驚愕の寓話小説、「カエルの楽園」の怖さ。
百田尚樹が自身の最高傑作と断言し、ジョージ・オーウェル以来の寓話的「警世の書」と称する小説。
元は自身のメールマガジンに連載していたものを単行本としてまとめ、2016年(平成28年)2月23日に出版された。
表紙の装画はラ・フォンテーヌ寓話の「王さまを求める蛙」のギュスターヴ・ドレ作画によるもの、本文の挿画は百田尚樹自身による作画。舞台となるカエルの国「ナパージュ」は "JAPAN(ジャパン)" の倒語と推定されるが、本文の後に「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ない」旨が記載されている。
凶悪なダルマガエルの襲来により、地獄と化した故郷の国を出たアマガエルのソクラテスが、苦難の道のりの果てに友達のロベルトとたどり着いたのは、岸壁の頂上にある平和で豊かなツチガエルの国ナパージュ。
ついに新天地を見つけたと安堵するソクラテスとロベルトであったが、ツチガエル達のほとんどが奇妙な考えを持っていることに気付く。カエルの楽園のナパージュの平和は、「三戒」(カエルを信じろ、カエルと争うな、争うための力を持つな)によって守られているのだという。
平和なナパージュでの暮らしの中で「三戒」に心酔するロベルトに対し、今一つ「三戒」を信じきれないソクラテス。彼はナパージュで一番の物知りと言われるデイブレイクや毒舌な嫌われ者のハンドレッド、北の山に棲むワシのスチームボート、ヌマガエルのピエール、ウシガエルと戦えるほどの強さを持つがゆえに嫌われているハンニバル三兄弟などに会い、「三戒」の起源やナパージュ周辺の状態を知ると共に三戒に対する疑念を募らせる。
そのナパージュに、南のウシガエル達が迫ってきていた。ツチガエル達は元老会議でウシガエルにどう対処するかで活発な議論を展開し、プロメテウスという若手の元老が自分達の手でウシガエルを追い払い、ナパージュを守ろうと提案する。
しかし、元老のガルディアンやデイブレイクはウシガエルは友好的で無害だと主張し、プロメテウスを非難する。
妥協案としてスチームボートに南の崖を飛んでもらうことになったがスチームボートはその条件として自分がウシガエルと戦いになった時はツチガエルたちも共に戦うよう要求する。当然それは三戒違反となり、元老のみならず、フラワーズという若者を始めとしたナパージュ国民も激しく反対する。
結局スチームボートとの約定は御破算になり、スチームボートは「お前たちがそう決めたのなら仕方ない」と言い残し、ナパージュを離れる。デイブレイクはそれをナパージュの真の独立だと讃える。
スチームボートがいなくなって以来ウシガエルはより頻繁に現れるようになり、状況を見かねたプロメテウスは「三戒」の破棄を提案、その可否を国民投票で決めることになる。
投票の前日、デイブレイクは国中の有名なカエルを広場に集め、「三戒」の素晴らしさを語らせる。
そして迎えた投票日、僅差で「三戒」破棄は否決される。しかし、状況は好転するどころか悪化し、遂にウシガエル達の侵攻が始まる。
真実の報道をしない共産主義に侵された日本のマスコミ。
ミサイル発射なのに「飛翔体」発射という。中国海軍による領海侵犯なのに「中国艦」という。すべてがこの調子なのだ。
何が起きても国民には危機感を抱かせない。気が付けば国土の半分が焼け野原、そんな日がやってこない日を心から祈りたい。
注意:この項は、2020年5月の再掲載です。