Men of destiny(仮)

Men of destiny(仮)

一言でいえば妄想垂れ流しブログ

暖かい目で見守ってやって下さい

Amebaでブログを始めよう!

「ッでぇい!」

俺は気合と共に手にしたロングソードを袈裟斬りに振り下ろす。狙ったのは、前方のゴブリン。

血で染まった刃はゴブリンの右肩から左脇腹に抜け、その身体を寸断した。装備ごと真っ二つにされたゴブリンはその場に倒れ、動く事はない。

「これで全部……か?」

聖堂らしき大広間にはゴブリンの屍がいくつか転がっているだけで、生きている者はいなかった。一応全ての死体を蹴り、本当に死んでいるか確かめてから剣を鞘に納める。

ここは最近ゴブリン―小さな鬼のような亜人種が根城にしている神殿で、もう使われてはいない。

別に「近くの村でここ暫く畑がゴブリンに荒らされているとの話だったので、俺は村人の依頼を受けこうしてゴブリン狩りに赴いている」、なんて事じゃない。

最近は魔物も凶暴化してきて、どの村も警戒して入れてくれないから仕方なくここで野宿させてもらおうとしたら先客がいただけである。

……おっと、自己紹介が遅れたな。

俺はアグレイ。いわゆる風来坊ってヤツだ。

世界中を旅して様々な人と出会い、時には敵対、時には協力しつつその日その日を生きていく。

基本は一人気楽に、気の向くままに放浪している。もし襲われても、盗賊程度ならまず負けないしな。

とはいえ、昔とは違い近頃は魔物や野生動物も凶暴化してきているので、一人旅もキツくなってきているのも事実。そろそろ旅の仲間でも欲しいなー、と思ってはいるが、(自分で言うのも何だが)俺自身そこそこ腕が立つので「絶対必要!」ってワケでもない。

そもそも旅に同行してくれそうな奴が少ないのもあるし、いても大抵ムサいオッサンばかりだったのもある。

どうせ一緒にいるなら、可愛い女の子とかの方がいいじゃん?

ごほん、まあとにかく、一人だと寂しいっていう事だ。それなりの期間、誰かと会話もしてないし。

だから……神殿の奥から聞こえてきた得体の知れない声にすらも反応してしまうのだった。


俺は神殿内の掃討をあらかた終え、火を起こして、さあ休むぞと思った矢先にその声を耳にした。

最初は空耳かと思ったが、耳を澄まして聞くと何らかの意図がある言葉のようだった。その声は……祭壇の後ろの辺りから発生しているようだ。

剣の柄に手を添え、ゆっくりと近づく。しかしそこに人の姿はなかった。

人の姿はないものの、声は相変わらず聞こえる。

「これは……床の下から聞こえてきてないか?」

その声は少し響いているようだった。石畳の下に空間があるらしい。

足で蹴りつけてみるも、変化なし。力技では無理そうだ。

となると、どこかに仕掛けがあるはず。こういう隠し扉的なものには慣れっこなのでそう考え、周りを少し見回す。

「……ん? これは…」

女神像の手が不自然な形になっている。まるで何かを載せるように作ってあるような……、そうか!

俺はその手に体重を掛けてみた。ガコンと腕が少し動く。

―ビンゴ、女神像の手がスイッチになっていたようだ。押すと石畳の一部が開き、階段が現れた。離すとそれは閉じ、通れなくなる。

「つまり、スイッチに一定以上の重量がかかっている間は開いて、それがなくなると閉じるってワケね」

しかし、そうなると厄介だ。

一度階段を出現させ、閉じる前に階段を下りることは可能だ。だがそうなると、帰りは閉じている事になり出れなくなる可能性がある。ここは人も立ち寄らない古びた神殿、そうなればここでミイラ化するのは必至だ。

かといって、俺の荷物の中でスイッチを反応させる重さを持つのは腰にあるこの剣だけ。これを載せて行って罠だったらどうする? 丸腰で魔物と戦うのは、そういう修行を積んだヒトでなければ無理だ。

「どうするか……」

安全性を重視するなら、ここはスルーしておくのがベストだ。

ベストなのだが、もし本当に助けを求めているヒトがいるとしたら? 俺はそれを一生悔やむかもしれない。

そして、俺の取った行動とは―


「正気じゃないな、俺……」

丸腰の俺は、壁のたいまつを頼りに階段を下りて行く。一段ごとにこの世から一歩遠ざかるような感覚に襲われるが、今更戻るのもカッコ悪い。

誰かを見殺しにして生きるより、例え命を落としても助けた方がマシ。俺はそう思っているのだ。

とにかく、そろそろ冥府に着くんじゃないか、と思うくらいの時間階段を降り続け、やっと到着したのはこれまた広い大広間。

声はその奥の方から聞こえてくる。

俺は壁の松明を一本取り、意を決して進む事にした。背中を壁に付けつつ慎重に歩みを進め、幸い何の障害も無く、奥まで辿りつけた。

頑丈そうな巨大な騎士の像が2体並んでいて、片方は半壊している。

その2体の間に何かの模様が彫られた箱があり、声はそこから漏れ出ているようだった。その箱は鎖が何重にも巻かれており、南京錠が幾つもある上にこれでもかと札が貼られている。

「…………これって、開けたらマズイ感じのやつじゃあ?」

流石の俺も躊躇してしまうほどのヤバさだった。

あけたらミミックが襲ってくるとか、魔神クラスの魔物が復活するとかそういうのに近いんじゃないか。ここまで来て言うのも何だが、来なきゃよかったなぁ。

なんて言ってても、来てしまったものは仕方ない。

あわよくば開かなければいいのに、と内心思いつつ、まず鎖を軽く引っ張ってみる。

……ガキン! と音がして引き千切れた。老朽化してたんだろうか……。

鎖が切れた以上、南京錠は意味を成さない。これで二つの関門は突破してしまった。

残るは札。いかにもすぐ破れそうな札だ。

いやいや、それでも聖なる護符だぜ? そう簡単に破れるはず(ビリッ)が―ビリッ?

妙な音がしたので、手元を見る。

札の 破片を 手に入れた!

「オーマイガッ!?」

その瞬間、箱はバーン!と音を立てて勢いよく開いた。

『HYAHHOOOOO!!! やっと外に出られたよ!! あー、何百年振りかなぁ、誰だか知らないけど、封印を解いてくれたそこのヒトありがとーっ!!』

そしてやたらとハイテンションな叫びと共に、さっきからの声の主が飛びだし、ザクッと石畳の床に突き刺さった。

……って、『突き刺さった』?

「!?」

よくよくその声の主を見て、俺は言葉を失った。

『ん? なになに? 僕の顔に何かついてる?』

「……け、」 

『?』


「け、剣が…………喋ってるー!!?」





≪続く≫