先月の話なのですが、劇団四季の「ノートルダムの鐘」を観劇してきました。
こちらは1996年に公開されたディズニー映画「ノートルダムの鐘」を基に、ディズニー・シアトリカル・プロダクションが製作、2014年に米国で初演を迎えた作品となります。
15世紀末のパリを舞台に、ノートルダム大聖堂の鐘楼に住む男カジモド、彼を密かに世話する大聖堂聖職者フロロー、大聖堂の警備隊長フィーバス、そして3人が愛するジプシーの娘エスメラルダが織り成す愛の物語ー。
ディズニー映画の同作品が大好きで、舞台化されるなら絶対に観に行きたいと思っていたんですよね。
で、事前に情報を何も入れず、「劇団四季」「ディズニー」「ノートルダムの鐘」というワードのイメージでほいほい観に行ったらいい感じに全て覆されてハートが満身創痍で帰って来ました

良い意味でね…笑
そもそもの原作はヴィクトル・ユーゴーの小説「ノートルダム・ド・パリ」なのですが、今回の舞台はどちらというとこの原作小説のテイストが強いです。音楽こそディズニー映画のものなのですが、全然別物の印象でしたね。
人間の内面を深く描き、より重厚な作品になっていたと思います。
フロローも単なるヴィランではなくて、弟への愛情や、カジモドに対して父のように振る舞う様子があったりと人間味のある描かれ方をされているのが良かったのではないかと思います。
人間の光と闇=カジモドとフロローの対比で描かれていたのかなと思いました。
カジモドの物語でもあるけれど、フロローの物語として観ても面白いんですよね。
序盤に付け足されたエピソード(弟)が効いてますよね。弟への愛をカジモドに否定されるというのもまたなんとも皮肉なことで…。
楽曲も本当に素晴らしくて、厚みのあるコーラスに圧倒されました。「the bells of Notre Dame」を生で聴けたのが本当に幸せです。
また演出も観る側の想像力に委ねるような、抽象的なものが多かったのがとても好みでした。
演劇として好きな要素は多い(というか好きなものしかないくらい)のですが、自分はカジモドとエスメラルダには幸せになってほしい人間なもので、観終わった後の葛藤がね、凄かったですね。
これはこれで素晴らしい、救いの無いラスト最高じゃないかという自分と、
いやあそこまでやって誰も救われないとかあるの!?という自分の殴り合いですよねー。
未だに落とし所が分からないのですが…
こうやってあれこれ考えたり思い詰めたりできるのも作品の魅力の一つだと思います。
受け取ること、考えること、感じることは人それぞれだと思いますので、是非多くの人に観て頂きたいなと思います。
あ、あとApple Musicで米国公演のサントラが聴けるので、興味のある人はそちらを聴いてみると雰囲気だけでも分かるのかなと思います。
私はほぼ毎日のように聴いて、ほぼ毎日のように打ちのめされてます。
追記
・人間の悪意や負の感情をストレートに表現していてとても生々しかったのが印象的でした。良い意味でディズニーらしさがないという点ですね。
・フロローの、真面目でお堅い役職の人なんだけど、ある1点で歪んだ思いを爆発させて暴走していく姿というのは、割とありがちなのかなと思います。
・「人間と怪物の違いは何か」人が怪物に陥るのは簡単なことなのだとフロローを見て思います。自分は人間でいられるのかな…と深く問いかけられているような感じがしました。