僕は強かった しかし 一番強かったのは弟かもしれない。
ストリートファイターⅡ
1987年、ゲームセンターがまだまだ健全でない不健康優良児の集いの場として世間に知られていた。
僕の住んでいる町は鹿児島市(鹿児島一の都市)からは20km以上離れた片田舎だった。
僕は当時中学生。
週末はその鹿児島市まで塾に行くのが日課であったが、
ゲームセンターのスリルと楽しさには変えられず、最もカモにされそうな立場と自覚しながらも、
それなりの覚悟を持ってゲーセンに入場していた(このころは入場と書いてあった)。
そんな、夕焼けと朝焼けが二重発生しているような心ときめく場内の中で、一撃!心貫かれて体を電流が走り抜けた。
ストリートファイター、である。
略称があるとしたらストⅠ。
誰だと思ったら、あのカプコン!当時から他社とは圧倒的に違うセンス、違うスタイル、違う緊張感(当時そのセンスで対抗できたのはアルゴスの戦士くらいか。)
で魔界村を作ったあのハイパーセンス!そのカプコンが放つ格闘ゲーム、ストⅠ。日本のワルとは次元が違う、世界の不良(というよりもう殺し屋?)を日本人青年が素手で屈服させるゲームだ。
電流が走らない訳がない。
筐体がホールほぼ中央に陣取り、離れていてもゲーム音がビリビリ体にシビれ染み入ってくる。
「こっちに来い」状況だ。
ブルっていた。と思う。
プレイヤー選びますと言っている様な真っ赤な機体は威圧しまくりながらも完全に僕をチャーム(魅了)した。
畏怖の念すら携えているので100円玉を入れるのに激しく躊躇する。その間に大人たちが我よといわんばかりに挑みかかる。
指をくわえて見ている自分が情けない。
猛烈な台風の日に青空が一瞬見えるのと同じように挑戦者達が一瞬、誰一人いなくなる刹那、僕は100円玉を持ったままの固まる右腕を気力と体全体をつかってスタートボタンに押し入れる。
「ドゥリドゥリドゥリー」コイン投入!
ゲームスタート!全会場に告げられるように闘いは問答無用で進められる。
まずは国選び!つかの間の自分のペースだが、
もう既に、かっこいい、かっこいい、ただひたすらかっこいい!
日本・中国・アメリカ・イギリス
(ここは選択肢でいったら日本だ。中国だけはまずい、リーとゲンとは可能な限り戦いたくない。
あいつらのむちゃくちゃぶりは今考えてもご遠慮したい。アメリカのマイクはいいのだが、ジョーのローリングソバットは超危険なカミソリだ。
できることなら避けて通りたい。イギリスは日本の次に選択肢だ。だがバーディの頭突きにはまったらいけない。イーグルの棍棒もやっかいだし、見ているだけで痛い)
そんな訳で
JAPAN!
烈との闘いだ!
紅葉が印象的な美しい日本の光景だ、やはりここでもとにかくかっこいい!!
(なんてこった、完全にチャーム洗脳されている!)
この烈、最初の敵ではあるが、ペースを握らせたらめちゃくちゃ強い。
ものの数秒で100円玉を吹き飛ばす男だ。中学生にとっては100円はまだまだ大金。
それ以上に僕にとっては夢のステージにどれだけいれるかという大緊張の初戦だ。
レバーは始まる前から手汗でベトベト、ボタンに置いている右手はすでに熱い。
ここで一つ確認したいことがある。
このゲーム、レバーは変わらないが、ボタンはサンドミットのようなものが2つ。
それを叩く強弱で技の強さが変わるのだ。
だから浅はかな知恵で凄い強さで叩くのだけれど、相手がすばしこいので空しい空振りが続く。
さらに一発の威力が強く、下手すれば2発くらいで試合が決まってしまうのだ。
だから1ラウンド終わっただけでも右手の平が火を吹き、体力も精神もヘトヘトになるのだ。
それゆえ、本当に命のやり取りのような感じなのである。
そしてもう一つ、後で知ったことなのだが、このゲーム、ガードできるのだ!
今は一般的なレバーを後ろに倒すと自動的にガード。
この時代にそんな概念はなかった。
少なくとも僕にはなかった。
敵の攻撃は当たったらいけないものだった。
スパルタンXもイーアルカフーも相手が自分に触れたら死ぬか、よくてダメージが減るだった。
だからリュウと烈が合間見えてハチあったらただ連打だけだったのだ。
と思っていたら、ガードできる!
まるでゼルダの瓶に”モノ”を入れることが出来る!と同じ感覚だったのだ!
凄いぞストⅠ!
しかし、ここではストⅡの紹介をしたく、ストⅠの紹介ばかりになってしまいそう。
次の敵、ゲキも紹介したいところなのだが、ストⅠは次の機会に触れることにしよう。
それぐらい、ともかく凄い、ストⅠ.
抜群のセンスをもった、中坊の手をひねるくらい朝飯前のゲームだったのだ。
しかし、時は過ぎる。
人々は僕ほどストⅠにこだわっていなかったのか、、、成長とともにストⅠ熱を自分の中にしまいこみ、その衝撃はもう二度とくることはないと中学生ながらに感じていた。
時はその間、4年間も沈黙を守る。
そして、、、、、時は、動き出す!
ストリートファイターⅡ この世に登場!!!
今でもガイルの回転バック中時の鮮やかな迷彩グリーンがはっきりと描写される!
他にもザンギエフ・本田・チュンリー、ストⅠに登場しても何ら遜色のないキャラクターが多彩に躍動する。
そして、個人的に好きな飛び道具的変キャラも!ダルシムに、ブランカ!
なんてーワールドだ!その全てを使いこなしたい!!
そして、!?
おおおおおそしてあれに見えるのはケンじゃないか!?
ストⅠ時代ゲーセンで1回だけ見たことのあるケン!
次にプレーしたい人が、現在他の人がプレイしているにもかかわらずコインを入れておいて、次にプレイする意思をコイン投入によって表明する。
その時プレイ中に間違えてスタートボタンを押したら対人対戦ができるようになっていた!
(もちろんコイン入れた予約者は赤の他人と対戦したいのではなくて、次に確実に1人でプレーしますよという行動と意思表示だったのだが。)
つまり100円足されている状態でスタート押したから2P対戦になってしまった!
その時のみ出現するリュウと同能力者、ケン!
(因みにこの時プレイしていたのは僕の友人N。プレイ中にスタートボタンを押したKYな人。
次予約者に「あ~あ~、100円弁償してよ、そのケンとの闘いは自分で楽しんでよ」
というのを、はぁ?はぁ?と困惑しながらも素立ちのケンを2R連続瞬殺した。もちろん弁償していない。)
それは置いといて。
おおおおお!!何て粋なんだ!カプコン!!
ケンじゃあないか!
僕は嬉しかった。
ストⅠと繋がっているのが嬉しかった。
ストⅠのかっこよさを諦めた心にエンジンがかかり、アクセルが踏まれた瞬間だった!
かっこいい、かっこいい、かっこいい!!
カプコン、かっこいい!ケン頑張れ!!あの金髪に赤道着というおしゃれに無頓着なのか、実はすごいおしゃれなのか分からない所も良い!
良し!良し!良し!!
しかし、はしゃぐ僕の心にぐっさりと刺さったままのくさびがあった。。。
実は僕には絶対にアクセルを踏み込めない事情があったのだ。
それは
それは
それは
僕は浪人生だったのでーす!!
その勉学しないといけないというキングザ100tよりも思い義務感に押しつぶされ、
それをどこに行くにも引きずりながら歩いている時分に
スーパーファミコン版ストリートファイターⅡは発売されてしまったのだった!
ふぁいっつ!
買った、やった、やりこんだ、アクセル全開、フルスロットル!
難しいコマンドも何のその。スクリュードライバーに昇龍ダンス。 落ちた。すべった。そりゃそーだ。
もう仕方ない。
結論から言うと次の次の春、晴れて大学生にはなったが、
それなりの時間を有してしまった。
しかし、全く後悔はしていない。
僕はそれに変わる歓喜の時間を持ちえたからだ。
自分に虚を言い聞かせフタを閉めていた人生を開放し幸せを思う存分満喫したからだ!
そしてそれは新たなストⅡキャラクターに完全にチャームされたからだった。
その際たるものが四天王!
ここでは何と二つ驚かされてしまった。
マイク・バイソン! マイク・バイソンってあのストⅠのマイク!?
アメリカの四人の大統領の顔石造があるラシュモア山前にて死闘を繰り返したあのマイク!?
背が縮んだ分、がっしりしたなぁ~。
それとそれと何といってもあのお方、サガット!
ストⅠで遂に勝つことのできなかったあのサガット!
あの、まさにそびえる壁。最後のボスにふさわしい強者(とも)にどうしても勝つことができなかった。
こみあげてくるものがある。
そして設定ではリュウはあのサガットに勝ってともの胸板にその勝利の印、昇龍拳の痕をつけたというではないか!
くくく~!!
ま、いいか。
当時サガットのステージに建っているあの建物が美しくて、社会の永山先生に聞いて名前を調べたものだ。
しかし間違えてインドのタージマハルという結果を自分の中で出してしまった。(笑)
話が脱線してしまう。
そんなストⅠキャラの遺伝子を確実に受け継いだのがストⅡキャラ(Ⅱだから当たり前なのだが)なのだ。
かっこよくないわけがない。
そして出会うべくベガに出会ったのだ。
四天王と言いつつも3人までしか表示されていない超超難敵を死闘の末、倒して会うことの許されるベガ。
その顔面自体がナイフの切れ味すら想像させられる冷たさ。そして出会ったが最後、五体満足では到底家に帰してくれそうにない常軌を逸脱した表情。
弱っちろいものを踏み潰して道路のシミにしてやると言わんばかりの眼光。それを大真面目な体で実施せんとする本人。
はぁ~、、かっこいいよ、カプコン。
もはや鷲沢に似てようが、帝都の加藤に似てようがどうでもいい。
それからその大味な大それた考えを全うすべきベガに惚れ、ターボが発売になり、至極自然体でベガ使いになった。
らうんど2-、ふぁいつっ!
対戦相手は弟。
リュウ・ケン・サガットなどの昇龍コマンドがあるのが好きらしい。
そんな弟にベガよろしく微塵の情けもかけず、サイコ引き回しの刑を来る日も来る日も実施した。
朝から晩まで散々引き回されつづけて体力の限界だったろうリュウとケン、そしてサガット。
しかしその眼光は暗闇の中に一筋の光明として消えてはいなかった。
そして遂に絶対悪の総帥は五分と五分ぐらいにまで持っていかれたのだった。
この俺様ベガ様に対等するとはなかなか・・・と思っていた時に僕は武者修行に出る日が多くなった。
しかし、対戦順(スーパーファミコンでの話)においてはⅡコンが回ってくることが多く、どうもコマンド系のキャラクターを選択するといつもの調子がでない。
ついついベガに頼ってしまうのだが、それも○カの一つ覚えみたいなところがあって、全てを使いこなせる僕に動揺を感じてしまった。
弟相手・コンピュータ相手には軽かったのに。。
そしてその時、愕然とした。
僕は自宅では一時もⅠコンを離していなかったのだ。
弟は僕のいない時はコンピュータとⅠコンで、僕との試合はⅡコンで闘っていたのだ。
あの、Ⅱコンでの昇龍の出しづらさっていったらない。僕が仮にⅡコン側に回ったら50%の確立で昇龍拳がしゃがみパンチになるか立ちパンチ、
良くて派動拳であろう。
サイコのスピードに合わせて確実に昇龍で打ち落とすなんてできなかったに違いない。
なんてこった。。。修行の道はまだまだ長いのだ(あんただけ)。
僕は強かった。(相当な思い込み)
でも弟はもっと強かったのだ。
今日のブロガー:TetsuRo
本日の記事は duneのサイトで製作中のお手紙ページで読むことができます。
TetsuRoのキャラクターに対する想いを綴っておりますのでぜひご覧くださいませ。
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