7回目の外来。妻の姉のHLA検査の結果が出る日。

 

『移植ソースによって移植の成功率が変わる」。移植自体は、もちろんリスクが伴うが、フルマッチの血縁者からの移植は、成功する可能性が上がる。

 

 2週間前に、「骨髄バンクにHLAがフルマッチのドナーはゼロ。1座不一致でも数人しかいない」と告げられていた私たちは、口にはしないものの、最後の望みをかけるかのように、この2週間お姉ちゃんとのフルマッチを願い続ける日々を送っていた。

 

 私も昼休みに会社の近くの神社に毎日行き、祈り続けた。だが結果は「半合致」…。主治医にしれっとその事実を告げられた時、命を削られる思いがしたはずだ。だが「そうですか!」と気丈に返事をした妻。

 

 もちろん完全に合う確率が25%。1/4とは知ってはいるが、仲のいいお姉ちゃんだからこそ、お姉ちゃんに賭けていた妻。恐らく難しいと思いながらも…寄せていた淡い期待。

 

 しかし奇跡は起きなかった。院外薬局で薬を貰うのに1時間かかり、そのかん、ずっと塞ぎ込み続け、帰宅後倒れるように畳の上にへたり込んだ妻。

 

「何も悪いことしていないのに、なんで。子供も産んでこれからなのに。生きたい…」。彼女から流れる大粒の涙。

 

 僕は、ただただその叫びに似た声を、じっと聞いていることしかできなかった…。