特集 ”がんの村” 原因は『川』
中国政府が認めた背景
背骨が奇妙に曲がった魚、鱗の大きさが歪な魚、なぜ奇形の魚が生まれるのか…その背景には中国が抱える深刻な水質汚染がある。
地中から湧き出る赤い水、これは化学工場の排水が原因だ。
一見、幻想的にも見える真っ青な川は、上流のジーンズ工場から垂れ流された染料で青く染まってしまったのだ。著しい経済成長の影で水の汚染が続く中国、…実は今年6月、この水質汚染に関し中国政府は驚くべき調査結果を発表した。
「汚染が最もひどく長く続いている地域と、消化器系腫瘍による死亡率が最も高い地域は一致する」…中国政府が初めて川の汚染と癌の因果関係を認めたのだ。
今回調査の対象となったのが、中国7大河川の一つ 『淮河』（わいが）…この流域には、『がんの村』 と呼ばれる最も深刻な状況を抱える地域があるという。
現地を確認すると水草が繁殖し、川岸はまるでゴミ捨て場のようだが、これでも水質は以前より綺麗になったという。
1997年の淮河、線を描くように魚の死骸が大量に打ち上げられている。
1999年、水面には奇妙な渦巻き模様が浮かび周辺では猛烈な臭いが立ち込めていたという。
2004年、ピンク色の謎の泡が発生する川沿いを口を押さえて歩く少年たちの姿、かなりの異臭なのだろう。
そして河南省沈丘県
”がんの村” へ…
住民 王小清さん（72）
「川の汚染は1975年ごろからと記憶しています。そして1984～85年あたりから病気になる人が急に増えました。病気になった人々の多くは、食道がん、胃がん、肝臓がん、乳がんでした…私も健康ではありません」
10年前、1月の間に兄と弟を肝臓がんで失った。その間、近所の住民も癌で亡くなったという。
他にも沈丘県洼子庄村、1990年～2006年で人工500人のうち100人以上が癌を発症。…取材を進めるうちに分かった事は、沈丘県の村々では癌で亡くなる人が相次いでいた。
原因は、川が汚染されたため井戸水も汚染されてしまったのです。…多くの村で飲まれていた井戸水、その水に汚染された淮河から汚染物質が染み込んだのだ。
沈丘県、肝臓がんの死亡率
1970年代：他県と変わらず
2004年以降：明らかに死亡率が上がる
政府発表、淮河周辺の沈丘県、肝臓がんの死亡率の増加速度は、全国平均の5倍以上速いなど異常さが明らかになったのだ。
かつて度重なる洪水被害を防ぐため、毛沢東が他の川に先駆けて大規模な治水工事を行った淮河、…その後、流域は肥沃な土地に生まれ変わり、作物に恵まれたため ”母なる川” とも呼ばれてきた。
しかし、1970年代からの工業化、都市化で水質汚染が深刻に…こうした中、フォトジャーナリスト霍岱珊さんは、NGO『淮河衛士』 を設立、独自に 「がんの村」 の実態を調査を開始した。
霍岱珊さんの活動はマスコミに取り上げられ、がんの村の存在が明らかにされると国内外に大きな衝撃を与えました。
そして2005年、ついに政府が重い腰を上げる…当時の温家宝首相が淮河を調査するよう指示したのだ。
淮河の汚染が始まって40年、ようやく癌との因果関係を認めた中国政府だった。
日本貿易振興機構 アジア経済研究所 大塚健司氏
『… 地方政府の役人としては、地元の経済発展を優先したい。…しかも、地元政府の幹部のローテーションも非常に短い期間で代わって行く。
つまり、じっくり腰を落ち着けて面倒な公共政策をやるよりも、短期間で成果を得られる経済成長に力を入れるのです。
構造的な問題の中で環境問題に関する、地方レベルの違法行為が無くならないという状況が今も続いているのです。…』
共産党政府の調査では、「淮河流域の一部住民は今後10年間は、依然として癌の危険にさらされるだろう」 としている。
政治ジャーナリスト 後藤謙次
『… 今、中国では格差も含めた抗議デモが1日500件起きています。その中でも環境デモがかなり出てきました。
中国の新聞で 「新京報」 が200以上、中国には癌村が存在すると…原因は、工業廃水、生活用水、化学肥料、農薬の使い過ぎ、これによって飲料水が汚染されて癌が発症するというメカニズムなんです。
そこを絶たないと国家の存亡にも直接影響してくる問題です。…』
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無数のガン村 監督管理なき汚染
【新唐人2013年08月17日付ニュース】
http://jp.ntdtv.com/news/8159/%E7%84%A1%E6%95%B0%E3%81%AE%E3%82%AC%E3%83%B3%E6%9D%91+%E7%9B%A3%E7%9D%A3%E7%AE%A1%E7%90%86%E3%81%AA%E3%81%8D%E6%B1%9A%E6%9F%93
ここ数年、中国の新聞に“ガン村”という言葉が頻繁に現れるようになりました。中国メディア記者は取材の中で、 “ガン村” と呼ばれる多くの村では、飲用水の安全に問題があることに気づきました。専門家は、工業排水による汚染や農薬の使用によって、中国各地に数千もの“ガン村”が出来ていると指摘します。
中国各地の環境汚染は悪化の一途をたどり、各地の “ガン村” が次々ネットやメディアで取り上げられています。中国メディアによると、農村における水汚染は目を疑うほどであり、 “ガン村” と呼ばれる村のほとんどが、飲用水の安全が脅威にさらされています。
早くから環境保護活動に尽力している北京の人権活動家・胡佳さんは、かつて河南省の淮河（わいが）の水汚染によってガン村となった村を研究調査したことがあるそうです。
人権活動家 胡佳さん
「あの村の人達は皆 食道ガンや奇病に罹っていました。一部家庭は一家全員死亡ました。ガンの脅威に耐えられず、引っ越した家庭もあり、庭のチガヤが人の背よりも高く伸びた家もありました。ここのガンは周辺にある 『蓮花味精』 工場が原因と言われています」
蓮花味精は中国のブランド化学調味料メーカーで国有企業に属します。誰の監督管理も受けないため、工場の汚水は直接淮河に捨てられ、周辺で多くの “ガン村” が確認されています。胡佳さんは、このような “ガン村” は中国に数千か所あると話しています。
北京の環境保護学者 張峻峰さん
「私の調査した状況から見ると、多くの農村では農薬を使用し、付近に工場があるところは皆 ガンの発症率が高くなっています。毎年3～4人以上がガンにかかる村は通常 “ガン村” と呼ばれます。この基準だと、中国のガン村は千単位ではすまないはずです」
胡佳さんは、 “ガン村” の背後にある汚染が工業排水であれ、そのほかの状況であれ、いずれも地方政府と関係があると指摘します。地方政府は経済利益のために、汚染企業の導入を無制限に許可し、そのうえ監督管理も行き届いていないことと密接な関係があると述べています。
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