過去の記憶や思い出は本当に必要なのか?
人気のあるマンガというものは長く続くものですが、短期連載で終わった作品はつまらないかといえば、必ずしもそういうわけではないんです。この世には連載期間は短かったものの、心に深く残る面白い作品も数多く存在します。今回ご紹介させていただくのは、そんな作品の1つ。
全能のノア
- 全能のノア 1 (BUNCH COMICS)/小野 洋一郎
- ¥540
- Amazon.co.jp
作 小野洋一郎
<全3巻>
突如起こった閃光が100万人以上の人間の記憶を消し去った「1.11(トリプルワン)事件」。この事件によって生まれた大量の記憶喪失者たちは、社会的な常識や知識を失い"KID'z(キッズ)"と呼ばれる。彼らは地下ドームに隔離され、「異常者」扱いの暮らしを余儀なくされていた。"KID'z"の「異常」を取り除く特効薬の被験者として警察組織に連れ去られた2人の"KID'z"を助けるため、"KID'z"でありながら天才的な頭脳を持った少年、王生ノアが立ち上がる。そして、2人を助け出したノアは、政府に対しての怒りを抱き、"KID'z"解放のための革命の狼煙を上げることを誓う。しかしそんな彼こそが、人々の記憶を消し去り"KID'z"を生み出す元凶となったモノを生み出した男だった…!?
というのが物語の簡単なあらすじ。この作品は、自分の置かれた状況を打破するために体制に反旗を翻すピカレスク的な物語です。1人の天才が自分自身と自分と同じ状況にいる人間たちを救うために戦う姿は『コードギアス 反逆のルルーシュ』のルルーシュの姿を思い起こさせ、とにかくかっこいんんです。実際にノアは緻密な戦略のもとに革命を実行に移しますし。
天才的な悪漢(ピカロ)が活躍する姿というものは、好きな人も多く、私自身も好きな展開なのですが、この作品においてはそんなノアの活躍も魅力の一端に過ぎません。この作品の一番すごいところは、最後に待ち受ける壮絶なラスト。「1.11事件」の真相と、物語の裏に隠された真実が明かされるクライマックスは引きこまれること間違いなし。
そして、物語の真実が明かされるとともに記憶を取り戻した"KID'z"たち。その姿を見た時、あなたは考えさせられるかもしれません…。
人間にとって大切なものとされる過去の記憶や思い出、それは本当になければいけないものなのかと……。
☆GUMP☆