私が18歳の時、とある雑誌に乗っていたこの椅子。
いつか大人になった時。
かっこいい大人になった時。
この椅子を必要とする大人になった時。
そんな時この椅子を手に入れるんだと夢焦がれていました。
ただ、果たして今の私は当時憧れていた大人になれたのだろうか。
誰からも人望を集め。
誰からも尊敬され。
仕事で成果を出し。
夢をいくつも叶えている。
全てがまだ途中だ。
そんな自分に今、この椅子がふさわしいだろうか。
夢を何か実現、達成できたのだろうか。
疑問が残る。
子供の頃に描いた夢は突拍子もない事や現実的ではない事が多い。
私はそうだった。
大人になるにつれ、膨らんだ夢はどんどん「現実」という針に刺され割れてしまう。
私は割られた数の方が多かった。
誰のせいでもない。
自分で割ったんだ。
あきらめ。
妥協。
リスクヘッジ。
挑戦しなかった訳ではないが、そうした数の方が多い。
そんな、なにもなかった時の数少ない「大人」になった時の夢。
皆からいうとさほど大きな事ではないだろう。
常に肌身離さず身につけるものでもなく、
必ずなければならないものでもない。
それでも10年という月日、ずっと求めていたものは数少ない。
それが今日叶ったのは本当にうれしい。
きっと、今日の気持ちを心に刻み１０年後、２０年後と見守ってくれるだろう。
その時、「たいして成長していないかな」と思うかもしれない。
それでもこの椅子に見守ってもらいたいと思う。
そんな悪戦苦闘した過去の自分と対峙できる唯一の存在として。
「莫煩悩」
煩悩するなかれ。
迷わず悩まず、
ただ一心に目の前の事に取り組め。
