大きな存在から解放されたものの

やはり、見知らぬ土地は心細い。

自分の泊まっているいるホテルからかなり離れたであろう場所は

俺の行動範囲を超えていた。

(やばい! ここまでの行動範囲は 予定外だぞ!) 

精密な行動予定の歯車が狂うのは、そう難しくなかった。

(スケジュールは徹夜作業で管理されていたはずだぞ、俺!)

(俺の能力はこんなものか!)


そう、こんなものなのだ。 

所詮、給料をもらって 食を繋ぐ、サラリーマンの能力なんてこんなものだ。


わかっていた。 でも、俺だけは違うと威勢を張って生きてきた。

(ブザマだな、俺。)  でも~~~


(こんな時のための~ ガイドブック!!!  やはりこれに頼るしかないな。)

旅を助ける必需品。  

そう、それが ガイドブック 


邪魔になるとわかりつつ、

右手にぶら下げていたビニール袋の中には、それを入れていた。

最初のページ。  お!タイ全体の地図。

ペラペラ、めくる。 いろいろな観光地!



じゃ~ここは~~

ん??


どうした?ここはどこだ?

どこなんだ~


(ドン!置いていかないでくれ。 

          ドン!俺はあなたの盾にでも何にでもなります!!)

ま~あがいても仕方ない。

大通りまで、出る。


あっち側に渡りたいんだけどな~~

車が通る。 ブンブン通る。 びゅんびゅん通る。

さて、横断歩道は??


な、、、ない!!!


そうだった、うかつだった。  片道4車線、渡りきるまで8車線。

ここを現地の人は普通に渡るんだったな?

生きるか? 死ぬか? ここは挑戦してみよう。 命をかける理由が俺にはある。。


渡りきったら、男になれる。

渡りきれなかったら、病院か、はたまた雲の上か?

(失敗した~海外保険かけてなかった~~)


この国で 俺は、チャレンジャー なのだ。(いつからだ?)


ちょっと、一呼吸 

現地の人は うすら笑っているのか? 応援してくれているのか?


そう、ここは アウェイ!  みな、敵だ!!!


遠い。。15mくらいか  遠過ぎる。

カール・ルイスの倍くらい跳べばいいのか??

障害物競争にしては、賭けるものが重すぎるぞ? 

車は止まってくれない・・・・

これを渡れば、    ・・・  心の中で何度もつぶやく。

だめだ・・・ひかれる。  明らかにひかれる。


きっと、ご臨終だ!!  ここは ひくのも  だ。


タイ集団の後に続け~~~

2人の現地の人の後ろにさりげなくつく。。

金魚のフン作戦だ!!


お!なんだ、このタイミングか??

道路半分まで 移動する。 (ここはさりげなく。 さりげな~く。後ろへ)


いけるか! 軽くダッシュ!!  現地の人を追い越し、反対側にゴール!!

勝った。 俺は勝ったぞ~~

(主旨はまったく違うが 俺は勝った。  日本人 ゴ~~~ル!)

俺は男になった、多分・・・   ここは自分で褒めるしか・・・・




みな!見ないでくれ~~俺はこんなんで良いんだ~~

もう、何も言わないでくれ~~