彼女の仕事はアパレルの商品開発をしていて、
かなり多忙のようだった。
後に他社からヘッドハンティングされるような
敏腕振りを聞いたことがある。
子供の世話や忙しい仕事の合間を調整して、
土曜日の夕方3時間ほど会うことになった。
前回待ち合わせた渋谷駅で待ち合わせし、
先にクリスマスプレゼントの下見にビックカメラに向かったが、目当てのものは生産終了で在庫のものしかなく、欲しい色がなかったので断念した。
彼女はすぐさまプレゼントはあきらめて、重い話しよーか!と意外と軽い感じで話しかけてきた。
(意外とこの状況楽しんでるのか?と内心思った💦)
とりあえずカフェに移動しようと歩き出した。
しばらく歩くと何故か、俺の左側を歩いていた彼女は右側に立ち位置変えた。
どうしたの?と彼女に聞くと、右側のほうがしっくりくるから。と答えた。
そういう些細な行動が可愛く思えた。
カフェに入ると、とりあえず二人ともコーヒーとケーキを注文した。短い時間しかないのと、彼女は帰って子供たちとご飯があるので仕方ない。
カフェの中は重い話を切り出しにくい雰囲気だったので、しばらくは子供たちへのプレゼントの話で濁していたが、彼女の視線が本題に入らないの?みたいな圧を少し感じたので、本題に入ることにした。
俺は女性に対して、引目を感じながら重い話をしたことがない。これまで付き合ってきた時は、大体相手の方が二股掛けていたり、浮気していたり、むしろ被害者側に立つことしかなかったのだ。
彼女の視線は、俺がなかなか本題を話さないでいると
ますます圧が強くなっていく。
とにかく俺は、『ほんとごめんね』とまずは謝罪した。
彼女はううん、と首を横に振り、優しく気遣ってくれているのが伝わってくる。
俺のしてることは第三者から見ると完全にアウトなやつだ。既婚者が独身を偽って婚活する、ということは訴えられたら何も言えない。
それでも彼女が怒ることなく、釈明の場を作ってくれたのは何故だろう、今でも謎のままだ。
そんなに好きになってくれる程の長い付き合いな訳でもなく、毎日連絡取り合ってたものの当時は知り合って1ヶ月半程度のものだったのに。
その場ではとにかく、今置かれてる自分の状況を包み隠さず話した。嘘に嘘を重ねても良いことなんて何もないから。
とにかく全て話して彼女とのことが終わってしまっても、自業自得だと思っていた。
離婚裁判の現状と、いつ頃に決着がつきそうなのかの見通しと、彼女に対してどういうつもりで会っているかをとにかく知ってもらおうと思った。
彼女が納得したのかは分からなかったが、とにかく全てを話すしかなかった。