ニュー・パラダイム:情報から感情へ


1980年代に情報化時代が始まった瞬間から、

人々は「プロセス」を評価するようになった。


インターネットとその付随的なテクノロジーが、

あらゆるビジネス・プロセスとシステムから

「効率性」を絞り出したのだ。


労働者一人当たりの生産性が増した結果、

我々もその恩恵(影響?)を受けるようになった。


コミュニケーションに対する障害が改善されたことで、

我々は海外との取引も体系化でき、

ルーチンワークを自動化することもできた。

その結果、生産コストは益々下がり

それが企業利益を押し上げるのを助けることとなった。


情報化が始まって20年と経たないうちに

我々は日々の活動の多くから、

人間同士の交流を除去するようになってしまった!


一例だが、我々が金融機関と取引する方法だけでも、

オンラインバンキングとネット証券会社が

どのように変えたかについて考えみるといいだろう。


多くの企業において、

サービス機能が窓口対応からオンライン対応となったり、

海外へ移転されたことで、

カスタマーサービスは間違いなく悪化した。


あなたを直接助ける代わりに、

目の前のディスプレイに表示された

予め決められた定型文章をロボットのように読み上げる、

別の国にいる顧客サービス担当者と

あなたはやり取りする必要が生じたのだ。

(日本だと、NTTの104の番号案内なども含めて

企業のサービスセンターの多くが

沖縄県に集中している。本土よりも

人件費が安く済むからだ)


そうすると、揺れる振り子がどれくらい遠くまで

行ったり来たりしているかが分かるようになるだろう。

(海外では、北欧の携帯電話会社のコールセンターが

インドにあったりするのだ)


Daniel Pink(ダニエル・ピンク)は、

ベストセラーとなった彼の本

"A Whole New Mind"(直訳=「全く新しい心」)で、

この現象を取り上げている。

A Whole New Mind: Why Right-Brainers Will Rule .../Daniel H. Pink
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ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代/ダニエル・ピンク
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彼は、相手の気持ちを理解し、

他人と交流する能力がある人々が

自由競争社会において、向こう十数年に渡って

経済的に優位に立てるという論拠を述べている。


Tim Sanders(ティム・サンダース)や

Bob Beaudine(ボブ・ボーダイン)のように、

ダニエル・ピンクは、

ビジネスと人生における我々自身の成功には、

他人と交流することの価値が欠かせないということに

気づいたようだ。


我々は、振り子が揺れるということを直観的に知っている。

一旦振り子が片方に振れて頂点に達すれば、

次に振り子は、反対側へ向かって加速されていく。



振り子がプロセス側の頂点に達した今、

人間の相互理解、感情移入と

匠の技(既に価値を下げられてしまった)は

ビジネスとセールス・プロにとっての

新たな武器なのだ。


プロセスまでとことん煮つめられることができる仕事は、

低賃金労働で技術力が低く、

低コストで仕事をする他の国に、

明け渡されてしまった。


我々に残された仕事は、

人間同士の相互作用と感情移入を必要とするものとなる。

地球上で、不景気の影響を最も受けなくて済む

非常に有利な職業がセールスなのだ。

これが、私が今でもセールスの価値を信じ続けている

理由の一つである。


(つづく)


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人が買うのは、間違っても嫌いなヤツからではない。

好ましい相手からだ。

いくら安くても、嫌な相手からは

決して買ったりはしない。


例えあなたがWeb3.0の新たな戦略をとっていても

そこから見え隠れする、「あなた」が好かれなければ

意味はない。


押し付け(アウトバウンド)セールスの時代は

終わったのだ。

これからは、引き寄せ(インバウンド)セールスの

時代だ。


是非、「あなた」を買ってもらおう!