「トーン(調子)は、あなたの指にある」と、

ギターのグルは言います。

あのエディ・ヴァン・ヘイレンが使うのと同じギター、

同じエフェクト・ペダル、同じアンプを

あなたは買うことができます。


しかし、あなたがそれらをどんなにうまく

使いこなしたとしても、聞こえる音は

間違いなくあなたの演奏のはずです。


同様にエディーが、

質屋に置いてあるような

安っぽいStrat/Pignose(ストラトキャスターという

エレキギターとピグノーズというアンプのこと*)を

繋いだとしたら、あなたはそれもまた、

エディー・ヴァン・ヘイレンの演奏であると

認めることができるでしょう。


ギターの演奏において

エフェクトマシーンは、確かに効果的です。

しかし実際のところ、あなたのトーンは

あなたから生まれるということです。


そういったツールは、

人々がそのツールを使ってすることの代わりに

ツールそのものについて悩むという

誘惑に引きずり込もうとします。


あなたは、次のような人を

知っているはずです。


ファンキーな書体や装飾的な

フォトショップのフィルタを多用しながらも

何を訴えたいのかよく分からないデザイナー。


写真そのものを素晴らしくすることに

フォーカスする代わりに、

デジタル対フィルムといった討議を際限なく続ける

アマチュア・カメラマン。


多くのアマチュア・ゴルファーは、

高価なクラブが必要だと思っています。

しかし、それは、スイングの重要な問題ではなく、

ゴルフの腕前にはクラブは関係ありません。

タイガー・ウッズに安いゴルフクラブセットを

与えてみてください、

それを使って彼は、あなたを負かすことでしょう。


人々は、松葉杖として器材を使います。

カーショップで何時間も費やすように、

ドライビング・コースで時間を費したいとは

思っていません。

人々は、近道を探しています。


しかし、これから先うまくやっていこうという業界で

あなたは特に最高のギア(小道具/装置)を

必要とはしません。


そして、あなたが何かを始めるためには、

そういったものは確かに必要ではないのです。


ビジネスにおいて、あまりに多くの人々が、

本当に重要なことの代わりに、

ツール、ソフトウェア・トリック、

スケーリング(規模)問題、

装飾的なオフィス・スペース、贅沢な家具と

他の軽薄さを気に病みます。


また、本当に重要なことは、

実際にどうやって顧客をつかまえるか、

お金を儲けるかということなのです。


あなたは、自分のビジネスに

ブログやポッドキャスト(**)、

動画などを活用している人を

参照することもあるでしょうが、

どのツールを使用するべきかに

夢中になってしまうと、「本末転倒」です。


中身が、重要なのです。

あなたは、装飾的なことに

何時間も費やすことが出来たとしても、

もしあなたに言うべきことが何もなければ、

そう、あなたには言うべきことが何もないのです。


あなたがすでに持っているか、

安く利用できるものなら何でも使ってください。

それから、初めてください。


重要なのは、ギアでありません。

あなたが出来るのと同じぐらいにしか

それは使えないからです。


あなたのトーンは、あなたの指にあるのです。


(つづく)


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(*)Strat/Pignose:

Stratocaster(ストラトキャスター):

フェンダー社が1954年から発表・発売を行っている

エレクトリックギターの機種。

同社社長のレオ・フェンダーらによって開発された。


ギブソン社のレスポールモデルと並ぶ

エレクトリックギターの代表的な存在で、

現在はフェンダー社の2つのブランド

(フェンダー、スクワイア)から販売されている。



ウルペンのドリームピラミッド-ストラトキャスター


Pignose(ピグノーズ/ピッグノーズ):

アメリカの楽器メーカーで、バッテリー駆動の小型アンプや

アンプ内蔵ギターを主に製造し、

それらの製品のコントロールノブが

豚の鼻 (Pignose) を模していることで有名。


1972年にシカゴのギタリストテリー・キャス等により

コンパクトアンプの開発を開始。

翌年のNAMMショーでいきなり

「伝説のピグノーズ (Legendary Pignose)」と銘打って

発表したのが始まりである。


ウルペンのドリームピラミッド-ピグノーズ


(**)podcast(ポッドキャスト):

Apple社の携帯オーディオプレーヤー「iPod」に

ネットラジオを自動録音して、
収集された放送を好きなときに聴取するシステム。


専用のソフトに自分の好きなネットラジオ局の

アドレスを登録しておくと、
最新の放送内容が公開されるたびにこれを自動的に受信し、
iPodに転送してくれる。


ソフトはいくつかの種類があり、
多くは無償で公開されていて誰でも自由に利用できる。
プレイリストにも自動的に登録され、

好きなときに好きな番組を選んで聞くことができる。


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高校生の頃、ギターをうまく演奏できたらと思い

ヤマハの1万円程度のギターを親に買ってもらった。

それでなかなかうまく演奏できなかったので、

今度は5万円ほどのギターに代えた。

が、結局演奏はうまくはならなかった。


ナンパ目的でテニスを始めた時も

やはりラケットを変えればうまくなれる(うまく見える?)

と勘違いしていた。


社会人になってゴルフを始めたが

やはりクラブを変えてもゴルフの腕は上達しなかった。


そういうことを、いろんな場合にいろんなツールで何度も

繰り返してやってしまった私である。


そして気づいたことは、

何か道具を使うスポーツやビジネスでは

その使いこなしが上手くなった人は、

道具そのものが良かったのではなく、

それがもの凄く好きだということと、

何か(他の遊びをする時間)を犠牲にしてまでも

それがうまくなりたいと思う情熱にあった。


起業においても同様だ。

今使える己の才能、アイデア、人脈、道具、お金を

最大限有効に活用する事で

一人でも多く早く顧客を増やし、

一円でも多く早く稼ぎ出すことが起業では大事なのだ。


「見てくれ」は全く関係ない。


誰かの描いた金儲けのシナリオに

無批判で乗っかるのではなく、

あなたのオリジナル・アイデアを基に

ビジネスを小さく立ち上げよう。


そのためには、

世間の反応、いや、友人、知人、

そして家族や親戚の反応などに

左右されてはいけない。


あなたのアイデアを形にしよう!

広い世界では、

そのアイデアを今も待ち焦がれている

人たちがいるはずだ。


さぁ、ビジネスを立ち上げよう!


但し、何やってもいいというわけではない。

各人の強みを生かした上で、

市場の「ウォンツ」(「ニーズ」ではない)に

フォーカスしたビジネスを始める必要がある。


その辺りのノウハウをこれからも紹介していこう。


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Jason Fried(ジェイソン・フリード)と

David Heinemeier Hansson(デイビッド・H・ハンソン)

という若者が1999年に、Webデザインの

コンサルタント会社を立ち上げた時、

全社員は彼らを含めてたったの3人だけだった。

(成功した今でも社員は20名に満たない!)


ウルペンのドリームピラミッド-Jason Fried

<JKason Fried>



ウルペンのドリームピラミッド-David H. Hansson

<david Heinemeier Hansson>


ところが、彼らの会社、「37signals 」は、

彼ら自身が作り出した様々なWebツール、

中でも「Basecamp 」が評判となり、

今では世界中にユーザーが3万人以上にも

なっている。


さらに、彼らが発信するブログも評判となり、

読者との交流からまた新たなサービスを

誕生させたりもしている。


そんな成功した彼らが、

「起業してやろう」と思っている人たちへの

率直なアドバイス(従来とは違った視点から

ビジネス・チャンスを見つけて

成長させていったノウハウも含めて)が

評判になっている。


このブログ記事は、

そんな彼らの考え方を含めて

これまでに自分でビジネスを立ち上げようなどと

夢にすら見なかった人々や、

既に会社を立ち上げて成功させ

成長させている人たちとは明らかに違う人たち

のために書くブログ記事だ。


そう、これから「成功しよう」という意欲があり、

一歩踏み出そうと決意した人たちのための

ものだ。


当然、古い価値観の人が読めば、

「そんなバカな!」とか、

「それはたまたまうまくいったんだよ」とか、

「誰にも出来るわけじゃないよ」

といった反応を示すかもしれない。

いや、もしかして、怒りだすかもしれない。


そういう意味では、

この記事は「毒」になる可能性もある。

但し、大抵の「薬」に「副作用」があるように、

「毒」は使いようによっては「薬」になることを

忘れてはいけない。


あなたにとって、「毒」となるか、「薬」となるか、

読んで試してみるといい。



参考文献:『REWORK』

Rework/Jason Fried

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