7月28日に開催された
「第1回 ブラック企業大賞 」の
大賞・各賞の詳細な受賞内容が発表された。
「主催者からの「賞状」の文面をもって、
各賞の受賞内容とさせていただきます。」
とのことだが、大賞・各賞の受賞企業には、
主催者から受賞の旨をお知らせし、
さらに賞状などをお渡しする予定だとか。
そこで、【大賞】、【市民賞】、【特別賞】、
【ありえないで賞】、【業界賞】などについて、
このブログでも紹介し、
その名前を永遠に記録したいと
思った次第である。
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【大賞】 東京電力 株式会社 殿
貴社は設立以来、全国各地に原発を建設し、
永年にわたり膨大な数の労働者に
危険な被曝労働をさせてきました。
さらに二〇一一年三月、貴社の福島第一原発事故後、
今年五月までに二万二〇〇〇人以上の作業員が
この復旧作業に従事。
二〇ミリシーベルト以上被曝した労働者は
四〇〇〇人を超え、被曝との関係は
依然立証されていないものの、
わずか一年五ヶ月の間に六人もの方が亡くなっています。
一方で貴社は事故以前から、
これら危険な作業の大半を下請け会社に外注し、
それをいいことに原発労働者たちの健康を守る責任を放棄。
反社会的勢力による中間搾取さえ許してきました。
折しも下請け業者による
被曝線量の偽装工作も発覚しましたが、これにしたところで、
貴社の責任が免れようはずはありません。
これらはいずれも、
社会正義の観点から看過できない非人道行為であり、
人類の歴史においても類を見ない恥ずべき行為です。
よってここにブラック企業大賞を授与し、
その名を長く記録するとともに、
全国の原発を抱える電力会社とともに
一日も早い改善を求めます。
2012年7月28日
ブラック企業大賞実行委員会
【市民賞】 株式会社 ワタミ 殿
貴社はさる2008年6月、
入社してわずか2ヶ月の新入社員森美菜さんを
過労自殺に追い込みました。
美菜さんの死が労災として認定されるに及んで、
貴社および貴社の渡邉美樹会長は
世論から猛烈な批判を浴びましたが、
渡邊会長からは真摯な謝罪・反省の言葉は聞かれず、
ツイッターで「労務管理できていなかったとの認識は、
ありません」、
「ワタミは天地神妙(ママ)に誓って
ブラック企業ではありません」などの開き直り、
言い訳が並べ立てられるのみでした。
現在も貴社は様々な社会貢献活動を行い、
渡邊会長の著書には「夢」を持つことの重要性が
再三説かれています。
しかし従業員の人生を踏みつけにし、
美菜さんの夢を未来永劫奪ったあなたに
それを語る資格がないこと、
今のままでは単なる偽善にしかならないことは、
今回のウェブ投票および会場参加者からの投票(*)
における圧倒的な支持率が示しています。
よって貴社の厚顔無恥な言動に対し「市民賞」を授与し、
貴社が掲げる経営目的「会社の繁栄、社員の幸福、
関連会社・取引業者の繁栄、新しき文化の創造、
人類社会の発展、人類の幸福への貢献」が、
単なる言葉だけのものでなくなる日が来るよう、
願います。
2012年7月28日
ブラック企業大賞実行委員会
*総投票数:20116(ウェブ投票20071、会場投票45)のうち
ワタミの得票数:10024(ウェブ投票10010、会場投票14)で
総投票数の49.8%を獲得
【特別賞】 株式会社 ウェザーニューズ 殿
貴社はさる2008年10月、
希望を抱いて入社した新入社員を、
わずか6ヶ月で過労自殺に追い込みました。
本来ならこの一点を以っても大賞に値します。
しかし貴社の場合、試用期間を「予選」と称して
新入社員に忠誠心を競わせる手法、
「天気は眠らない」という理由で
従業員に長時間労働を強いる非論理的体質、
亡くなる前の被害者に送りつけた
人権意識のかけらも感じられないメールの文面、
さらに遺族に再発防止を約束しておきながら、
労働時間の偽装が疑われているなど反省がなく、
ブラックなエピソードがよくぞここまで集まったと、
驚かざるを得ません。
よって貴社をブラック企業の特徴を満遍なく備えた
「典型的ブラック企業」と認め、
ここに特別賞を贈呈します。
2012年7月28日
ブラック企業大賞実行委員会
【ありえないで賞】 株式会社 ゼンショー 殿
貴社は度重なる違法行為により
アルバイト従業員から提訴されましたが、
「組合員との契約は業務委託であり、
雇用する労働者ではない」という
摩訶不思議な論理を主張しました。
さらに従業員を刑事告訴するなど
びっくりするような行為を繰り返しました。
この間の貴社の一連の行為はごく控えめに表現して、
駄々をこねる子どものそれであり、貴社の言い分にしても、
およそ社会への責任を負う、
公的な企業のものとは思えません。
よってここに「ありえない賞」を贈呈し、
社会の一員たる自覚を持つよう促します。
2012年7月28日
ブラック企業大賞実行委員会
【業界賞】 SE業界
株式会社 フォーカスシステムズ 殿
株式会社 富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ 殿
貴二社は、近年理系学生の就労機会が増えている
IT企業に属しますが、IT業界は「デスマーチ」
という言葉で表現されるように、
慢性的な長時間労働の温床と言われています。
また機械相手の孤独な作業を強いられるSEの仕事は
鬱病を発症しやすいと言われており、
実際に貴社でも、若手SEが鬱になった結果、
死に追いやられています。
一方で労働行政や司法が、
その仕事内容について理解が乏しいことから、
労災認定を受けるのは他業界と比べても難しいとされ、
業界の改善は依然遠い現状にあります。
そうした現状にあって過労死が正式に認定され、
裁判で遺族が勝訴した貴社の事例は、
痛ましいながらも貴重と言えます。
よって貴社をIT業界を代表するブラック企業と認め、
業界全体が改善されるきっかけとなることを願い、
「業界賞」を授与します。
2012年7月28日
ブラック企業大賞実行委員会