【体育学とは何か】
人間は生まれながらに動く身体を持ち、人間の日常生活は身体運動を行うことによりはじめて成立する。
体育学は人間そのものを対象とした学問であり、他の基礎的学問を基盤にして進めることができ、またそれは基礎的学問の単なる寄せ集めというものではなく、そこに運動実践の場、経験の場が存在することでそれらが有機的に関係づけられ体系化された学問なのである。
体育科目は、運動文化に関する科学的研究の成果と方法が実践的に教授される場、実践的に学ぶ場として位置づけられるだろう。

【変化していく身体】
人間はそれぞれの器官、機能の発育・発達に則して、適した時期に適した運動刺激を与えられることで身体は健やかに育ちそれに見合った能力を発揮することができるようになる。
一方で人間は加齢人間伴い、身体は機能的に低下の方向へと変化していく。それは身体の状態や年齢に見合った適切な運動刺激によってその変化を少ないものに食い止めることも可能である。

【身体知とは何か】
言語による説明では理解に至らない、自身の身体をもって、実際に身体を動かし、体験することなしには理解できない知が存在する。言語知、あるいは形式知に対してこのような形態の知を身体知、あるいは暗黙知、経験知とよぶ。

【現代生活とスポーツ】
WHOの定義で、健康とは、単に病気あるいは虚弱でないというだけではなく、肉体的、精神的、社会的に完全な良好な状態である、とされているように、全身持久力、筋持久力、瞬発力、柔軟性といった生活習慣病を防ぎ、日常生活を快適に過ごすということに関連させた身体諸機能が注目されるようになり、時代、環境の変化に応じて健康観や運動に関わる方法も変化している。

【文化としてのスポーツ】
一定の時間ルールや制約の中で、他者と相対したり、力を合わせたりする中で、技術を磨き、パフォーマンスを向上させ、勝者とならんと努力する営みは、その過程で自己開発的作用が及び、その行為によって人間の内面の変容が引き起こされ、教育的価値を見出すことができる。