私はBMWに乗っています。
どうして、そんな身分不相応のクルマに乗っているのか
それには理由があります。
それは、メーカーとしての拘りに賛同したからです。
だから、国産車に比べて明確に高すぎる車両価格も受け入れて
私はBMWファンになりました。
BMWの拘り、それはデザインもさることながら
やはりエンジン「直列6気筒」に尽きると思います。
そもそも、エンジンの仕組みは、シリンダー内の爆発
で発生した複数のピストンの上下動を回転運動に変換する
というものですが、その中で1次、2次、3次と複雑な
振動が発生するわけです。
でも、直列6気筒というのは構造上この振動を完全に打ち消す
ことができる、というメリットがあります。
だから「直列6気筒」はスムーズに回転するんです。
4気筒のエンジンでありがちな、一定のスピード域における振動は
皆無といっても良いでしょう。
もちろん、バランサーなどを使えば振動は抑えられますが
レスポンスに影響が出てしまいます。
BMWのエンジンは「シルキーシックス」と呼ばれます。
“絹のように滑らかな回転”を表現したものです。
特に、ウチのBMのエンジンは2.2Lで6気筒最小クラスなので
「スモールシックス」なんて呼ばれています。
そんな「直列6気筒」でも良いことばかりではありません。
ピストンが直列に6個並んでいるということは、エンジン自体が
長くなってしまいます。
ということは、エンジンが車体の先端まで近づいてしまうので
いわゆる“クラッシャブルゾーン”を確保できないのです。
だから安全性を特に重視するメルセデスが「直列6気筒」の採用を
取りやめ、やがて追随するように全世界の自動車メーカーが採用を
取りやめてしまいました。
今は、コンパクトにできる「V型」が主流となっています。
しかし、BMWはあくまでも「直列6気筒」にこだわっています。
最新型のエンジンもやっぱり「直列6気筒」なのですから。
しかも、世界初の「バルブトロニック」を付加してのリリースです。
これでついに世界で「直列6気筒」をラインナップする最後の
メーカーになってしまいました。
BMWのエンジンルームを覗く機会が有ったら、エンジンの位置に
注目してみてください。6気筒のエンジンの3気筒分しか見えて
いませんから。
つまり、エンジンルームの奥深く(つまり運転席側)にエンジン自体が
押し込まれています。これで“クラッシャブルゾーン”を
確保しているのです。この拘りようこそが「所有する喜び」なのです。
そして、前後重量配分50:50への異常とも思える「執着心」。
重量バランスが崩れてしまえば、クルマの操舵感に大きく影響する。
ならば足回りや、下手をするとボディパネルまでアルミにして
さらにエンジンヘッドに「マグネシウム合金」なる素材まで
引っ張り出して、50:50に近づけようとしました。
こういうメーカーの姿勢に、私は賛同せずに居られません。
こういう拘りを持ったメーカーは日本には皆無といっていいでしょう。
唯一、イヤーモデルで熟成を重ねる「スバル」くらいなものです。
だから私はBMWを選びました。
今回で2台目のBMですが、今となっては貴重な「スモールシックス」。
永く大切にしていきたい一台です。