東北の冬は厳しいよ。想像もつかないほど雪が降る。山の中の観光地の道路なんて、両脇の雪がバスの車高より高いんだからね。
ま、子供の頃には真冬の夜でも、雪掻きやらされた、屋根に登って雪降ろしだよ。
もう命がけでね。でも雪降ろししないと、家が潰れるもんよ。
俺は冬は立春の日までの百日間は特別な寒稽古だよ。厳しい冬に「来るな!」って言ったって来るんだ。それなら、冬を利用して成長するまでよ。
この時期はね、俺は、普通の稽古に寒稽古に、雪掻き。雪掻きで、汗だらだらだよ。夏より汗かいてる。だから、俺は、その間は、冬が寒いとは感じてない。だからね、ま、困難やら、なんやら、あるけれども、取り組んで戦ってる時には、意外と苦しさは感じないもんだろうね。戦ってる心、努力してる心は平穏なものかも知れない。
仕事でも、宿題でも、その門前で
「やらなきゃならないね。嫌だな、きつそうだ」
と思ってる時がいちばんしんどいんだろ。実際の業務より。
大阪辺りから、電話してきて、
「岸先生、寒いですか、寒いはずですよね、寒いに決まってますよね。あー寒そう!想像しただけで寒いです!」
とか言って、電話の向こうで寒がっている奴が一番ご苦労な話だよ(笑)。
「あなたの存在が寒い」って言いたくなるよ(笑)
行動が一番、楽だね。
(聞き書き 不動武)
