私の従兄弟は音楽家で、彼から聞いた話です。


ピアノの演奏会で、主催者の手違いでプログラムの曲名が1曲間違っていたそうです。


彼は一瞬、

「主催者に文句を言って、主催者から客席に訂正をしてもらい、元々準備していた曲をやろうか?」と考えましたが、


「聴きにきてくれたお客さん達は、この曲が聴きたくて楽しみにしているかもしれない。よし、折角だからやってみよう!」と思い直しました。


しかし、それまで彼はその「ノクターン」を弾きこんだことはなく、曲もうろ覚え程度でした。


自分の記憶をたよりに全身全霊でその曲にのぞみ何とか弾きこなしたそうです。


結果、その日演奏した全10曲の中で、その曲の評判が一番良かったというから驚きです。


入念に準備した曲より、即興で演った1曲が評価された・・・火事場の馬鹿力というのか、人間そういう状況で最高のパフォーマンスが出るものなのかもしれません。。。


そのベースには、彼の


「お客様が楽しみにしているから演ってみよう!」

という気持ちがお客様にも伝わったんじゃないか?と思います。


お客さんからみると、その曲を彼が準備していなかったということは当然分からないので、あくまでも演奏を通しての迫力として伝わったということですが・・・


コミュニケーションの本質を垣間見た気がします。


彼のような精神で仕事にものぞんでいきたいと思いました。