8月も終わりますが、まだまだ暑さは続きそうです。
8月後半分の読書感想です。
1.かがみの孤城 辻村深月
内容:どこにも行けず部屋に閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然、鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先の世界には、似た境遇の7人が集められていた。胸に秘めた願いを叶えるため、7人は隠された鍵を探す…。
感想:最初は最近多い学校のいじめをテーマにした本かと、期待外れのスタートでありましたが、途中からミステリーファンタジーとなって引き込まれように一気読みしました。
登場人物達が驚くほど見事にかかわりあって感動のラストに続く、久々のいい本でした。
2、最後の息子 吉田修一
内容:ゲイバーを経営するオカマの閻魔ちゃんの家に転がり込んだ「ぼく」。昼過ぎまで寝て、起きたら読書したり散歩したり、ときどきはガールフレンドとデートしたりと、気楽な日々を過ごしているのだが、ある事件を契機に、そんなモラトリアム生活がうまくいかなくなってしまう。「ぼく」のビデオ日記に映っていたものとはいったい――?
第84回文學界新人賞を受賞した、鮮烈なるデビュー作。
感想:著者のデビュー作ですが、中身の濃い作品の印象でした。
本作を考えその後の活躍が確かに感じさせるものでしょう。
これから読む予定の「国宝」「横道世之介-続」と作品が楽しみです。
3・ファーストラヴ 島本理生
内容:臨床心理士の真壁由紀は、父親を刺殺した女子大生・聖山環菜を題材としたノンフィクションの執筆を依頼される。環菜やその周辺の人々と面会を重ねていくうちに、環菜の過去が浮かびあがり…。「家族」という名の迷宮を描く長編小説。
感想:本作の臨床心理士には思い入れがあります。
知人が大学入学時は臨床心理士をめざして心理学科を勉強していました。
難しい職業なので心配していましたが、諸般の事情があり、県庁に入社してほっとしたのを覚えています。
この本でも主人公の臨床心理士は大変仕事だと実感しました。
4.老後の資金がありません 垣谷美雨
内容:後藤篤子は悩んでいた。娘の派手婚、舅の葬式、姑の生活費…。しっかり蓄えた老後資金は激減し、夫婦そろって失職。家族の金難に振り回されつつ、やりくりする篤子の奮闘は報われるのか?生活の不安に勇気とヒントをあたえる家計応援小説。
感想:本作のように60歳前で老後の資金が足りないとわかったら相当ヤバイと思うでしょうね。
知人は会社を定年まで無事勤め、退職金も満額もらったので大丈夫でしたが。
本作の主人公も、一先ずの危機は乗り越えましたが将来はどうなるでしょうか。
5.カットバック 警視庁FC 2 今野敏
内容:特命を受けたFC室が警護する人気刑事映画のロケ現場。潜入捜査官役の俳優が脚本通りの場所で殺害された。捜査を始める警察。なんとしても撮影を続行したい俳優やロケ隊。「現場」で命を削る者たちがせめぎ合う中、犯人を捕まえることはできるのか。
感想:今回の現場が例の大森警察署管内で隠蔽捜査のお馴染みのメンバーがFC班のメンバーの他に登場して楽しく読みました。
大森警察署長が本作では交代しており、ユニークなキャラで続きがあれば楽しみです。
ところで隠蔽調査の7をリクエスト中ですが、隠蔽調査は8もあるそうなので、本作とは時系列がややこしいになりそうです。
6.日本人の9割がやっている残念な習慣 ホームライフ取材班
内容:いつも何気なくやっているけれど、その方法は実は…という、暮らしの中の“やってはいけない”モノやコトを集めた1冊。意外に知られていない正しい使い方・行い方を、裏ワザ的なものも含めて紹介する。
感想:今迄常識とされていた習慣を否定し、正しいとされる方法を紹介してくれました。
でも、昔の常識今の非常識は結構あるのですが、今回も参考になる部分もありました。
7.草笛物語 葉室麟
内容:羽根藩江戸屋敷に暮らす少年・赤座颯太は、両親の他界に伴い、母方の伯父の水上岳堂預けとなり帰国した。国許では、江戸で颯太が小姓を務めた世子鍋千代を巡った騒動がおきていた…。日本人の凛たる姿を描く、羽根藩シリーズ第5弾。
感想:最近の著者の作品は面白ない作品が多いので、最後の期待で本作を読みました。
物語は武家物の得意のお家騒動で内容は勧善懲悪タイプで目新しさはありませんでしたが、直木賞受賞作の「蜩ノ記」の続編で登場人物が事件後の子供たちの人生を描いていたため興味深く読みました。