ビンテージウォッチの多くは防水性に乏しく使用するときはなるべく水に濡らさないにしなければなりません。製造時に防水機能を与えられた時計でも何十年と経つうちに外的な衝撃や金属劣化により防水性は徐々に失われていくため、たとえ10気圧以上の防水表示があったとしても額面どおりの性能は期待しない方が良いと思います。

「スナップバックならともかく硬いステンレス製のスクリューバックなら大丈夫だろう」と思われがちですが、開けてみたら合わせ部分やネジきりの山がサビでボロボロということが何度かありました。錆び付いたステンレスのスクリューバックはとても厄介で、専用の開閉器でも開かない場合は潤滑油やサビ取り液を染み込ませ数日そのまま置いたりします。またやっとの思いで開けたと思ったら、今度はねじ切り部分の侵食が邪魔して裏蓋が閉まらなくなることもありました。こうなると大変です。やすりなどでサビを削りながら慎重にネジ切りの溝を再生しなければなりません。

一般に錆びないと思われているステンレスですが、水分・埃・塩分や酸・無酸素状態などの条件が揃うとサビが発生します。腕時計の場合、これらの条件が最も揃いやすい場所がケースと裏蓋の合わせ部分なのです。特に夏の間は汗を掻くことが多いため、水に濡らさないようにしていても合わせ部分はサビが発生しやすい状況になります。あと「ステンレスは錆びない」「スクリューバックなら中に水が入らない」といった思い込みや過信から不用意に雨や水道水にさらしたり、何年もの間メンテナンスに出さずにいたりしていることもサビを進行させる要因になっているものと思われます。

ならば、近年に作られた金属疲労の少ない時計なら大丈夫かと言えば必ずしもそうとは言いきれません。5~10年ほど前に作られた時計で表面上はとてもきれいなものでも開けたら真っ赤なサビが一面に出ていたことがありました。確かに近年の金属加工の技術は高く防水性も向上していると思いますが、使用状況や環境は千差万別であり、結局のところは構造や新しい古いに関係なく定期的なメンテナンスを怠ってはいけない、ということだと思います。