今回の落語会、お茶子さんが座布団をひっくり返しに来る度
大きな拍手が起きる。
彼女はどなたかのお弟子さんではなくTBS「A-Studio」のAD。
鶴瓶さんの奥様に見立ててもらったお茶子ルックで袖から登場し
万来の拍手を得て去っていく不思議(笑)。
鶴瓶さんの「青木先生」に続いては昇太さんの「時そば」。
「必殺ですよあれ。必殺時うどん!日本で一番面白い時うどん!!」
鶴瓶さん絶賛の時そば(上方では時うどん)は客が二人同時に
そばを食べるというめずらしい設定。この二人のやりとりが非常に面白く
分かりきった話なのに、誰もが大爆笑。
長い、中くらいそして短いそばを一本ずつすする音が超かわいい。
昇太さんの良さが存分に出ていました。
仲入り後は「人生が二度あれば」。
おじいさんの泣きの場面から始まるちょっとシュールな噺。
相変わらず「松の精」は軽いノリだけど(笑)、よく出来た噺で
これはもう完成されたものなんだなと。生意気を言うようですが。
トリは鶴瓶さんの「死神」。
最後のろうそくをどんな風に吹き消すかで
噺家たちが個性を競っているという「死神」ですが
師匠はこの死神を主人公の男の幼馴染の女性にするという
大胆な設定。
ろうそくの消し方も、色っぽくそして哀れ。
会の終わりに流れた映像がなんとも言えず温かい。
先日の「ツルベ噺」といい、映像の作りがとても丁寧。
心をこめるとはこういうことか、と思う。うわっと、ストレートにしみてくる。
鶴瓶師自筆の昇太さん評。
こんな奴、中・高・大でも会ったことない、と。
わかるわかる。
一緒にいて、これほど楽な人はいないそうです。
わかるなぁ。そしてうらやましいなぁ、そんな方が近くにいて。
ホントに…
芸は人柄、スープは鶏がらなんですねぇ。
お二人は生きる至言。
映像に乗せて再び流れた
「あなたに会えてよかった」がまた沁みるんだ、卑怯なくらい。
今夜日本で一番あったかい落語会に行ったのは自分だっ!という
妙な確信と自負。
浅草駅に着くまで
ふるふると温かい液体が
瞳の上で揺れていた。