著作権法改正、Yahoo!・Tポイント提携に感じたデジタルデータをめぐる重大な社会変革の足音 | 現役大家さん、現役投資家の生の声を聞かせます。

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週刊ダイヤモンドより http://diamond.jp/articles/-/20395

著作権法改正、Yahoo!・Tポイント提携に感じた
デジタルデータをめぐる重大な社会変革の足音

私たちは、なぜ貨幣という代物に、ここまで熱くなるのだろうか。

いうなれば、単なる紙切れ(ないしは金属)である。しかも最近は、実物にさえお目にかからず、クレジットカードや電子マネーと自分の預金通帳の間で、数字がやりとりされているだけである。

しかし私たちは、日々の生活の衣・食・住をそれに委ね、労働の対価として少しでも多くの貨幣を得ようと欲する。時としてそれは争奪となり、人命を奪う悲劇をも招く。戦争とて所詮はカネ絡みだと考えれば、社会そのものを壊しかねない、劇薬以上の存在である。

スマートフォンに関する連載の書き出しとしては、いささか唐突すぎるかもしれない。また「罪と罰」の例を引くまでもなく、すでに論じ尽くされているような、陳腐な話でもある。

ところで、たとえば前述の話で登場する「貨幣」や「カネ」を、「情報」や「データ」と読み替えてみたら、果たしてどうだろうか。

いきなりSFのように見えるかもしれない。しかしそんな世界が、フィクションではなく現実のものとなろうとしている。そう思わせる出来事が、この数日で相次いだ。


著作権法の改正
一つは、著作権法の改正を巡る動きである。6月15日に衆院で可決後、参院での審議もそこそこに、昨日可決された。すでに報道等でご覧になった方も多いだろう。

同改正法案には、違法ダウンロード行為への刑事罰適用、アクセス制御を回避しての複製の違法化等を含む。たとえば、DVDのプロテクト(CSS)を回避する形での複製は、「回避して複製」という事実を知っていた場合、今回の改正によって違法となる(ただし刑事罰はなし)。

そもそも多くを論じる立場にもないので、ごく手短に私自身のスタンスを表明するならば、今回の改正には反対だ。反対理由は、日弁連がすでに会長名で公開している「違法ダウンロードに対する刑事罰の導入に反対する会長声明」で、概ね説明されている通りである。

違法ダウンロード行為自体は、許されるべきものではない。著作権という概念を抜本的に見直すべきという議論があることは承知しているが、新たなパラダイムに進むには時間をかけたコンセンサスが必要である。現時点で成立している枠組みであり、それによって産業が形成されている以上、それを否定してはいけない。

しかし、違法であることと、それを罰則化するのは、話が別だ。もとより著作権は、その法的な概念自体が「抜本的に見直されるべき」と専門家(それも同分野の第一人者)から指摘されるくらい、不定形なものである。

なにしろ対象となるのは、具体的なモノ(ハード)ではなく、いわば体験(ソフト)なのだ。そしてその体験が流通可能な形で提供される柔軟さこそ、ソフトに商品としての価値を認める背景となる。いわば「手軽に楽しめてナンボ」なのだから、制度運用も一定程度は柔軟に進められるのが、実態に即している、ということである。


音楽コンテンツ、スマートフォン、
産業の将来への懸念

ところが、そうした解釈とは正反対に、やれ捜査だ刑罰だ、と目くじらを立てようというのが、今回の動きである。

今回の著作権法改正について、決定に至るプロセスが稚拙過ぎた、という批判の声がある。盛んなロビイングによる、事前の十分な協議なしの議員立法で、審議時間もかなり短く、さらに消費税増税を巡る政局の駆け引きの材料とされた。確かに私も、今回の法改正は、趣旨も手続きも相当乱暴だと、感じている。

一体、法改正をここまで急がせた原動力は、何だろうか。もちろん音楽業界の衰退を懸念してのことなのは言うまでもないのだが、その具体的な動きの中心に、スマートフォンがある。今春の本連載の拙稿でも、そうした読み解きを行っている。

「一つは、一般社団法人日本レコード協会が発表した、2011年の音楽配信売上高。同協会によれば、前年比16%減の719.6億円となった。2010年も前年比で微減しており、現状のトレンドとしては、日本の音楽配信市場は2009年にピークアウトしたことになる。

内訳をみると、インターネットダウンロードは軒並み前年比124%と増加傾向にあるものの、その5倍近い売上規模を誇る主力のモバイル向けは同78%の583.4億円と大きく落ち込んでいる。特に「着うた」(同協会の区分上はRingtune)は同65%、「着うたフル」(同区分ではシングルトラック)では同79%と、落ち込みが大きい。

着信音の楽曲サービスである「着うた」の減少は、端末が変わりつつあることを示唆している。その反対に端末の影響を受けない呼び出し音の音楽サービス(待ちうた/メロディコール、同協会の区分上はRingback tunes)の減少幅が前年比85%と小さいことからも、それはうかがえる。」(連載第18回「音楽配信はすでにピークアウト。曲がり角にさしかかったケータイコンテンツ産業の明日はどっちだ」)

音楽配信サービスといえば、日本のケータイ産業で最も成功したコンテンツ分野の一つだ。AppleのiTunesが日本で伸び悩んだ一因に、着うたフルが挙げられるほどである。また、巷の音楽ランキングの集計単位が、CD等の出荷数から音楽配信の規模に移行したことからも分かるように、音楽産業の観点からも影響力は拡大していた。

その音楽配信サービスが、スマートフォンへの端末移行に伴って、売上が低下した。そのスマートフォンの普及は今年から来年にかけて、いよいよ本格化しようとしている。そしてスマートフォンはパソコンとの親和性が高い。パソコンはリッピングや違法ダウンロードの温床であろう。となると音楽コンテンツ、ひいては音楽産業は一体どうなってしまうのか――おそらく音楽産業側にはこうした懸念が存在したはずだ。

こうした懸念と向かい合った時、産業側の市場支配力を維持したいと、主要レコード会社は考えたのだろう。そして選んだのが、消費者の利用を制限する方向でのロビイングであり、音楽コンテンツの利用実態と離れる方向で進められた法改正である。

反対の立場を取る以上、私自身はそれが音楽産業にとって正しい判断ではない、とは考えている。ただそれでも彼らがそれを選んだ気分というのは、分からなくもない。おそらく彼らは、もはや法的な強制力を得ないと、消費者を産業の枠組みの中につなぎとめておくことができない、という恐怖に囚われているのだろう。


Yahoo!とCCCの合弁
もう一つ、6月19日に発表された、Yahoo!JAPAN(以下本文中ではYahoo!)とカルチュア・コンビニエンス・クラブ(同CCC)の提携も、実に興味深い動きである。

事実確認として、CCCが発表したニュースリリースを引用してみよう。

「Yahoo! JAPANを運営するヤフー株式会社(以下、Yahoo! JAPAN)と、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、「CCC」)は本日、戦略的資本・業務提携(以下、「本提携」)について基本合意しましたのでお知らせします。

本提携により、両社が発行してきたポイントは「Tポイント」に、またインターネット上のIDは「Yahoo! JAPAN ID」に統一します。両社はイコールパートナーシップに基づいて、ポイント事業を中心とした事業拡大に尽力するとともに、お客様の利便性向上につとめてまいる所存です。

Yahoo! JAPANとCCCは、2010年7月に相互の事業発展や競争力強化を目指し、すでにポイントサービス事業を中心とした包括的業務提携を締結しておりましたが、このたび、両社の強みを活かしたさらなる事業の拡大を期して、新会社を設立するに至りました。1ヵ月あたり約5,100万人のユニークカスタマー数を誇る国内最大級のインターネットサイトを運営するYahoo! JAPANと、日本の人口の約3分の1にあたる4,045万人のユニーク・アクティブ会員を有するCCCが本提携を締結することで、日本最大級のO2Oプラットフォームの構築が可能となり、インターネットとリアルの双方における圧倒的な経済圏の確立を目指します。」

文中にあるO2Oというのは、オンラインからオフラインへの誘導・送客等を意味する略語である。ネット上の広告活動を実空間の店舗で回収することを目指した概念や手法のことで、昨今のIT業界や流通業界のキーワードとなっている。

Yahoo!は日本最大のポータルサイトであり、ページビューとユニークユーザの規模は、国内市場においてはGoogleをはじめとした他社の追随を許さない。こうした力量を背景に、日本のネット広告市場はYahoo!によって形成されていると言えるほどの産業支配力を有している。

一方CCCは、TSUTAYA等をはじめとしたコンテンツ提供事業者としての顔だけでなく、Tポイントという、こちらも日本最大規模のポイントエコノミー運営事業者としての一面も持つ。Tポイント全体に占めるCCCの事業の割合はすでに小さく、大多数はコンビニ、ファミレス、カフェ等の多様な事業者とのアライアンスによって形成されている。

両者がタッグを組むことで、日本最大のO2Oプラットフォームが誕生する。これにより、これまで今ひとつ噛み合わなかった「ネットとリアルの融合」が一気に本格化する――両者の当面の思惑はそのあたりだろうし、おそらく報道等でもこうした賑々しい話題が並んでいるはずだ。しかし、本当の狙いは、そこではないように感じている。

日本最大のポータルサイトであるYahoo!は、広告に関する履歴だけでなく、同サイトでの検索、サービス利用、購買、コミュニケーション等の履歴、また同サイトを経由して閲覧するサイトの情報等が、すべて収集できる。一方、日本最大級のポイントサービスであるTポイントは、CCCに限らず様々な加盟店での購買情報や、さらにはそうした点と点を線で結んだ店舗間の移動履歴等が収集できる。

この二つを掛け合わせれば、Yahoo!とTポイントに関わる部分でのサービス利用がゼロだったとしても、消費者が〈何をしようとしていた〉かが詳細に分かる。極論すれば、そうした〈気配の情報〉を事業者に提供したり、またそれをコントロールすることで、日本中のほとんどの生活空間が「自分たちの影響下にある売り場」となる。

彼らの狙いは、おそらくそこだろう。すなわち、データ流通を支配することで、日本中の消費関連行動を自らの影響下に置く、ということである。その中には当然消費者も含まれるし、また多くの事業者も含まれることになる。


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課題の中から見え隠れする意志
もちろん、そう単純に話が進むとは、あまり思えない。まず、両社がどの程度の実効的なカバレッジを有しているのか。確かに若年層を中心に相当数のシェアを持っていることは否定しないが、街のあちこちで尋ねられる「Tポイントカード、お持ちですか?」という問いかけは、総じて言えば空振りが目立つように、正直感じる。

また、両社の保有するデータが、どの程度共通化(名寄せや精度の高い統計的な推定)が可能なのかも、未知数である。データベース・マーケティングにおいては、ある程度の規模を超えたら、データの規模よりも名寄せの精度を徹底した方が、実効性が高いとしばしば指摘されるように、この実現が事業としての成否を分けるはずだ。

仮にこれらが解決可能だとして、Yahoo!とCCCという、市場支配力の強い事業者同士による合弁で、公正な競争環境がどのように維持されるのか、という新たな問題もある。かつて米国では、Googleによるdoubleclick社のM&Aで、データベース統合等が大きな議論となったが、本件も両社がエコシステムの中心的な存在である以上、こうした懸念が競合事業者や取引先等から示される可能性は否定できない。

一方で消費者の側から見れば、本当にこの両社のタッグに同意できるのか、という問題もある。行動を把握される範囲が広く深くなるのは直感的に理解できるし、だとしたら単純に「なんだか気持ち悪い」というプライバシー意識が台頭するのは自然な感覚といえよう。

消費者の側からすれば、合弁事業が進むことは、いわば「事業者の勝手」である。本来ならば合弁後のサービス利用に対して、改めて消費者からの同意を得る手続きが必要となるだろうし、そのプロセスで「なんだかイヤだからとりあえずどっちかだけ使えればいいや」という気分が台頭しないとも限らない。

このあたりを、事業者としてどのように解決するのか。まずはお手並み拝見といったところだが、とはいえ両社とも何も考えずに合弁事業を進めるような「うっかり者」でないことは、私なりに理解している。ということは、おそらく今回の合弁には、山積するかもしれない課題と対峙してでも実現しようとする、相当強い意志が込められていると考えるべきだろう。


重大な社会変革が始まった
音楽産業は、衰退の危機を食い止めるために、音楽コンテンツというデータの流通を、法制度という強制力を用いて、再び支配しようとしている。

一方、Yahoo!とCCCをはじめとするO2Oの動きが最終的に目指すのは、リアルスペースのデジタル化を含めた、あらゆる消費関連行動の、データによる支配である。

こうした動きが、たまたまではあるが、概ね同じタイミングに顕在化したというのは、おそらく私たちの生活空間が、デジタル化に向けて大きく動き出したことを意味している。そして、そうした動きを加速しているのは、いずれの場合も、スマートフォンである。

こうなると、スマートフォンというデバイスが、私たちの生活を本当に幸せにするのか、ふと立ち止まって考えたくなる。少なくともそうした違和感を抱いてもおかしくないくらい、世界は大きく変化しており、21世紀の日本社会を生きる私たちは、それに立ち会っているはずだ。

もちろん、正しいか否か、という判断を下すには、まだ早い。というより、これが趨勢だと考えるのが現実的な態度なのだと思う。

冒頭で「私たちは、なぜ貨幣という代物に、ここまで熱くなるのだろうか。」という問いを投げかけたが、貨幣のない時代の人から現代を見れば、おそらくそんなふうに訝しがるだろう。しかし現在、貨幣の存在そのものを否定する向きは、少数派のはずだ。もちろん行きすぎたマネーの暴走が許容されないのは、サブプライム危機や昨今の欧州危機等からも分かる。だがそれでもなお、私たちは貨幣に依拠して生きている。

おそらくこれからは、こうした違和感の対象が、貨幣ではなく、データになるのだと思う。そして私たちはゆっくりと時間をかけながら、そして様々な事件や事故を経験しながら、人間の生死を分けるほどにデータが重大な価値を持つ社会に、慣れていくのだろう。

ただ、そうした社会変革が進みはじめる中、消費者が置き去りにされている印象が強い。あまりに産業都合で物事が進みすぎていないだろうか、そしてスマートフォンがその先棒を担いではいないか――経営コンサルタントとしては産業振興を無条件に支援すべきなのかもしれないが、産業とて消費者の存在が大前提だと考えれば、そうした気分は否めない。

厄介なのは、データ流通が支配する世界の実像が、目に見えない(ないしは見えにくい)ということである。おそらく「貨幣ではなくデータ」という物言いも、頭では分かるのだが具体的にはよく分からない、という方が大半ではないかと思う。しかし気がつけば、大きな変革の動きがあちこちで顕在化し、すでに後戻りできないところまで、到達しはじめている。

こうした社会の変化は、産業と消費者の関係だけでなく、政府と市民、社会と人間、あるいは人間同士の生命観や倫理観にまで、最終的には至るはずだ。大げさな物言いだと思われるかも知れないが、貨幣という「紙切れ」ないしは「数字の羅列」が人間や社会を変えたのだから、データに不可能ということはない。

いま何が起きているのか。これから何が起きるのか。それにより自分の生活や人間としての生き方がどう変わるのか。こうした根源的な問題に、すべての人間が敏感でなければならない、そんな変革の時代が、いよいよ始まったようだ。


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