4 /13 ドラムのメンテナンス&チューニング依頼を受けNHK HALLへ
(東京公演・2日目)
 
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パール・フリーフローティング・ブラス 14"x5"
「音が詰まってヌケが悪くなってしまった」とのこと
バラしてフルメンテの結果、全く問題なし
ハイピッチの「カーン」とヌケる音が欲しい数曲で使用
(メインはミドルピッチのマスターワークス)
 
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私の判断で、フープを標準装備のダイキャスト→スーパーフープに変更
(ダイキャストフープのスネアをハイピッチでリムショットすると強烈過ぎるアタックしか聴こえなくなりがち)
ヘッドはコーテッド・アンバサダー
カツンカツンのスタッカートなクラック音が欲しい場合以外は無難なセッティングと言える
※エンブレムが逆さまに貼り付けられてしまっているのはご愛嬌
 
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サスティーンが欲しい場合、スナッピーのセットアップにも配慮が必要
私の場合、ストラップは音が悪いので絶対に使わない
スナッピーコード(ヒモ)を使って切れたことは一度も無いし、切れるのは単にメンテ不足
 
スナッピーコードを使う場合でもパールのスナッピーは取り付け位置をチョイスできる
両端(穴の周りがふくらんでいる箇所)にコードを通すと、エンドプレートがスネアサイドに密着する
タイトさを目指す場合には悪くない(私は使わない)が、音が詰まる場合が非常に多い
デフォルトではこの位置にセッティングされており、これが音の詰まりの原因であると推察
 
中央寄りの平らな部分に空いた穴にコードを通すと、コードの厚みの分だけエンドプレートが浮き上がる
それこそ重箱の隅をつつくような話だが、コードの取り付け位置による鳴りの違いは一聴瞭然
単純に音がデカくなるし、サスティーンも圧倒的に豊かになる
今回もこの処置だけで十分な結果を出せたが、フープ交換との相乗効果で格段にオープンな鳴りを獲得
 
※スナッピーに関しては以下過去ログでも解説
 
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メインスネアはRF1450S/C
20プライ・メイプル&バーチのコンポジット・シェルにダイキャストフープというゴツいスペック
CSコーテッドをミディアムピッチに調整
ノーミュートでも不快な倍音に悩むことなく、適度に引き締まったドライな鳴りは歌との相性も良い
 
セットは特注のローズウッドシェル(やや厚めでダイキャストフープ仕様 正確な数値は未確認)
タム類打面:コーテッド・アンバサダー ボトム:クリア・ディプロマット
ドラム本体のスペックとコーティングヘッドの相乗効果でゴツゴツした質感の野太い鳴りが個性的で面白い
ボトムが薄いのでノーミュートでありながらハイレスポンスかつ余計なサスティーンを抑えることに成功
余韻の処理をゲートに頼っているようではイヤモニ全盛の今の現場で求められるシビアな音造りに対応不可能
 
キック打面:クリア・エンペラー フロント:クリア・アンバサダー
現在主流のリングミュート系ヘッドではドラマー村石雅行氏の求めるファットな音像を作るにはタイトすぎる
ヘッド下部に軽く触れる程度の最小限のミュートでキック本来のパワーをスポイルしないように留意
サスティーンはあくまでフロントヘッドのテンションで調整するのが私のやり方
過度のミュートはハイもローもカットされたミッドレンジだけの音になる
(意図的にそういう音造りをしているなら問題ないが)
周波数帯域は鋭いアタックを聞かせる高域から地を這うようなスーパーローエンドまですべて含まれているべき
元々存在する成分はいくらでもコントロール出来るが、含まれていない成分はどうする事も出来ない
エンジニアのEQも基本はカットであり、ブーストするとロクな事にならないという事実を認識すべき