一概に、「便秘は悪」と言えないという話

 

便秘は、体に必要な作用であって、

薬等で無理やり押し出すことは、

免疫力を低下させることにつながります。

 

 

 

1. どうして大腸内に便を留めるの?

 

有害な大腸菌のみならず、

人類にとって種の保存と生存のために不可欠な

1000種類以上の500兆~1000兆の腸内細菌が生息しているから。

そのために大腸に便を12時間留め、

腸内菌を住まわせ共生しています。

 

また、

大腸は、胆嚢(たんのう)から分泌される胆汁を使用して、

便を生成し、蠕動(ぜんどう)運動により便を移動させ、

肛門から排出させています。

 

大腸と同様に、

小腸も、造血、脳内ホルモン、神経伝達物質、免疫物質を生成し、
大腸と共に腸管免疫系として、

体内で最大の免疫機構になっています。

免疫物質等は生命にとって重要なので、

生成が終わるまで便を留める必要があります。

 

だから、便は出ないのではなくて、

故意に留める事で、

生命維持のための必要物質を作り出している

ということが分かります。

 

でも、長期に便を溜めこむとつらいもんです (T_T)

それって、正常な働きではないですよね。

 

 

2. では何が原因で、便の熟成が遅れてしまうの?

 

それは、正常に便の生成ができないのが一番の要因。

つまり、生息する腸内細菌の数やバランスの乱れにあります。

腸内細菌は、腸内フローラ(花園)と呼ばれ、

きちんと棲み分けされていますが、
そのバランスが乱れると、

腸内細菌の出す分泌物も正常に出ず、

便の生成の遅れとなり発酵、熟成が正常に進まなくなります。

 

正常に便が生成できない原因として、

生活習慣が大きく関係しています。
 
 ①精神的ストレスの持続
     精神的ストレスにより肝臓が充血すると、

     胆嚢も腫れて機能低下し、

     胆汁の分泌が不充分となり、便が生成できなくなります。
 ②寝不足、体を横たえる時間が少ない
     便を発酵、熟成させるためには

     体を横たえる時間が必要。 

     夜更かし等で起きている時間が長いと、

     大腸の上行結腸は、重力に反して便を上向き

     移動させるのに負担がかかります。 

     体を横たえる時間を充分にとることで、 

     負担なく便の発酵、熟成させていくことができます。
     便秘のときには、最低でも一日8~10時間位は

     横になることが必要(休養をとること)。 
 ③歩行(運動)不足
    人は歩行することで大腸内の血液の循環を促します。

    歩く時間が足りないと
    腸の蠕動運動がうまく働かなくなります。 
 ④食事の内容(栄養のかたより)
    大腸の発酵、熟成を促すために、みそ、しょうゆ、

    納豆等の発酵食品、根菜類(れんこん、ごぼう、人参)、 

    適度なタンパク質(米)等をバランス良く摂取します。

    麺類(ラーメン)やパスタ等の小麦粉成分は、腸を冷やし、
    腸壁にへばりついて消化機能を大幅に落とします。

    また腸内が一定の温度に保たれないと発酵熟成が

    できません(冷たいものも控えます)。

    ラーメンやパスタ等の麺類は控えて、

    米を主食とした和食の食生活にすることです。
 ⑤水の摂取不足
    水が足りないと、便の生成ができなくなります。

    水は全ての分泌液(胆汁、腸液、膵液等)の源(みなもと)

    になります。

 

また、便の生成ができない機能的な原因として:

肝臓(胆嚢を含む)と心臓の機能低下が、大腸に
血液不足と血液の停滞および血液の質の低下をまねき、

大腸の機能低下につながり、便秘を引き起こします。

便秘には胆汁の分泌不足が大きく起因しています。

そのためには胆汁を生成する肝臓の働きを高め、

胆嚢の腫れをとり、胆汁の分泌不足を解消し、

大腸への良質な血液の供給促進が、便秘改善に役立ちます。

 

日本伝承医学(出典元