坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)/文藝春秋
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3月に靖国神社の「遊就館」を見学し、日経新聞でも著名人の紹介もあったので初の志波遼太郎作品に挑戦。

前半は秋山兄弟と正岡子規、後半は日露戦争の話。日露戦争は203高地で勝って、バルチック艦隊に日本海海戦で勝った程度の知識だったが、前述の遊就館見学で気持ちと認識が変わりもっと知りたいと思って一念発起、長編を読む。

興味もなかった日露戦争だが、当時はこの戦争に負けると日本がなくなるという全国民の思いで戦いが続けられたことが驚き。

名将だと思っていた乃木希典がきっての愚将だったこと、東郷平八郎は最初から期待されていたわけではないことなど、色々とはじめて聞かされる話しも多く、司馬作品を斜めに今まで見ていた自分が勘違いだったことに気づかされる。(今までは勝手に左側の人だと思っていた)

日露戦争の背景など、今と時代が違うので今の尺度では理解できないことが多いかもしれないが、太平洋戦争からも70年以上が経過しようとしている今、国のために死んでいった人を祭っている神社にも政治家が参拝できず、70年以上前の価値観を持ち出して「軍隊」=「戦争を始める」という、動脈硬化的認識の方々には改めて閉口してしまう。