1983/6/14 長与千種vs松本香 長与が新人時代に一番嫌な相手は・・ | 時系列でみる! 極悪同盟 ダンプ松本 ファンブログ

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極悪同盟(特にダンプ松本さん)のプロレスを時系列で整理します。思い入れのある雑誌処分のためブログに残して廃棄します。「テーマ別」で時系列で閲覧することができます。妄想で書くこともしばしばですが1年(+α)かけてやる予定です

TimTamchannelさんのYoutubeより

AJWW 1983/6/14 長与千種vs松本香 札幌中島スポーツセンター

 

 

(予備用 同じ動画です)

 

 

今回は1982年から1983年にかけて、会社から前座として頻繁に対戦されられた、長与千種と松本香の試合を見てみることにします。

試合は1983/6/14 札幌中島スポーツセンターだと思いますが、違ったらごめんなさい。

 

また長与と松本(ダンプ)の過去話も、雑誌から引用しつつ書いていきます。

 

思いっきり女子プロレスより-----------------------

ベビーフェースとヒールに分断された、年功序列の全日本女子プロレス。

80年代初頭はその掟が根を生やしており、レスラーたちは安住のバランスを保っていた。

長与千種はジャガー軍団の雇用兵として、鉄砲玉のような位置でしかなかった。また力もなかった。さらに慢性化した左ひざの負傷が重なり、得意のキックも満足に出来ない状態。ひとり道場に現れては、悔しい涙を流し、唇を噛みしめながらサンドバッグに八つ当たりしていたものだ。

そして来る日も来る日も、松本香(ダンプ松本)とのシングルマッチ。千種にとって松本は最も嫌な相手だった。何しろ技を受けないで、攻めるだけ。松本は気が小さいところがあり受け身をとるのが大の苦手だった。

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さて試合のほうは、まず長与の入場から。

まだあどけない顔をしています。私が思い浮かべる長与千種とは全然違います。本当に同一人物なのかと思うくらいです。16歳から20歳くらいって、スターダムにのし上がるだけで全然顔つきが変わるものなのですね。

 

 

志生野アナ「例によって、今日もまた空手殺法がさく裂するかどうか」

志生野アナ「男子高校生に圧倒的人気の長与千種であります」

このころは地方公演ではまだ中高生女子よりも、男子高校生に人気だったんでしょうか。確かに女性の黄色い声援は全く聞かれません。また男子高校生が居たのか分かりません。

(ちなみにクラッシュギャルズの結成はこのあとの1983/8/27です)

 

 

志生野アナ「松本です。松本が登場して参りました」

志生野アナ「松本の顔を見ましてね、鈴木ヒロミツさんが声をあげております」

鈴木ヒロミツ「本当に可愛らしいですね」

志生野アナ「なんとも言いようのない愛嬌であります」

志生野アナ「ご覧の重量とテクニック」

志生野アナ「デビル軍団の不沈艦、松本香選手!」

「デビル軍団の不沈艦」、なんという素晴らしいネーミングセンスでしょうか。さすがは志生野アナです。しかしゲストの鈴木ヒロミツさんの"松本愛"が半端ないです。

 

リングアナ「青コーナー、180パウンドォ~、マツッモトォ~カオォ~ルゥ~」

 

ニコニコしながら巨体を揺らしていたら、親近感しか湧きません。お客様からすでに笑いが起こっています。

 

 

選手紹介のあとに松本がコーナーでやっているのは「ドッカーン」パフォーマンスです。松本香シングル時代は必ずやっていたんじゃないかと思います。重量をみせつけるための四股を踏むようなアピールです。

 

 

(なぜか上機嫌の松本のパフォーマンスを、無表情で見つめる長与。果たしてどう思っていたのだろうか)

 

志生野アナ「早くも満員の札幌中島スポーツセンターに、(松本は)何か手をあげて愛嬌を振りまいております」

志生野アナ「この人はなんとなくデビル軍団でも憎めないといいますか、確かにヒロミツさんの言う通りですよね」

 

さて問題です。一体どちらがベビーフェイスなのか!? 

ゲストの鈴木ヒロミツさんが松本好きというのもありますが、松本はお客様に手を挙げてアピール。まるで、ゆるキャラのような仕草。デビル軍団のNo.4、デビューから4年目ですが、まだヒールが板についていません。リングネームの可愛らしさと、金太郎のように太った体型。試合前にいきなり両手をあげてアピールする松本が、すでに笑いを誘います。

 

長与のほうが、不気味なほど何もしてきませんし、闘志を内に秘めすぎて暗さを漂わせます。外にアピールをする気配はありません。

この時点では、もし水着の色が逆であれば、松本がベビー、長与が凶器を後ろに隠した陰惨なヒールと見えてもおかしくないです。

(ちなみに鈴木ヒロミツさんは、デビル雅美、タランチェラ、松本香のファンのようです)

 

ここまで見ただけで、もうお分かりだと思いますが、この時期の長与と松本は、全く息が合っていないのです。松本は登場パフォーマンスから、ヒールなのにほのぼのとお客の心を掴んでいきます。一方の長与はもうひとつシャキっとしません。松本との試合がよほど嫌なのてしょうか。

 

当時のことを松本はこう語っています。

私じゃダメかい!より--------------------------------------------

入門して4年間の松本香は悪役としては、まだハンパだったように思うんだ。

考えてみると、「松本香」って名前は、どうみたって悪のイメージが出てこないもんね。

『青コーナー・・・マッツモトォ、カッオルゥ~』

これじゃ、ワルやっても迫力がない。ゴングが鳴る前から、可愛い子が出てきそうな感じだもの。それに手をあげて登場するのが、チビでデブな選手だと分かると、最初のころは場内から笑い声があがったぜ。

もうそうなったら、お客は自分に対して、親近感をもっちゃう。悪役ってみてくれなくなる。

これで新人のころは、ずいぶん苦労しちゃったもんね。

でも、お客さんは自分が一生懸命やっているのが分かると、応援してくれた。なんせ親しみやすい悪役だから・・・」

「おい、もっと痛めつけてやれよ!」って逆にハッパをかけられちゃった。やっぱり名前ってイメージにあったものじゃないと悲劇だぜ。

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当時のことを長与はこう語っています。

 

デラックスプロレス 88年5月号より-----------------

ダンプってね、本当に相性が悪かった。新人のときはね、試合で当たるのが嫌でね。なんだかビクビクしちゃうの、うまく手が出せなくて。

多分、年齢のせいじゃないかな。私は15歳、むこうは19歳でしょ。そのころの4歳のちがいって大きいよね。なんだか同期だけれども、先輩みたいで。ダンプとの試合は正直、大嫌いだった。それがね、極悪のころか、いつの頃からなのか、ひょいと相性が合うようになった。相性というよりも、もっとこう、動きがあるもの。そうそう、バイブレーションが合った。ウチが出しているバイブレーションと。波長が微妙に噛み合ってきて、1足す1が2以上になってきた。それでふと気が付いたら、新人の頃あれほど嫌っていた人が、かけがえのない、自分の一部みたいな人になってきた。

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デラックスプロレス 87年2月号より-----------------

松永国松「長与は新人時代はケガをすることが多く、ヒザが相当に痛いことは分かっていたんですが、わざと休ませませんでした。そしたら歯を食いしばって闘いました。また故意に長与のイヤがる対戦相手(たぶん松本のこと)ばかりを続けて当てたこともありました。レスラーは"やりにくい相手"というのが必ずあるんです。嫌いな相手とはニュアンスが違うんだけど、とにかくそんな相手とばかりカードを組んだんです。やり易い相手とばかりじゃ、それ以上は成長しなくなりますから。

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さてゴングが鳴ります。ある意味、のっけから面白いです。

 

 

まず松本が長与にあっという間に近づいて、Face To Faceです。昔ドリフのコントで仲本工事に、女装をした高木ブーがくっ付いて回るというものがありましたが、それを思い出しました。

場内からすでに笑いが起こっていますが、松本は真面目にヒールっぽい威圧的なことをしているんだと思います。でもそれが面白く映ってしまうんですね。松本の天性の明るさが災いしてしまうんですね。

 

志生野アナ「早くも場内から嘲笑か起こっております」
志生野アナ「一方、長与選手は松本に比べますと、体の大きさは半分くらいでしてね」

松本が長与をひとひねりで投げ飛ばし、お客様にアピールするが、長与がすぐにキックで逆襲。

 

 

志生野アナ「しかし長与千種には空手殺法があります

志生野アナ「このへんはちょっとお仕置きであります」

鈴木ヒロミツ「ワハハハ」←ウケすぎ

志生野アナ「ちょっとまだお客様に向かってね、えー(笑)、スタンドプレーをするのは早すぎました」

 

 

ハイキックで倒されますが、すぐに松本は得意のボディアタックで主導権を握ります。ボディアタックでも場内は大爆笑。真面目にやっているのに笑いが起こるプロレス、現在はともかく、レフェリーが面白いことをいったり、小人プロレス以外にあったでしょうか?

 

ここまで見て、当時鈴木ヒロミツさんが、松本香を大のお気に入りだった理由がなんとなく分かります。はにかんだ笑顔が可愛いし、調子にのって時々やらかしてるし、天然っぽいです。極悪時代になっても、実はけっこうやらかしているのですが、メイクと凶器攻撃の凄さで分かりにくくなっています。

 

 

志生野アナ「この試合は松本香選手が全日本のチャンピオンベルトをライオネス飛鳥選手に取られてしまいましてね

志生野アナ「現在、ベルトは持っておりません。無冠になってしまいました

志生野アナ「それだけにかえって、妙にチャンピオンベルトをつけていると

志生野アナ「それを意識するようなところも今までにありましたよね

宮本「開き直ったというか、リラックスしてやったほうがいいですよね」

志生野アナ「ベルトを取ったころは、例えば今日みたいな明るさというんでしょうか、奔放な感じがやや無くなって、かたくなって試合をやっているというのがありました

宮本「表情も重かったですね」

志生野アナ「ですからこの人にはむしろ、チャンピオンベルトは似合わないのかもしれません」

志生野アナ「ひと試合ひと試合、体力のすべてをリング上にぶつけるというのがこの人の本領であります

 

 

志生野アナ「長与千種選手が高校生に最近大変な人気なんですけど

志生野アナ「なにか顔だちも一時の少女っぽいところから、大人に変身してきたんじゃないですか

松岡「髪の毛もウェーブがかかって。前はおかっぱ風でしたけどね」

志生野アナ「女っぽさとか色っぽさ、出てきましたよね」

志生野アナ「余計なぜい肉は全くついていない長与千種選手と、余計なぜい肉だらけとはいいませんけど(笑)、とにかくよく肉がついたという松本香選手との対決であります」

松岡「黒のスイムスーツを着て、これだけ引き締まらないのも珍しいですよね」

 

松岡きっこは何気に毒舌ですね・・・。

しかし、志生野さんってやっぱり名アナンウサーですよね。こうやって松本のことも長与のことも本質をついてきます。解説の宮本さんよりも、よほど解説しています。

 

 

やがて攻撃は長与のウィークポイントである右ヒザへの集中攻撃になります。

ようやく松本のヒールらしい一面が出てきました。(ちなみに他の試合の松本×長与の対戦動画でも、長与はいつもヒザを攻められています) 

 

 

リング下に転落した長与に対し、ライオネス飛鳥、立野記代らがサポートに入ります。

そのときに、思いもよらぬこと(というか、これはお決まりパターンなのだが)が起きます。

松本はレフェリーをキックで攻撃します。

志生野アナ「あっと松本、カウントを数えていたレフェリーを足払いであります。これはいけませんよ」

 

息のあった、松本と松永健司(ミスター郭)のやりとり。面白いです。

 

 

よく見れば分かりますが、松本が松永レフェリー(ミスター郭)を蹴飛ばしているのは、明らかに長与が場外カウントアウトにならないように、サポーターを巻かせるための時間稼ぎです。

来る日も来る日も、松本と長与は前座で試合をしているので、右膝への攻撃→長与がピンチ→場外でのカウント→松本がレフェリーを攻撃してヒールアピール→最後の勝負 というパターンになっていたんじゃないかと思われます。

 

松本としても自分をアピールしたいでしょうし、長与にも頑張ってもらいたいという気持ちもあったのではないかと思います。しかし松本も長与も(というか全女のメンバーは)、「自分が目立ちたい」という似た者同士なので、単なる松本自身のアピールタイムだった気がしなくもないですw

 

 

(ちょっと憎たらしい松本の「ザマァねぇな」みたいな顔。最初のゆるキャラアピールが無ければ、ここでブーイングが飛んでいそうなのですが・・)

 

憎々しい感じでコーナーから長与を見下ろす松本。中盤からはヒールらしくなったと思います。でもやはりお客様は松本に野次を飛ばすこともなく、ただただ、中途半端感が残ります。

その後、長与はエビ固め、ショルダースルー、空手の裏蹴り、ボディスラムと怒涛の攻撃。

 

 

最後は謎の高速3カウントでの回転エビ固めで長与の勝利となりました。

 

この試合を見る限り、厳しく見ると前座の域を出ないのが分かります。

(もっとも前座としてみれば正しい前座プロレスです)

 

とはいえ、全女の中では、他に例をみない、あまり殺伐としない独特のプロレスであることも確かです。

それは松本の個性です。ヒールでありながら、親近感があり、「もっとヒールで頑張れっ」となぜか応援したくなる、そんな情けないヒールレスラーはいままでいません。

 

だからこそ、松本香のプロレスは、一部では人気だったのだと思います。

(極端な言い方をすると、小人プロレスに近い親近感に思います)

 

観客はまず巨体の松本に目が行きます。巨体といっても、小さくて横幅が広いので、なんとも微笑ましい感じです。さらに手を挙げて愛嬌を振りまいていますので、憎めません。その後も長与のやられっぷりからの逆転劇もあまり長与に感情移入できません。

 

松本は中盤以降のヒザ攻撃でも、頑張ってはいるのですが、ブーイングが出ませんし、お客様に対する松本への感情が、「憎たらしい」という方向にほとんど動いていきません。

 

長与も全く自分をアピールできていません。得意の空手殺法がほとんど出ませんし、クラッシュ人気になった後での覇気というか、熱いハートみたいなものが伝わってきません。本人もおそらく納得していないでしょうね。

 

長与千種にとって、極悪になる前の松本は、自分を何もアピールできない本当に嫌な相手だったのが良く分かります。何しろ松本の存在感の大きさもありますし、長与得意のシュートスタイル、空手殺法や平手うちなど、これらの攻撃は、長与の線の細さもあって、松本のような巨漢レスラーには通じにくいです。逆転できるパターンは、回転系の固め技に持っていくしかありません。1983年1月の後楽園ホールでのライオネス飛鳥戦ではトンパチ気味で持ち味を出していたのですが。

 

長与はこの時期、シングル戦だと自分の個性を発揮できず、ライオネス飛鳥とクラッシュを結成し、ペアとなったときにはじめて彼女の天性の才能が発揮されていきます。強い飛鳥がいなければ、松本や大森といったパワー系レスラーにはどうあがいても対抗できないし、見せ場を作れなかったと思います。長与はこの2か月後にライオネス飛鳥とクラッシュギャルズを結成したことは、彼女にとって最高のパートナーを得たことになります。

 

そしてプロ意識が芽生えたダンプは、長与千種が考える理想的なヒールに変身していきます。長与千種はプロレスをどう魅せるか、相手を光らせつつ、自分はもっと光らせてしまう。それが長与千種のクラッシュギュルズ結成以後のレスリングとなります。つまり彼女の言うところの"バイブレーションがあう"とはそういうことなのでしょう。ダンプ松本は長与千種にとって、プロレスをやるうえでお互いを光らせるもっとも"バイブレーション"があった相手だったということだと思います。だからダンプ松本が引退したときに、「私の半身が死んだ」とコメントしたのだと思います。
 

後にクラッシュ・ギャルズとなるライオネス飛鳥と松本の試合は以下にありますので、こちらと比較すると面白いと思います。

 

 

 

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せっかくなので、長与千種のこの頃の回想インタビューを抜粋して記載してみます。

 

長与千種

デラックスプロレス1986年3月号より

レスラーになって2年目で千種は苦しさを知る。10歳のころから続けてきた空手、しかし全女で使って良い空手は空手ではない。空手モドキだ。例えば回し蹴り。先輩から回し蹴りは胸板以外のところに入れてはならないと言われた。「胸板って人間の体の中で一番痛くないところなのよ。そこに回し蹴り入れて、一番鈍いところにいれてどうすんのよ・・」 

回し蹴りは本来、相手の胃か、アゴの先端にヒットさせたとき初めてその目的を果たす。胸板にヒットさせることを強要されることは、それは空手とは呼べない。「あと足刀ってのがある。飛び上がって足のかかとの横で相手を蹴り倒す」 これをやれって言われる。ムリだ。レスリングシューズを履いている状態でかかとの横で蹴ることができない。それなら足の裏で相手を押して倒したら、足刀ではない。だが先輩からやれと言われたものは仕方がない。千種は足刀ではない足刀、回し蹴りではない回し蹴りを"空手技"としてやり続けた。

足の裏で蹴る足刀は、あっという間に選手間で「イヌのションベン」というあだ名をつけられる。千種はこのあだ名を虚しい気持ちできいた。「怒る気はしなかった。イヌのションベン? ああいいわよ、だってあれ、空手じゃなかったから・・ネコのションベンだろうと、どうとでもいえばいいよ」

千種は誰とも話さなくなっていった。自分の周りに透明の壁が出来たように感じていた。そのうち全身に湿疹が吹き出した。ストレスが原因となった一種の肝臓障害だった。マネージャ(松永国松)が「梅毒じゃないだろうな」と嫌なことを言う。湿疹の出来た脚を隠すためにタイツを履いてみた。するとジャッキー佐藤が言った。「そのタイツ、オープンでの試合で陽があたると気味悪いわ。やめなさい」。この一言でタイツは流産した。そこで次に空手着を着て肌を隠してみた。するとマネージャが「女子プロレスっていうのは肌を見せるのも仕事のひとつだから」 じゃあ一体どうすればいいのよ。

試合には出してもらえず、千種はもっぱら売店でカップラーメンを売っていた。

沖縄の闘牛場での雨天で右膝を初めて亜脱臼した。バスまで痛みを堪えて歩いたが、バスのステップに這い上がることができなかった。1981年には新人王をとったが、「ベルトを取ったからと言ってつけあがるな」とマネージャに怒鳴られる。あまりに貧乏なのでジャージ2枚しか買えずいつもドロドロの格好をしているのも嫌だった。

売店で働いているときに計算が合わないと泥棒扱いされる。あるとき、同期の松本香が千種にそっと耳打ちした。「チコちゃんが会場いっている間に、先輩の〇〇さんがチコちゃんのバッグの中、調べてたよ」 先輩が前日に不足になった売上金を千種が隠していないか探っていたことが分かったときは全身が凍えた。そのあとマネージャに本格的に詰問され指紋まで取られたときは怒りを通り越して情けなくなった。プロレスは千種にとって売店という意味しか持たなくなった。もちろん試合は「出れば負け」の状態。毎日毎日が灰色の状態で味気なく、千種は自分がすり減っていく音を聞きながら、反抗する気力すら時には忘れ果てた。」

 

ちなみに、この続きは下記のブログ内に記載しています。