人事発表があり、僕は違う部署に移動することになった。

人と仲良くなるのが苦手な僕は、この部署移動がとても不安だった。

部署が変更になった初日、真冬のバス停でバスを待つ学生のように震えていた。

そんな状態の中、ある女性が話しかけてきた


君が松久くん?


声が聞こえ、振り返った。


はい!


僕はカン高い声で答えた。

声のテンションを間違えてしまった。

すると彼女は笑いながら


よろしくね


と言いながら去っていった



この女性の名はあかねさん、一個の上の先輩。

容姿は声優の豊田萌絵に似ていた。彼女は天真爛漫で誰からも好かれるタイプだった。こんな自分とは釣り合わないだろうなと思った。




そしてある日、僕とあかねさんは残業をしていた。仕事も片付いてきて、あかねさんはふと質問してきた。


松久くんは彼女いるの?


僕は答えた


いやいないです。もうかれこれ一年くらいいないですねー


そうなんだー。タイプはどんな子がいいの?


うーん


僕は自分の好きなタイプがわからなかった。


質問の答えになってないかもしれないですけど、、、、上海蟹食べれる人ですかね


あかねさんは笑いながらこういった


何それ?どういうこと?なんか松久くんらしいね



それ以来、あかねさんは自分により一層興味を示すようになり自然と仲良くなっていった。


ねぇ、上海蟹食べれる人見つかった?


おちょくるように聞いてくる日が続いた


そしてプライベートでもご飯やランニングに行ったりするようになった。

たわいもない話をして、無言な時間さえも幸せだった。。上海蟹食べたいなと思える人だった。


ある日一緒に映画を見た後、あかねさんはこう言った


一緒に上海蟹食べない?


そして僕はこう答えた


一杯ずつ食べようね