場面緘黙(ばめんかんもく)の子どもへの支援
うさぎです。
今回、場面緘黙について相談される機会がありましたので学習及び記録がてらご紹介させてください。
普段は家庭などで話せているのに、学校や園など特定の場面になると話せなくなってしまう「場面緘黙」。見た目には「恥ずかしがり屋」と誤解されやすく、周囲から気づかれにくい困りごとのひとつです。
この記事では、場面緘黙の子どもたちの理解と支援の方法について、解説していきます。
場面緘黙とは?
場面緘黙は、不安が強く、特定の場面で声を出せなくなってしまう状態です。
- 家庭では話せるのに、園や学校では全く話さない
- 声を出すだけでなく、表情や動作も硬くなる
- 本人は「話したい」と思っていても、体が動かない
これは「わがまま」や「反抗」ではなく、強い不安や緊張からくる心の反応です。
場面緘黙の子どもが抱えているもの
場面緘黙の子どもたちは、以下のような気持ちを抱えていることがあります。
- 注目されることへの強い不安
- 失敗したらどうしよう、笑われたらどうしようという恐怖
- 過去に声を出そうとしたときに、思うようにできなかった体験
そして、「声を出せなかった自分」を責めてしまうことも少なくありません。
支援の基本姿勢
場面緘黙の子どもたちにとって大切なのは、「声を出すことを急がない」「できていることを認める」ことです。
- 無理に話させない
- ジェスチャーや表情、頷きなどでのやり取りを大切にする
- 「今日も来られたね」「目を合わせてくれたね」など、行動面の成功をほめる
「話さない=意思がない」わけではありません。話せない中でも、心の中でたくさんのやり取りが行われていることを信じて関わることが大切です。
具体的な支援方法
① 安心できる環境づくり
- 子どもが安心できる大人・空間を確保する
- 注目される場面を避ける(みんなの前で話すなど)
- 視線を集めない関わり方(横並びで話す、後ろから声をかけるなど)
② ことば以外のやり取りを広げる
- 表情やジェスチャーで気持ちが伝えられたら大きく肯定する
- カードやシンボルなど視覚的な手段で意思表示を促す
- 書く・描くなど筆記でのやり取りも有効
「ことばでなくても伝わる」経験を重ねることが、少しずつ心の安心につながります。
③ まわりの大人の理解を深める
場面緘黙の子どもへの関わりは、個別支援だけではなく、周囲の理解がカギになります。
- 担任・支援員・保護者との連携
- 「反応がない=無関心」と受け取られないように伝える
- 小さな変化をチームで見守る
「話せないから困る」ではなく、「話せなくても、関われる方法がある」と認識を変えることが支援の第一歩です。
支援のステップ
場面緘黙の支援には、以下のような段階的なアプローチが効果的です。
- 安心の確保(関係性づくり)
- 非言語のやり取り(ジェスチャー、視線など)
- 選択肢を使ったやり取り(カード、Yes/No など)
- 小さな声での発声(耳打ち、1対1でのやり取り)
- 状況に応じた話し言葉の練習(段階的に他者や集団へ)
子ども一人ひとりのペースに合わせて、丁寧に寄り添っていくことが大切です。
家庭との連携
場面緘黙の子どもたちは、家庭ではよく話せるケースがほとんどです。家庭と連携することで、支援に生かせるヒントが見つかります。
- 「こんなときに話してくれる」「どんな言い方が好きか」など情報を共有
- 学校では話さないことを否定せず、「大丈夫」と伝えてもらう
- 家庭で自信がつく経験を増やす
まとめ
場面緘黙は、子ども自身が「話したくない」のではなく、「話したくても話せない」状態です。
ことばだけがコミュニケーションの手段ではありません。まずは、目を合わせる、笑い合う、うなずき合う――そんな非言語のやり取りを大切にすることで、子どもは少しずつ「安心して伝えられる場所」として周囲を受け入れてくれるようになります。
ゆっくりでも、一歩ずつ。子ども自身の力を信じて、寄り添っていきましょう。