シュウォンが戻るのを見送ると、鹿島は仕事の最中気になったことを紗羅に聞こうとした。「紗羅、雨音のことで少し聞きたいことがあって」「改まってなんですか?」
そこまで話すとトイレの方が騒がしかった。
男性が水浸しになった姿で立っている。
「あれは、ジョヌとミンジェじゃないか?」鹿島が目を細める。他の客も気がつき出してザワザワしている。紗羅は隣に雨音がいないことに気がついた。
「あれ?鹿島さん雨音は?」「さっきトイレ行くってシュウォンと一緒に席を外したよ」
「え?」『トイレってちょうどあの2人がいるところだろ』目線の先には、濡れた衣類を脱いで店員からタオルを受け取り体を拭く姿が目に入った。「やばい。雨音が今出てきたら」
そう言うか言わないかのうちに紗羅はトイレの方へと駆け出して行った。「おい、紗羅。マズイってどういうころだ?」っと手を伸ばすが紗羅の方が先に歩を進めていた。
洗面前では「バカ‼︎こんな所で脱ぐなよ」ミンジェがジョヌを叱っている。「ミンジェ兄さんも早く拭いたほうがいいって」っと話している。「他の人の邪魔になるだろう」と部屋へ戻ろうとしている。「でもあの蛇口の状態じゃ。捻ったら水が吹き出して、俺らびしょ濡れでしょ」っと会話をしている。雨音は、『なんだろう?やけに騒がしいけど…。ホルトスが出てきて騒いでるのかな?』っと思いめぐらせてトイレから出てきた。
出た瞬間予期せぬ姿が雨音の目に映った。上半身裸体の姿が目に映ると突然雨音は身体を強張らせて叫び声をあげた。
突然のその状況に今度はジョヌとミンジェが戸惑っている「え?!雨音さん??」「バカ‼︎お前が裸だからだよ」2人が困っていると紗羅がやってきた。「あ!紗羅くん。こいつがこんな格好してたから」っというが尋常な様子には見えなかった。「すみません。お2人は戻っていただけませんか?」騒ぎでナムジャも様子を見にきた。2人を見つけると急いで部屋に押し込んだ。紗羅の近くに寄り「私に何かできることはありますか?」「いえ。。。ナムジャさんも一度戻っていただいていいですか?」
怯えきっている雨音には誰の声も入らずにいた「雨音、僕だよ。紗羅だよ。聴こえる?」
低く落ち着いた声で雨音に声をかけると「沙、羅…」「そうだよ。僕を見て。僕だけを見て」そう言うと雨音と向き合った。コクリとうなづくと少し落ち着いた。
「雨音、薬は持ってる?」「か、カバンの中」「歩ける?」支えるようにしてやっと歩いてくる雨音の全身は血の気を失って真っ青だった。「座って」腰を下ろさせるとバックから
薬を取り出して飲ませた。
騒ぎはスタッフの迅速の対応で何も起きてないかのように落ち着いている。
「すみません。先に戻ります。ここのはこれで。それと今日会ったのは話しておきたいことがあったんですけど…。あとで雨音の泊まっている部屋に来ていただいていいですか?本来なら自分が鹿島さんのところに行くのが筋でしょうけど、コイツ放っておけないので」何度も紗羅は頭を下げた。
「おまえ、1人で大丈夫か?」「はい、慣れているんで」「そうか。あいつらのフォローも入れとく」「ありがとうございます」
フラフラの雨音を抱えて店を出て行った。
鹿島は、スタッフに声をかけるとホルトスの部屋に通してもらった。
部屋に入るなり「鹿島さん‼︎雨音さん大丈夫ですか?」ジョヌが不安そうな表情で聞いた
「急なことで驚いただけだったと思うから気にするな」不安そうな面々に精一杯の優しさだった。
「ナムジャ、シュウォン。このあとは仕事か?
一緒に行きたいところがあるんだ。」「少し会社で作業をして、ってくらいで」「そっか、じゃあまた連絡する。そしたら○×△ホテルに来てほしいんだ。じゃああとで」
鹿島もBARを後にした。