都市伝説その2:人は自分の好きな人から買う


2番目の都市伝説は、

「人は自分の好きな人から買う」だ。


これまた、至極当然のことのように思える。

なぜなら、誰もが嫌いな人からは買いたくないからだ。

しかし、この二つは同じことではない。

そこが問題なのだ。


ここでもまた、前回同様、

Jeb Blount(ジェブ・ブロント)の体験を

彼自身の言葉で紹介したい。


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それから数年後に、私は新しい会社に雇われ

そこでのセールス・トレーニング・クラスに

出席していた。


私は、そのとき、

B-toーB(法人営業)サービス事業部での

コミッション・セールスとして雇われたばかりだった。


我々のトレーナーは、クラスの前に立っていて、

こう叫んだ。

「いいか忘れるなよ、

誰であれ何か買うときは、

好きな人から買うものなんだ!」と。


私は、手にしていたメモカードに、

彼の言葉を書きとめ、

そして、そのメモを自分の机の上に

いつでも見えるようにテープで貼った。


それから数週間後に、

私が良い人間関係を構築していた見込み客の

きな法人の購買担当者が、

私とは契約できないと告げたのだ。


彼はこう言った。

「ジェブ、我々はあなたが本当に気に入っている

おまけに、あなたはプレゼンテーションで

素晴らしい仕事をしてくれた。

しかし、あなたにとっては残念だろうが、

我々はあなたの会社の競争相手と

一緒に手を組むことに決めたんだ」と、

彼は言ったのだ。


私は打ちのめされた。

私がそれまでに、

その見込みから得ていた全ての徴候は、

私が契約を結べるということを示していたからだ。


私は、上司のセールス・マネージャーに

「石に刻んでもいいくらい、受注間違いありません!」と

自信を持って啖呵を切ったくらいだった。

間違いなく契約が取れるはずだったのだ。


「私には一体どういうことなのか分かりません。

全てが順調で、近いうちに契約書を

頂いて帰れると思っていたものですから・・・」と

私はしどろもどろで、購買担当者の

マネージャーに言った。


彼は答えた。

「確かに、あなたはほんの少しだけ

撮り逃したのかも知れませんね。

実は、おたくの会社の製品よりも

我々にとってもっといいアプリケーションが、

あなたの競争相手の会社には

あったということです。


私が言ったように、

我々はあなたが本当に気に入っています。

その上、あなたのプレゼンテーションが

素晴らしかったことも嘘ではありません。


あなたが誤りを犯したことなんて、

これっぽっちもありません。

彼らは、まさに我々が必要としていたものよりも

もっといい解決策を提供してくれただけなんです。


また状況が変わることでもあれば、

私が、真っ先にあなたにご連絡を差し上げることを

お約束致します」


痛っ!


競合相手の会社とウチの会社には

同じような製品があった。

しかし、私が見つけることができなかった問題点を

競合相手の会社のセールス担当者は

見つけ出したということだ。


誰もが自分の好きな人から

必ずしも買うわけではないということが

私の石頭に定着するまでに、

これと似たような見込み客をさらにいくつか

失ってしまった。


人は、自分の抱えている問題を

解決してくれる人から買うのだ。

問題は、私が実質(受注)を自分の魅力に

代えてしまったということだ。


残念なことに、多くの人々は、

最後まで(失敗するまで)この都市伝説を

引きずっていくために、

「魅力」だとか「カリスマ性」とか「能弁さ」を

当てにする。


あなたも、そういう人々を知っているはずだ。

確かに一部の顧客は相手の行為に惹かれるが、

ほとんどの人はそうではない。

結局のところ、これらのセールスピープルは、

「All talk and no action(話だけで結果なし)」

という評判を得る。

(話はうまいが注文が取れないという意味だ)


テキサスでは、

「Big hat, no cows(大きい帽子、牛ではない)」 と

言われている。

(いくら巨大な帽子があったとしても、

それは帽子でしかなく、牛ではないということから

食えない、すなわち役に立たないという意味)


私の親友やビジネス・パートナーは

こういった人々のことを

「flippers and flappers(足ひれとフラッパー」と

呼んでいる。

その意味するところは、

彼らがプレゼンテーションの資料をパタパタとめくって、

ぺちゃくちゃしゃべるだけということだ。

あなたが、

「人々が自分を買ってくれる」ことを望むならば、

「好かれること」は重要だが、

それだけでは十分ではない。

「方程式」となるべくもっと多くの重要なことがある。


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『人が買うのは「あなた」だ』には

そのすべてを網羅するつもりだ。


『人が買うのは「あなた」だ』は、

あなたの「好感度」をアップさせ、

問題点を明確にして解決し、信頼を構築して、

長期に渡る人間関係を定着させるために

他の誰かと人間関係を結び、

相手を惹きつけるための扉を開けるだろう。


それは、

「売ること」や「説得力」についてではなく、

「絆」と「解決」についての話なのだ。


(つづく)


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出世街道まっしぐらの

「島耕作」みたいな人物がいつも顧客に喜ばれる

わけではない。


彼のように頭脳明晰で、しかも精力的でハンサムでも

その論理的な説得力でいつもうまくいくとは限らない。


島耕作とは真逆のキャラクターの

「ハマちゃん」のように

一見どこか抜けているように見えても

キッチリ相手と打ち解けて信頼関係を結び

その上、相手の悩みを解決してあげることで、

最後には相手の口から、「この件は君に任せるよ」とまで

言わせてしまう人物の方が、

いい結果を残せることもある。


北風と太陽の違いだ。


人が買うのは、間違っても嫌いなヤツからではない。

好ましい相手からだ。

いくら安くても、嫌な相手からは

決して買ったりはしない。


例えあなたがWeb3.0の新たな戦略をとっていても

そこから見え隠れする、「あなた」が好かれなければ

意味はない。


押し付け(アウトバウンド)セールスの時代は

終わったのだ。

これからは、引き寄せ(インバウンド)セールスの

時代だ。


是非、「あなた」を買ってもらおう!


【参考文献】

The Power of Who/Bob Beaudine

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The Likeability Factor: How to Boost Your L-Fac.../Tim Sanders

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A Whole New Mind: Why Right-Brainers Will Rule .../Daniel H. Pink

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People Follow You: The Real Secret to What Matt.../Jeb Blount

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People Buy You: The Real Secret to what Matters.../Jeb Blount

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