2.つながり


「好感度」は、「つながり」へと続く。

すなわち、あなたの「好感度」の高さが

「人脈」へと自然に導いてくれるのだ。

大部分のセールス関連ノウハウ本や

セールス・トレーニング・プログラムでは、

このプロセスのことを

「相手とラポート(*)を築く」と言っている。


残念なことに、行動としての「ラポート」は、

大部分のセールス担当者にとって

単に販売プロセスにおける一ステップとして

チェックをつけるための「チェック欄」程度になってしまった。


操作的でかつ多少不快な感じも拭えない

「ラポートを築く」」こととは異なり、

「つながる」ことは、

お互いの理解の邪魔になる可能性のある壁を

取り壊してくれるだけでなく、


人々があなたに「つながり」を感じれば、

彼らはあなたに自分たちの本当の問題を話すことで

もっと快適になろうとする。

(誰しも自分の悩みを真剣に聞いてくれる相手が

欲しいのだ。そして、人は悩みを話す事ですっきりする。)

あなたの手にしている情報で、

相手にとって本当に重要な問題を

解決する機会があるということだ。


これは真の価値を提供して、

本当のコミュニケーションと理解を育んでくれる。
真の「ロイヤリティー」を生むということだ。

強い「つながり」は壊れ難く、

本物の繁栄と長期に渡る取引関係の基盤となる。


(つづく)


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(*)ラポート

デボラ・タネンという言語学者は、

『人の発言にはリポートトーク(report-talk)と、

ラポートトーク(rapport-talk)の2種類がある』と述べている。

事実や情報を述べるのがリポート・トークで、

リポーターが現場の状況を報告するように、

間違いのない客観的な内容を伝えようとする話のこと。



一方、ラポート・トークは情緒的な内容で、

自分の主観や気持ちを伝え、相手とのつながりを深めたり

関係を構築したりしようとするトークのことだ。

ラポートとはフランス語のラポールと同じで、

調和とか信頼関係、心に橋のかかった状態のこと。


ラポール (rapport) とはフランス語の臨床心理学用語で、

セラピストとクライエントとの間の心的状態を表す。

もとは、オーストリアの精神科医

フランツ・アントン・メスメルが「動物磁気」に感応した

クライエントとの間に生じた関係を表現するために

用いた語だ。



その後、セラピストとクライエントの間に、

相互を信頼し合い、安心して自由に振る舞ったり

感情の交流を行える関係が成立している状態を

表す語として用いられるようになった。


例えば、快適な新車であるということを

リポートトークすれば.

「この車は、最新のハイブリット・エンジンを搭載しており、

しかも燃費も従来タイプと比較して約20%も向上しております。

さらに、エアコンも省エネ設計となっており、

車内の人間の数に応じて自動運転する仕組みも

搭載しております。しかも、カーナビは、

スマホと連携出来るようになっておりまして、

データ入力なども予めスマホ側で入力が可能に

なっております。」といった感じとなる。



これがラポートトークとなると、

「この車は省エネ設計の最新型でお客様の出費を

従来タイプと比べて20%も低く押さえるため、

奥様にとっては、おサイフの味方とも言えますよね。

また、カーナビもスマホと連携出来ますので

予めスマホに行く先を入力しておけば

乗ってからあわてて行く先を入力しなくても済むんですね。

これって、意外と便利ですよ。」

といった感じだ。



ところが、こういう相手との「ラポート」を意図的にもっと

強くしようというのが、

「NLP(Neuro-Linguistic Programming:

神経言語プログラミング」といい、

ジョン・グリンダーとリチャード・バンドラーによって

提唱された「人格改変技法」だ。



簡単に言うと、相手と同じような服装や言動で

相手の潜在意識に安心感や親密感を感じさせ、

やがて相手を意図的にこちらの望む行動へと

誘導していく心理操作テクニックだ。


営業心理学テクニックとしては、
ページング、ミラーリング、バックトラッキング
というテクニックとなる。

◯ページングは、

相手の会話の速度や声の高さに合わせることを言うこと。


◯ミラーリングは、

相手を鏡のように見立てて、相手と信頼関係を構築すること。


◯バックトラッキングは、

相手の発した言葉をオウム返しのようにして返すこと。


私の経験から言えば、この通りやると、

「策士、策に溺れる」結果となりやすいということだ。

(相手が、NLPを熟知していたら逆効果となる!)


こういったテクニックを使う前にもっと大事なことがある。

相手にあなたを好ましく思ってもらうことだ。

あなたに「好感度」を見出せて初めて

相手は、あなの言葉に耳を傾ける。


しかし、一旦「好感度」を与えられたとしても

何かのちょっとしたあなたの言葉やしぐさで

一瞬にして「好感度」は消え失せてしまう。


この「好感度」を最後まで維持し続けられたら

相手との継続的な取引関係が結ばれる可能性が

生じるのだ。
人が買うのは、間違っても嫌いなヤツからではない。


好ましい相手からだ。

いくら安くても、嫌な相手からは

決して買ったりはしない。


例えあなたがWeb3.0の新たな戦略をとっていても

そこから見え隠れする、「あなた」が好かれなければ

意味はない。


押し付け(アウトバウンド)セールスの時代は

終わったのだ。

これからは、引き寄せ(インバウンド)セールスの

時代だ。


是非、「あなた」を買ってもらおう!


【参考文献】

The Power of Who/Bob Beaudine

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The Likeability Factor: How to Boost Your L-Fac.../Tim Sanders

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A Whole New Mind: Why Right-Brainers Will Rule .../Daniel H. Pink

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People Follow You: The Real Secret to What Matt.../Jeb Blount

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People Buy You: The Real Secret to what Matters.../Jeb Blount

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