最近読んだ、「訣別 ゴーrフドマン・サックス」
という本の67ページにこんなことが
書いてあった。
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研修の初日で、私はJFと仲よくなった。
JFはモントリオール出身の、
フランス系カナダ人だ。
水球の全国選手権大会に出場したこともあり、
女性にモテモテだった。
ただし、彼の英語はきわめて限られていた。
いや、ほとんど話せなかった。
英語ができないのは
アメリカの金融マンとしては致命傷に思われるが、
JFの本気度と、優れた学習能力に
感銘を受けたゴールドマン・サックスは、
思いきって彼を採用したのである。
この賭けは成功だった。
JFの株の選定眼は、
神の領域に達していたのだから
(じっさい、シニア・ヴァイス・プレジデントのなかには、
まだ働きはじめて数週間にしかならないJFの
言うとおりに、自分の顧客に株を推奨する者も
いたほどである)。
JFにとっては、
企業のバランスシートや決済書を分析して、
顧客に最良の銘柄を推奨するということが、
何よりも楽しいのだ。
いや、単に好きというだけでない。
本当に才能があった。
私たち新入社員のほとんどが、
シリーズ7試験の教科書の包装紙も破かないうちに、
JFは個別銘柄の分析やローソク足チャートの
追跡にもとづいて、通常以上のパフォーマンスを
見せる株を選んでいたのだ。
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あのゴールドマン・サックスのニューヨーク本社は
ほとんど英語が話せないフランス系カナダ人を
新入社員として迎え入れたのだ。
彼だけが例外ではあるまい。
その人物が会社にとって有益な才能を持っているか、
その才能をさらに伸ばすべく努力を怠らないか、
それが採用の基準なのだ。
ユニクロや楽天、それに追従しようとしている
「英語公用化」企業においては、
こういう人物は真っ先に「コミュニケーションに難あり」
として「不採用」にされてしまうだろう。
それが、本当のグローバル企業と
グローバル企業に見られたい企業との
大きな差なのだ。
英会話習得のために
何十万円も「英会話スクール」に支払うのは
愚行である。
自分自身の「強み」と「弱み」をしっかり認識し、
その上で、その「強み」に磨きをかけるほうが
先なのだ。
人の三倍、五倍の業績を上げる社員なら
新規オープンの海外支店へ
専任の通訳を付けて派遣したっていいはずだ。
でも、残念ながら今の日本の企業で
そういう決断を下せる社長はいない・・・。
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