「100人来たら逆立ちする」という
ちりとてファンを甘く見た放送博物館館長の発言をものともせず(笑)
当館今年一番の入り、立ち見も出る超満員の会場で遠藤CPの講演会はスタート。
※以下、大まかに言うとそんな感じか…という程度に読んで頂ければ幸いです。
《発端》
「風のハルカ」撮影最終日。
最後のシーンを撮り終え、くす玉も割れる感動のクライマックスの只中、
「再来年の10月の朝ドラ」という上司の命を受け、やや動揺する遠藤さん。
当夜の打ち上げを控えながらも、デスクに戻って藤本さんに脚本依頼の電話を。
突然の申し出にもかかわらず、快諾。
(遠藤さんから解説本最終ページのご本人の寄稿を是非読んで下さいとのこと)
《設定》
「京都を舞台にすると数字が取れる」「タイトルの最後に“ん”がつくとヒットする」
等の話もある中、この土地を…というしばりはまったくなかった。
そこで、まだ使われていない場所は?と調べたら、岩手、島根、埼玉、福井の4県。
岩手は「どんど晴れ」に。大阪局で埼玉はない。
島根といえば出雲大社、宍道湖のしじみ…と浮かぶが、福井ってなんだろう?
こういう仕事をしていれば、各県およそのイメージが持てるが福井は格別何も浮かばなかった。
むしろそのことで興味を持たれたらしく、実際に福井に赴く遠藤氏。
福井出身者のお勧めを参考に駅前で越前そばを食べ、鯖江のめがね工場を見学し…。
中でも氏の心を捉えたのは「塗り箸の全国シェア8割」という事実。
「8割って、なんだ?」と。
この家では一膳20000円超の箸を職人が手作りし、その隣では家族ぐるみで流れ作業で作っているし、
そのまた隣では大きな箸工場の裏に、おびただしい有名キャラクターのシールが。
箸のほとんどが福井産なのに、そうとは知られていない。
日本人で「箸ってなに?」という人はいないし、「箸に興味がない」という人もいないだろう。
ということで箸職人の家と決まったが、藤本さんに
「でも最終回が『塗り箸を上手に作れるようになりました』って、地味じゃないですか!?」
と言われる。
「……地味ですねー(^_^;)」
そこでヒロインは大阪に出て行くことに。また一から新しい設定を考えなければならない。
朝ドラは昔、主人公が「働きに出る」というだけで十分ドラマになった時代があった。
今は仕事をするのは当たり前だし、福井の女性就業率は全国でも上位。
仕事でなくてもいいけど、何かに取り組まなければ…。
<つづく>