山登りを始めてから、山関連の雑誌を購入することが多くなった。その中で山岳小説特集みたいなものがあった。
これは、山関連の業界の中で著名な方々が、自分のお勧めを紹介しているものだ。それぞれの紹介文を見て、機会があれば読んでみよう、位に思い、すぐに購入してまで読もうという気持ちもなかった。
昼休み中に近くのbookoffに入り、JAVAの本を探していたときに、ふと思い出したもので、小説コーナーへ足を運んだ。新田次郎さんは、同僚に顔が似ている人がいるので覚えており、なんとなく手にとった小説が、それでした。でもってなんとなしに上下巻を購入し、通勤中に読んでみた。
私は、加藤文太郎という一人の不世出の登山家の人生の虜になったようだ。。社会人としても、登山家としても成功を納めた希有の人であった、その人を、私はうらやましいと思ってしまう。もっとも、そうなるために頑固一徹、自分の意思を曲げずに全うする精神力を持つ人であったのだが。
ヒマラヤ登頂を夢にコツコツと貯金をし、雪山でも耐えられるようアパートの庭で日々野宿をする徹底振りは、並じゃない。どんな誘惑にも惑わず一心に目的を達するタフなところ、私などは見習いたいところである。
それに、なによりもこの人の幸運は外山さんという理解者がいたことだろう。会社の上司によき理解者がいることで社会的に安定した地位を得、志を成し遂げる為に邁進出来たんだろうとおもう。一方で外山さんを通し知り合った女性に関連し、命をおとしてしまうのは、なんともせつない。何故、負い目を感じ振り回されたのか、この人となりの美学が原因だと思った。そして自宅に戻ったという幻覚のなかいきたえた最期は、良かったのか、それとも悪かったのか。私は、文さんにもっと生きて欲しかったなぁ。
そして人生の単独行を卒業し親になって行く文さんをみたかったなぁ
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