。」
「夫が言うには、夜中に私は大声で叫ぶんだそうです。」
「ん?悪い夢みるの?怒ってるの?それとも悲しくて?」
「いや、自分では分かりません。ただ、夢はよく見ます。内容はすぐ忘れますが。もう、寝汗がすごくて困ります。」
「寝た気がしない?」
「そうですね。」
「お薬、ちょっと増やしてみよう。」
えぇ~~ Σ(´Д`lll)
「あ、それと左の顎が痛くて痛くて、物が噛めません。」
「ああ~、夢をみて歯をくいしばってるから顎関節症になってるんですよ。」
「はあ・・・。」
「今は毎日どんな生活を送っていますか?」
「えっと・・・犬の散歩に行って・・犬、犬の散歩!!そう、犬の散歩と言えばですね、近所の分譲マンションの管理人のオバチャンがですね、もう何ヶ月もですよ?私が犬の散歩に出ると、私達をジーッと睨むんですよ!」
「ほう?その人はどういう気持ちであなたを睨んでるのかな?」
「迷惑だ!って感じで睨んでます。駐車場の奥の方の掃除をしてても私と犬の姿を見つけたら、仕事をやめて私の後をついてきます。なんでそんなに見るの?とこっちも振り返って目を合わせるんですが、見るのをやめません。いかにも、迷惑してるのよ!っていうのをアピールしてる感じです。でも、うちの犬はそのマンション付近でウンチなんかしませんし、吠えたりもしません。何が迷惑なのかなーと考えたんですが、マンション外構の植え込みにオシッコされたくないんじゃないかと思います。」
「うん。」
「でも、この前、とうとう私もプチッとキレちゃいまして・・・。いつも通りオバチャンが後をついてきて睨んでるから、無性に腹が立ってきて、私、怒鳴っちゃったんですよ。”一体、何ですか!?何か言いたい事があるんなら今言ってよ!”って。そしたらオバチャンは顔を歪ませてニヤけて「いや・・・」と言葉を濁しました。」
「ふん、その人は・・・誰かに似てる?」
「え??」
「あなたの嫌いな人、憎い人、過去の思い出したくない人・・・その誰かに似てないかな?」
「う・・ううう・・・。・・・・・分かりません。」
「そうですか。」
てな感じの診察でした。カウンセリングちっく。
あの管理人のオバンが私の知り合いに似てないか、ですって?
考えてもみなかったわ。
だから私が攻撃的になった・・・って事?いや、あのオバンには誰でも腹が立つって!
私の病気のせいでいちゃもんつけたんじゃないわよぅ!!!
- 芝 伸太郎
- 日本人という鬱病
