Horse Latitudes 『Black Soil』 | Dark Music Space

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Band Name:

Horse Latitudes

 

Album Title:

Black Soil

 

Track List:
01. Initiation / Black Soil
02. Forest
03. Eternal Spring

 

Band Members:

Harri (Male Vocals, Drums)
Heidi (Bass Guiters)
Vellu (Bass Guiters, Synthesizer)

 

Website:

Amazon

Bandcamp (CD Version)

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CD Review:

フィンランド、ヘルシンキ出身、ドゥーム・メタル・バンドであるHorse Latitudesが2013年にレコードとしてリリースし、2015年に1曲のボーナス・トラックを追加しコンパクト・ディスクとして再リリースされた、3rdフル・アルバムにあたる『Black Soil』。

その音楽性は、中音域から高音域にかけての抑揚の少ないメロディ・ラインを歌い上げるハ個性的なハイトーン・ヴォイス、低音域の苦悩の唸り声を上げるデス・ヴォイスという、その二種類の声色を操る男性ヴォーカルをフロントに迎え、ツイン・ベース、シンセサイザー、ドラムなどといった生楽器を配した、華やかさとも煌びやかさとも一切無縁のシンプルなバンド・サウンドによる暗黒のドゥーム・メタルが、一枚のCDアルバムの全編に渡り展開されています。
Bandcamp上のオフィシャル・ページでは、スロー・アンド・プリミティヴ・メタルを自称されています。

前作にあたる『Awakening』は、男性歌手によるクリーン・ヴォイスを主体としたドゥーム・メタル界の名盤でした。
本作にあたる『Black Soil』にも大いなる期待を持ってiTunesストアにてダウンロード致しましたが、男性ヴォーカリストとして在籍するHarriによるデス・ヴォイスが増加していて、クリーン・ヴォイスとの比率が五分五分となっている点が、あくまでも私としては少なからず残念に思ってしまいました。


このHorse Latitudesというバンドの持つ魅力は三つあります。

まず一つ目はギタリストが不在の状態のダブル・ベースという個性的な、破壊的なバンド編成、二つ目はキャッチーさとは無縁の抑揚の少ない呪術的なメロディ・センス、そして三つ目は聴き手によってはヘタウマとも捉えられかねない、Harriによる個性的なハイトーン・ヴォイスです。
クリーン・ヴォイスによるパートが素晴らしいので、許容する事の出来る範囲内ではありますが、それでもやはりデス・ヴォイスによるパートになった途端に、残念に思ってしまうのです。
このHorse Latitudesというバンドの場合、デス・ヴォイスは、時折感情が爆発するかのような立ち位置、楽曲のアクセントとして味付けをする程度で十分です。

楽曲そのものが持つ音圧、破壊力、そして完成度も、前作にあたる『Awakening』に軍配が上がります。
ただし、Bandcamp上のオフィシャル・ページにてスロー・アンド・プリミティヴ・メタルを自称されている通り、このHorse Latitudesというバンドは、重厚な音質よりも、まるで埃を被ったかのような、原始的な音質を掻き鳴らす道を選んだだけなのかも知れません。

バンド・メンバーによるクレジットを確認する限りでは、本作にあたる『Black Soil』では新たにシンセサイザーが導入されているようなのですが、無知な私には一切分かりませんでした(笑)。

稚拙な文章を連ねましたが、前作にあたる『Awakening』の完成度があまりにも素晴らしすぎただけなのでしょう。

本作にあたる『Black Soil』もまた、この一枚を単体で聴く分には中々の完成度を誇っていると思います。

 

単体の楽曲の尺の長さは9分から17分、そして一枚のCDアルバムをトータルすると全3曲36分という、圧倒的な大作志向の元、楽曲を制作するバンドのようです。

前作にあたる『Awakening』と比較すると楽曲の一つ一つが長尺に制作されているので、ある種の聴きやすさを保つために、デス・ヴォイスの比率の増加という道を選んだのかも知れません。

 

尚、Bandcampにてダウンロードする事が可能な、再リリースされたCDアルバムのヴァージョンの方では、1曲のボーナス・トラックが追加されています。

私はiTunesストアにて元々のオリジナルのヴァージョンの方をダウンロードしたので、少なからず後悔致しました。

Bandccampにて試聴する限りでは、ドゥーム・メタルの名に恥じない、暗黒のオーラに包まれた一曲へと仕上がっています。