最初の10分で「帰りたい」と言って泣いていた子が、 3日後には、荷物パンパンのリュックを背負って、 「あと何キロあるん? よし、いこか」って何十キロもの道のりを歩いてく。
その背中を見て、大人がちょっと泣きそうになる。 ……っていう出来事が、子どもたちとの歩きお遍路にはけっこう普通にあります。
お遍路って、簡単に言うと「四国の88カ所のお寺をぐるっと巡礼しながら歩く旅」なんですけど、 僕たちはそれを、子どもたちと一緒にやっています。
しかも、ただ歩くだけじゃない。
自分でテント立てて、自分でご飯つくって、子どもたちで目的地を決めて、お寺で般若心経を唱えて、 道端の生き物を助けて、ゴミひろいをしたりして、すれ違うおばあちゃんに元気に挨拶をして、野営場所をみつけて…… そういうのを、朝から晩までやって、また次の札所へ歩く。
ふだんスマホや教室の中だけじゃ出会えない“景色”が、そこにはあるんです。
今日はそんな、400キロの歩き旅で見えた子どもたちの育ちの話を、 少しだけ、させてください。
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なぜ子どもとお遍路を歩くのか?
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理由は大きく3つあります。
● 第一に、「先祖供養」
私たちが今ここに生きているのは、ご先祖さまたちのおかげ。
手を合わせるたびに、子どもたちは自然と静かになって、
「じいちゃん、ばあちゃん、ありがとう」と、ぽつりとご挨拶。
亡くなった人に手を合わせるって、当たり前のようで、今はとても貴重な時間。
● 第二に、「祈る」という文化を体感してもらう
お遍路には、こんな祈りの作法があります。
「世のために自分を大きく生かせますように」
それは、ただの自己実現じゃない。
“自分の力を、誰かの幸せのために使いたい”という祈りです。
旅の途中、ある子がモグラを見つけて道の端にそっと逃がしていたり、
別の子は、誰に言われたわけでもないのに、空き缶を拾ってポケットに入れていたり。
そんな姿を見るたびに、
「この子たち、ちゃーんと“祈り”を生きてるな」って、胸が熱くなる。
● 第三に、「子どもたちの可能性に気づく旅」
この旅の道中いろんなことがあります。
雨の中を歩いた日もあるし、山道を越えた日もある。
足を引きずっていた子が、「俺、もうちょっと頑張る」って前を向いたり、
無言で歩いていた子が、最後にゴールして泣き出したり。
どんなにしんどくても、諦めずに、最後までやり切る子どもたちの姿に、
僕ら大人の方が背筋を正されるんです。
気がつけば、朝の読経で唱えていた般若心経も、
最初はモゴモゴだったのに、声を揃えて唱えられるようになっていたりして。
あれ、ぐっときます。
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そして何より、この旅は“誇り”になる
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便利でなんでも手に入る時代に、
「不便だけど豊かな体験」を、子どもたちが自分の足で歩ききる。
その経験は、将来きっと、彼らの中でこう言葉になると思うんです。
「俺、あの時、お遍路歩いたんだぜ」って。
その誇りは、大人になって壁にぶつかったときも、
きっと彼らの背中をそっと押してくれるとおもうです。
「もうちょっと、歩いてみるか」って。
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だから、僕らは歩く
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この旅は、文化を学ぶ体験であり、命の教室であり、自立の訓練であり、
なにより、子どもたちの“生きる力”を信じる旅です。
次は10月9〜13日にやります。
一緒に歩きたい小中学生、
送り出したい親御さん、
よかったらDMください☺