好きな作家さんもたくさん…ということで、作家ごとに語りたい欲求を満たすべく、
作家100カテゴリでお一人ずつ取り上げたいと思います。
まずは、津村記久子さん。
すでに本のカテゴリで一冊レビューを書いており、そこで出会いに触れていますが、
そもそもは夏の文庫フェアで見たあおり文句にびびっときたことが始まりです。
ご本人もパワハラで退職した経験があり、そういった内容の作品も複数あるため
働く人の小説と思っている方もいらっしゃるようですが、子どもを描いたものなど
多彩です。
一冊も読んだことがない人に勧めるとしたら、以下の3作などどうでしょう。
- カソウスキの行方 (講談社文庫)/講談社

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「カソウスキの行方」
不倫バカップルのせいで、郊外の倉庫に左遷されたイリエ。
28歳、独身、彼氏なし。やりきれない毎日から逃れるため、同僚の森川を
好きになったと仮定してみる。でも本当は、恋愛がしたいわけじゃない。
強がっているわけでもない。奇妙な「仮想好き(カソウスキ)」が迎える結末は――。
芥川賞作家が贈る、恋愛“しない”小説。
講談社サイトより
レビューは当ブログhttp://ameblo.jp/dropcan/entry-11915378167.html 参照。
引用文はブクログhttp://booklog.jp/users/manydrops/archives/1/406277044X 参照。
カソウスキというキャッチーな単語と、曲がりなりにも恋愛を仮想している割に
体温の低い、でも恋愛の真っただ中にあった自分と何故かかぶる思考にはまりました。
多分、読みやすい短編かと思います。
て血圧とかわかっても仕方ないんだよ!
とイリエは森川の健康診断票をデスクの上に投げ出して肩を落とした。いくら三十代の友人が「コンパに行ってまず最初に訊くことが健康かどうかってことになってきた」などと言っていたとしても。 ― 42ページ - ミュージック・ブレス・ユー!! (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)

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「ミュージック・ブレス・ユー!!」
「音楽について考えることは将来について考えることよりずっと大事」な高校3年生のアザミ。
進路は何一つ決まらない「ぐだぐだ」の日常を支えるのはパンクロックだった!
野間文芸新人賞受賞の話題作!
角川サイトより
女子高生目線に抵抗がなければ、こちらも読みやすいです。
音楽好き女子高生が送る日常と思考が、面白い。
上でも「思考」という言葉を使ったのですが、基本的に津村さんの作品は
何か事件が起こるというよりも、日々の出来事に対して主人公が色々考えて
立ち向かう・やり過ごす感じがとてもリアルで、比較的淡々としながらも
ツッコミを入れたり、シニカルなようでいてあたたかい、ユーモアある文章。
とにかく相手の言うことを肯定することは大事だと、アザミは十七年の人生で体得していた。否定されるために発言する人というのはあまりいない。特に女の子はそうだ。女の子とうまくやっていくためにはとにかく同意だ、とアザミは心に決めていた。 ー 32ページ
「(略)トノムラっていうんやけど、知ってる? メガネかけた」
そのキャプションをくわえられる生徒なら、自分も含めて何人もいるし、特定の心当たりもなかったので、アザミは首を振った。 ー 37ページ
特徴をとらえきれていないかもしれませんが、引用。
(ブクログhttp://booklog.jp/users/manydrops/archives/1/4048738429 に他の引用文もあり)
特に音楽好きじゃなくても、今学生じゃなくても、共感できると思います。
君は永遠にそいつらより若い (ちくま文庫)/津村 記久子
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「きみは永遠にそいつらより若い」
22歳処女。いや「女の童貞」と呼んでほしい――日常の底に潜むうっすらとした悪意を独特の筆致で描く第21回太宰治賞受作。
筑摩書房サイトより
と、突然ディープな感じの作品もおすすめしますが、こちらがデビュー作。
密度が濃くて、テーマが少し重めなので、苦手な人は苦手かも。
重めといいつつ、でもユーモアがあるので、あるある感でのめりこんで読みました。
ブクログhttp://booklog.jp/users/manydrops/archives/1/4480426124に引用多数。
とても哀しかったのだった。また変わった女の子だと思われてしまった、とつらくなった。そんなふうには思われたくないのだった。個性には執着しないのだ。執着しないどころか、積極的になくしてしまいたいと思っている。けれどやっぱりわたしは、変なふうに思われてしまうようなことを言ってしまう。いつもそうだった。女としてどうしようもないのなら、せめてそちらの側に立って話ができますよ、といらぬ売込みのようなことをして、変わった子だ、という印象だけを植え付けてそれで終わり。 ― 17ページ
わたしにはそのような、最悪を想像して最悪に備えるくせがある。そのぐらい自分を信用していないということだろう。指を落とす場面を思いながら野菜を刻むことなんてしょっちゅうだし、地下鉄がやってくるたびに電車とホームの隙間に爪先を突っ込んでしまうシミュレーションをし、自動ドアをくぐる時はまさに自動的にドアに挟まれる自分を思い浮かべる。自分が本当にえらいことになったときのための自衛手段である。 ― 99ページ
引用ばかりでちっとも感想になっていないかもしれませんが、魅力が伝わることを
願っています。
エッセイの「やりたいことは二度寝だけ」もいいです。
*既読作品リスト(共著含む)*
君は永遠にそいつらより若い
カソウスキの行方
ミュージック・ブレス・ユー!!
婚礼、葬礼、その他
アレグリアとは仕事はできない
ポトスライムの舟
八番筋カウンシル
スタートライン―始まりをめぐる19の物語
そういうものだろ、仕事っていうのは
ワーカーズ・ダイジェスト
まともな家の子供はいない
とにかくうちに帰ります
やりたいことは二度寝だけ
ウエストウイング
ダメをみがく: “女子”の呪いを解く方法
これからお祈りにいきます
作家の口福
西加奈子と地元の本屋
名探偵登場!
ずるずる、ラーメン (おいしい文藝)
エヴリシング・フロウズ
今はエッセイ「まぬけなこよみ」がwebで連載中。
http://webheibon.jp/koyomi/
ご興味ある方は、是非読んでみてください。










