発語が少ない子どもへの支援|より具体的なアプローチ

発語が少ない子どもに対する支援は、「話させること」だけを目的にするのではなく、その子が伝えたいことを、どのような手段でも伝えられるようにすることが大切です。今回は、少し専門的な内容も含めて、発語を支援する具体的な方法をご紹介します。

① プロンプト階層を意識した支援

「プロンプト」とは、子どもが行動しやすくするための手助けのこと。段階的に支援を減らし、最終的に自力で言葉が出せるようにするのが目標です。

プロンプトの種類支援の強さ
身体的プロンプト手を取ってカードを渡させる強い
モデル提示「ジュースって言ってみよう」と見本を見せる中程度
言語プロンプト「なにがほしい?」と促す弱い
自然な状況で待つ子どもが自分から言うのを待つ最も弱い

このように、必要な支援を少しずつ減らしていくことで、子ども自身の「ことばで伝える力」が育っていきます。

② PECS(絵カード交換式コミュニケーション)の活用

発語が困難な子どもにとって、絵カードを使って「欲しいもの」や「してほしいこと」を伝えるPECSは非常に有効です。

例えば、おやつが欲しいときに「おやつ」の絵カードを支援者に渡すことで、コミュニケーションが成立します。

  • 言葉が出ない子どもでも「伝える経験」を積める
  • やりとりのルールを学べる

PECSは、最終的に発語につながることも多く、発達段階に応じて段階的に支援が可能です。

③ TSS(トータルスピーチサポート)

発語に限らず、すべての表現手段を活用して「伝える力」を支援する方法です。

  • 音声… ことば、声、オノマトペなど
  • 動作… 指さし、身振り、手を引く
  • 表情… 喜怒哀楽、アイコンタクト
  • 道具… 絵カード、実物、写真

さまざまな手段を併用することで、子どもの「伝えたい」を形にすることができます。

④ コミュニケーションテンプレートの活用

毎日同じフレーズを使うことで、ことばを自然に覚えていく方法です。

例:

  • おやつの前に「おやつ たべる」「ください」
  • 帰り際に「さようなら」「またね」

繰り返し使うことで、子ども自身が覚えやすく、自信を持って発話できるようになります。

⑤ 発語しやすい環境づくり

「伝えたい」という気持ちが育つような環境設定もとても重要です。

  • おもちゃやおやつをあえて少し遠くに置く
  • わざと「間」を作って子どもが発話できるようにする
  • 子どもの視線や関心に合わせて大人がリアクションする

関わり方一つで、子どもは大きく変わります。

⑥ 自己表現を支える活動との連動

ことば以外の表現活動(絵、音、感覚遊びなど)も、発語支援につながります。

  • 好きな遊びのなかで自然にことばを引き出す
  • お気に入りのものを見せる・話す体験を大切に
  • 「楽しい」「うれしい」気持ちを一緒に感じる

⑦ 家庭との連携

支援の一貫性を持たせるために、学校と家庭の連携はとても重要です。

  • 使っている絵カードを共有する
  • 同じ言い回しやフレーズを使う
  • 「伝わる喜び」を家でも体験できるように

保護者に動画で説明したり、家庭での実践方法を一緒に考えたりすることも効果的です。

まとめ

発語が少ない子どもへの支援は、一人ひとりの「伝えたい気持ち」を大切にすることから始まります。

発語そのものを無理に促すのではなく、多様な方法で表現できる環境と関わり方を整えることで、ことばは自然に育っていきます。

焦らず、ひとつひとつの「伝わった!」という体験を積み重ねていきましょう。