不倫されたとき、
私は「自分が否定された」と感じた。
妻として、
人として、
自分には価値がなかったのではないかと思った。
だが、それは事実ではなかった。
最後に残ったのは、私はそれでも生きていたという事実だけである。
不倫された側は、
突然、説明のない世界に放り込まれる。
何が起きたのか分からないまま、
感情だけが先に壊れていく。
怒り
悲しみ
屈辱
自己否定
どれも正常な反応である。
私はそれを、自分の「弱さ」だと思っていた。
しかし今は違う。
感じられているということ自体が、壊れていない証拠だったのだ。
私は、
すぐに強くなれなかった。
前向きにもなれなかった。
許すこともできなかった。
それでも、自分を雑に扱わなかった。
・感情をなかったことにしない
・無理に答えを出さない
・自分の尊厳だけは手放さない
それだけを守った。
それで十分だったのである。
不倫された側は、
「選ばれなかった側」ではない。
巻き込まれた側である。
選択していないのに、責任だけを背負わされる。
だから苦しい。
苦しくて当然なのだ。
私は時間をかけて、少しずつ自分に戻っていった。
妻である前に、
母である前に、
「一人の人間」として。
その過程で分かったことがある。
不倫は、私の人生の全否定ではなかった。
ただの出来事である。
痛みは残るが、
私そのものを定義するものではない。
今、同じ場所にいる人へ。
無理に立ち上がらなくていい。
希望を持てなくてもいい。
誰かを許さなくてもいい。
ただ、自分を見失わなければいい。
壊れなかったという事実は、
あとから必ず効いてくる。
それは、今すぐではなくてもいい。
私は、不倫された。
それでも、私は私のままである。
この事実だけは、誰にも奪えない。