あなたは毎日、どのような櫛で髪を整えていますか?プラスチック製の櫛で静電気に悩まされたり、髪が傷んだりすることはありませんか。
今日ご紹介するのは、日本で長く愛され続けてきた伝統的な 「つげ櫛」 です。天然の黄楊の木から作られるこの櫛は、髪や頭皮に優しいだけでなく、丁寧な手作業による佇まいそのものが、日常に上質な時間をもたらしてくれます。
01 伝統の技(つげ櫛 本つげ)
つげ櫛の歴史は古く、縄文時代末期までさかのぼると言われています。
日本では鹿児島県(薩摩)や京都などが主な産地として知られ、特に薩摩黄楊(薩摩つげ) は「一生もの」として高い評価を受けてきました。黄楊の木は「千年矮」とも呼ばれ、成長が非常に遅いことが特徴です。
黄楊木はその緻密で均一な木目と、適度な弾力性から、将棋の駒や印鑑など細工物にも用いられてきた良材です。
一本の櫛が完成するまでには、選木から始まり、乾燥、成型、歯切り、研磨など、多くの工程が必要です。熟練した職人でも、一日に完成させられるのはほんの数本という、まさに手間と時間をかけた逸品なのです。
02 自然の恵み
プラスチック製の櫛と黄楊の櫛の最大の違いは、素材そのものが持つ特性にあります。黄楊の木は天然の油脂を含み、使い込むほどに髪に艶を与えると言われています。(桃の木櫛)
東洋医学の視点から見ると、黄楊の木には「理気活血、烏髪固発」(気の流れを整え、血行を促進し、黒髪を保ち、抜け毛を防ぐ)作用があると考えられています。
《本草綱目》には、黄楊木は「無火」(火気がない、つまり温めすぎず冷やしすぎない中性的な性質)であり、梳(くし)や印を作るのに最も適していると記されています。
つまり、黄楊の櫛で梳くことは、単に髪を整えるだけでなく、頭皮の血流を促進し、健康な頭皮環境を育む ことに繋がるのです。
03 選びのポイント
一口につげ櫛と言っても、その形状や歯の間隔は多様です。自分の使い方や髪質に合った一本を選ぶことが、長く愛用するコツです。
(蓮 かんざし)
まず、代表的な形状を見てみましょう:
解梳(解櫛): 最も伝統的で基本的な形。背の部分に厚みがあり、持ちやすい。
整梳(セット櫛): 歯が細かく、先端が尖った部分(柄)がある。分け目を作ったり、髪を整えたりするのに向く。
男梳(男櫛): 男性向けで、スーツの内ポケットに入れて携帯しやすいサイズ感のものが多い。
手柄梳(手付櫛): 持ち手が付いた女性向けのタイプ。解梳の持ち方に慣れない方におすすめ。
次に重要なのが、歯の間隔(歯幅) です:
中歯: 歯間約2.4mm。直毛や普通の髪質の方に適した、最も一般的な間隔。
差荒: 歯間約3.0mm。少しウェーブがかかった髪、やや太めで量が多い髪、絡まりやすい髪におすすめ。(髪飾り成人式)
荒歯: 歯間約3.5mm。強い巻き毛、非常に太くて量が多い髪、頻繁に絡まる髪に適している。
髪が細くて少ない方は歯の間隔が狭いものを、太くて多い方は間隔が広いものを選ぶのが基本ですが、頭皮マッサージを重視する方は、あえて間隔の広いものを選ぶこともあります。

