この記事は、中部大学教授、武田邦彦氏のブログから

記事の転載許可を得て、以前ネコペンギンのブログ

『幸せな成功のための魔法の杖』で連載しておりましたが、

2011年2月18日朝、アメブロによってそのブログが

突然削除されてしまい、ご紹介ができなくなってしまいました。


そこで、ウルフペンギンのこのブログで改めて

ご紹介していくことになりました。

なお、本文中の誤字脱字は訂正してありますが、

基本的に内容はそのままにしております。


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竹島の問題に本格的に取り組む前に、

国際的に見た竹島の帰属(日本の領土か、朝鮮のものか)

について整理をして起きますが、これもハッキリしていて、

あまり議論の対象ではありません。


現在の日本の周辺の国土は、

大東亜戦争で日本が敗北して、

それまで日本の領土だったところ、

特に戦争が始まる前も保有したり、

支配をしていた地域について、

国際的に放棄しました(サンフランシスコ平和条約)。


それは、次の島々です。

ずいぶん、多くの島や土地を放棄したものですね。
1) 千島列島
2) 樺太(サハリン)、
3) 満州、
4) 朝鮮、
5) 沖縄、
6) 台湾


このうち、沖縄はアメリカの信託統治となり、

現在は日本に復帰しています。

より小さな小笠原諸島、南沙諸島など

細かい範囲の設定がありました。

その中で、今、問題になっている、四島、竹島、尖閣は

いずれも「何らかの事情でハッキリしなかった」ものです。


ハッキリしない事情はそれぞれで違うのですが、

いずれもサンフランシスコ平和条約で

ハッキリとは書かれていなかったということです。


1)四島は「国後、択捉、歯舞、色丹が

千島列島に所属するのか、しないのか」という問題。

日本はこの四島は千島列島の一部ではないという見解。


2)竹島はサンフランシスコ平和条約の時に、

日本と朝鮮の間にある四つの島

(済州島,巨文島、欝陵島および竹島)のうち、

最初の3つは明記されたのですが、竹島が明記されず、

そのためにサンフランシスコ条約の時に

朝鮮がアメリカに苦情を申し出、

アメリカが「竹島は歴史的にも日本の領土」としたもの。


3)尖閣列島は昔から琉球諸島と一緒のくくりで、

サンフランシスコ平和条約の時には

特に明記されていなかったもの。


陸地の領土でも同じ事ですが、「場所」は複雑なので、

もめ事がないという状態はなかなかできません。


たとえば千島列島とは「どこからどこまで」と書くのも

あまりに煩雑になるのでやっかいです。


またその時に双方に思惑があって

わざと書かないなどということもあり、

書くと全体の条約の調印まで行かない可能性も

ある場合も考えられます。


また、尖閣は多くの人が

「当然、琉球諸島の一部」と思っていたので

書かなかったということもありますし、

台湾に移動した中華民国がなにも言わなかったので、

そのままアメリカが所有し、

沖縄返還とともに日本に帰ってきたということです。


竹島はやや複雑ですが、韓国にとって都合が悪いのは、

条約を調印するかなり前には

竹島は他の3島とともに朝鮮の所属になっていましたが、

調査が進むと「どうもこの島は日本らしい」となり、

調印間近には朝鮮に返還されるのは

四島から三島に変わりました。


このことで韓国がアメリカに異議を申し立てたので、

「寝た子を起こす」ことになり、

結局、日本の領土になりました。


またやっかいなことに、ソ連と中国は

サンフランシスコ平和条約に調印せず、

韓国は日本と戦っていないので、戦勝国ではなく、

従って講和会議にも出席出来ないという立場にあったのです。


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竹島が尖閣諸島よりややこしいのは、

朝鮮が李承晩ラインというのを引き、

竹島を朝鮮の領土にしたことです。

つまり「国際条約で決めたことを

韓国が当事者になれなかったので、

独自に決めたということになったのです。


韓国は武力で竹島に上陸、そこを占拠しました。

当時の日本は戦争に負けて

平和憲法ができたばかりでしたから、

「国際紛争には武力は使わない」ということでしたが、

「相手が武力で来たときにどうするのか?」は

決まっていなかったのです。


強いて言えば、

アメリカが武力を背景に相手側と交渉してくれる

ぐらいのところだったのでしょう。


事実、竹島では

「日本の領海なのに大量の漁船が拿捕され、

漁民が韓国に連行された」ということが発生しましたが、

日本は泣き寝入りをせざるを得なかったのです。


1910年に日本が韓国を併合したとき、

日本は直接的な武力を使ったわけではなく、

武力を背景に韓国を併合したのですが、

「武力と関係なく話し合いで併合した」

わけでもありませんでした。


このことが「不当」であると韓国人が思うなら、

韓国が竹島を話し合いをしないで占有するのも同じです。


つまり日本が軍事力を使わないとみると、

力で押さえつけるというのは

日本を非難していることを自分が行うということでもありますから、

余り関心できません。


国際的にはこのようなことが多いのですが、

日本と韓国の間では過去の歴史を反省して、

このようなことがないように

韓国政府と韓国人を説得するのが良いと思います。


その一つの例として韓国がどんな言動をとろうとも、

日本は「お互いが話し合って竹島問題を解決する」

ということで行くべきと思います。


その意味では国際裁判所に提訴するのではなく、

まずは両国で話をするべきです。


「takeshimakiso2tdyno.250-(8:00).mp3」をダウンロード


(平成24年9月22日)
武田邦彦


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上記のような歴史的背景をそれぞれの政府が

意図的に自国民に教育の現場で

教えてこなかったことも問題だ。


ネット時代となり、事実も嘘も一緒くたになって

検索で読めるようになると、

結果的に自分にとって都合がいい方を

事実だと思うようになるからだ。


日本の政府がすべきことは、

そういう事実背景をしらないマスコミの

若い記者たちや外国メディアからの

特派員に向かって、堂々と資料を提示しながら

分かりやすく何度も説明し、その上で

相手国に話し合いのテーブルにつくべきでは?

と誘うことだ。


バカの一つ覚えのように、

繰り返し「我が国固有の領土です」と言ったところで

結局は、アメリカも国連も

「お互いもっと話し合えば?」で終わりだ。


「話し合いのテーブルにつかないというのは、

文明国家のすることではないのでは?」、

「国民を煽っているだけでは、解決にはならないでしょ?」、

「そちらの国では、文化交流も政治的手段の一つですか?」

などと、何度も繰り返し言うべきである。


衝突や議論を避けて、問題解決を先送りしたところで

何一ついいことはない!


by ウルフペンギン