「私には、十分な時間も、お金も、

人脈も、経験もありません」


そんな泣き言を言うのは止めることです。


足らないことは、実はいいことなのです。

束縛は、利点が変装したものだからです。


限られた資源は、

あなたに自分が持っているもので

間に合わせることを強要します。


そこには、浪費の余地はありません。

また、それによって、

あなたはより創造的になれるのです。


今までに戦争の捕虜たちが、

石鹸もしくはスプーンなどをうまく活用しているのを

映画などで見たことがありますか?
彼らは、手にしたもので間に合わせたのです。

(訳注:映画『大脱走』では、スプーンや

石鹸が脱走に使われた)


現在、我々はあなたに外へ飛び出して行って

誰かれとなくミスキックすべきだ

とは言っていません。

(訳注:自分にないものを手当たり次第に

貸してしてくれと間違った依頼をすること)

その代わり、創造的になってください。

そうすれば、あなたはほんの少しの材料で

自分が作ることができるものに

驚嘆するはずです。


作家は、創造性を発揮するために

常に制約を用います。

シェークスピアは、ソネット(*)の制限を

大いに楽しみました。


俳句とリメリック(**)には、

さらに創造的な結果に結びつく

厳しい規則があります。


アーネスト・ヘミングウェイや

レイモンド・カーヴァーのような作家は、

シンプルでクリアな言葉を使うことで

最大の効果を発揮するということが

分かっていました。


The Price Is Right

(史上最も長時間にわたるゲーム・ショー)は、

制約を受け入れることから手に入れた創造力の

大きな例でもあります。


ショーでは100以上ののゲームが行われますが、

それぞれのゲームは、

「これって、いくらかかる?」

という問いかけが基本になっています。
その単純な手法が、

30年以上の間ファンを引きつけたのです。


サウスウェスト航空は、

大部分の他の航空会社(複数の機種を運行)

とは違って、ボーイング737だけを飛ばします。


その結果、サウスウエスト航空の

全パイロット、全客室乗務員と

全地上整備員メンバーは、

どんなフライトでも対応することが

できるのです。


さらに、サウスウエスト航空で使用する

パーツは、全ての飛行機に共通なのです。


これらの手段の全てが

コスト削減に効果を発揮し、

ビジネスにおいて、経営を楽にしたのです。

サウスウエスト航空は、

これらのことを自分たち自身によって

実現させたのです。


我々がベースキャンプを作ったとき、

(訳注:事業立ち上げチームを作った時)

我々には多くの制限がありました。


我々には、既存の顧客と運営する

デザイン会社があり、

主要メンバーとは7時間もの時差があり

(当時、デイビッドはデンマークで

プログラミングをしていて、我々の残りは

アメリカにいました)、小さなチームで、

外部からの資金提供もありませんでした。


これらの制約が、

我々に製品をシンプルにすることを

強制したのです。


今では、当時と比べて

我々にはより多くの資源と人材があります。

しかし、我々は未だに制約を強制します。


我々が、製品開発に取り組んでいるのは

確実に一度に1人か2人だけだなのです。

そして、我々は常に最低限の特徴を保持します。

(訳注:多機能とは真反対のポリシー)

このように我々自身を追い込むことが、

膨張した製品を作るのを防いでくれるのです。


したがって、あなたが

「十分でない」ブルースを歌う前に、

自分が持っているもので

どれくらいのことができるかについて

確かめて欲しいのです。


(つづく)

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*ソネット(Sonnet)

ソネット(十四行詩、Sonnet)は
14行から成るヨーロッパの定型詩。
ルネサンス期にイタリアで創始され、
英語詩にも取り入れられ、
代表的な詩形のひとつとなった。


ソネットの形式には大きく3つのタイプがあり、
それはイタリア風ソネット、イギリス風ソネット、
スペンサー風ソネットである。


イギリス風ソネットの中のウィリアム・シェイクスピアが
用いた形式はシェイクスピア風ソネット、
シェークスピア風十四行詩と呼ばれ、押韻構成は
「ABAB CDCD EFEF GG」となる
(「Shall I compare thee to a summer's day?」など)。


代表的なソネット作家には、
ペトラルカ、シェイクスピア、ジョン・ミルトン、
ウィリアム・ワーズワースなどがいる。


例)シェイクスピア『ソネット集』116番


Let me not to the marriage of true minds (a)
Admit impediments, love is not love (b)
Which alters when it alteration finds, (a)
Or bends with the remover to remove. (b)
O no, it is an ever fixed mark (c)
That looks on tempests and is never shaken; (d)
It is the star to every wand'ring bark, (c)
Whose worth's unknown although his height be taken. (d)
Love's not time's fool, though rosy lips and cheeks (e)
Within his bending sickle's compass come, (f)
Love alters not with his brief hours and weeks, (e)
But bears it out even to the edge of doom: (f)
If this be error and upon me proved, (g)
I never writ, nor no man ever loved. (g)


**リメリック(Limerick)

リメリック(またはリマリック、リムリック、limerick)は

厳格な形式を持つ五行詩で、
滑稽五行詩、五行戯詩とも呼ばれる。
イギリスでは、エドワード・リアによって広まった。


リメリック詩はウィットに富んだものや

ユーモラスなものであることが多く、
時には笑いを目的とした猥褻なものもある。


リメリック詩は5行から成っていて、

押韻構成は一般に「AABBA」となる。
韻脚の数は第1・2・5行は3つ(三歩格)、

第3・4行は2つ(二歩格)。


韻脚の種類はさまざまだが、最も典型的なものは、
弱強弱格(Amphibrach)と弱強格(アナペスト)である。


第1行では伝統的に、人物と場所(地名)が紹介され、
行の最後には地名がきて、押韻される。
初期のリメリック詩では、

しばしば第5行は第1行の繰り返しだったが、
これは今では慣習的ではない。


例)作者不詳のリメリック


There was a young lady from Riga, - (A)
who smiled as she rode on a tiger. - (A)
They returned from the ride - (B)
with the lady inside - (B)
and the smile on the face of the tiger. - (A)

大意
「リーガ(地名)出身の若い淑女がおりまして

虎にまたがり微笑みました。

乗虎から戻った時、淑女は虎の中にいて

虎の顔には微笑みが」

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「今ないことを嘆くよりも

今あることに感謝せよ」ということだ。


ベンチャービジネスで成功した人の多くが

創業時は「ないない」づくしだったのだ。


ないものを捜し求めてばかりいると、

手元にある宝物に気が付かなくなる。

今、手にしているものをしっかり確認しておこう。


そして、シンプル・イズ・ベスト!


事業プラン、製品開発、広告戦略、資金繰り・・・

出来るだけシンプルにすること。

他の人には出来ていないことを、

あなたが今やっているとしたら、

それはあなたの柔軟な思考のせいだ。

それがあなたを成功に近づけるのだ。


誰かの描いた金儲けのシナリオに

無批判で乗っかるのではなく、

あなたのオリジナル・アイデアを基に

ビジネスを小さく立ち上げよう。


そのためには、

世間の反応、いや、友人、知人、

そして家族や親戚の反応などに

左右されてはいけない。


あなたのアイデアを形にしよう!

広い世界では、

そのアイデアを今も待ち焦がれている

人たちがいるはずだ。


さぁ、ビジネスを立ち上げよう!


但し、何やってもいいというわけではない。

各人の強みを生かした上で、

市場の「ウォンツ」(「ニーズ」ではない)に

フォーカスしたビジネスを始める必要がある。


その辺りのノウハウをこれからも紹介していこう。


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Jason Fried(ジェイソン・フリード)と

David Heinemeier Hansson(デイビッド・H・ハンソン)

という若者が1999年に、Webデザインの

コンサルタント会社を立ち上げた時、

全社員は彼らを含めてたったの3人だけだった。

(成功した今でも社員は20名に満たない!)


ウルペンのドリームピラミッド-Jason Fried

<JKason Fried>



ウルペンのドリームピラミッド-David H. Hansson

<david Heinemeier Hansson>


ところが、彼らの会社、「37signals 」は、

彼ら自身が作り出した様々なWebツール、

中でも「Basecamp 」が評判となり、

今では世界中にユーザーが3万人以上にも

なっている。


さらに、彼らが発信するブログも評判となり、

読者との交流からまた新たなサービスを

誕生させたりもしている。


そんな成功した彼らが、

「起業してやろう」と思っている人たちへの

率直なアドバイス(従来とは違った視点から

ビジネス・チャンスを見つけて

成長させていったノウハウも含めて)が

評判になっている。


このブログ記事は、

そんな彼らの考え方を含めて

これまでに自分でビジネスを立ち上げようなどと

夢にすら見なかった人々や、

既に会社を立ち上げて成功させ

成長させている人たちとは明らかに違う人たち

のために書くブログ記事だ。


そう、これから「成功しよう」という意欲があり、

一歩踏み出そうと決意した人たちのための

ものだ。


当然、古い価値観の人が読めば、

「そんなバカな!」とか、

「それはたまたまうまくいったんだよ」とか、

「誰にも出来るわけじゃないよ」

といった反応を示すかもしれない。

いや、もしかして、怒りだすかもしれない。


そういう意味では、

この記事は「毒」になる可能性もある。

但し、大抵の「薬」に「副作用」があるように、

「毒」は使いようによっては「薬」になることを

忘れてはいけない。


あなたにとって、「毒」となるか、「薬」となるか、

読んで試してみるといい。



参考文献:『REWORK』

Rework/Jason Fried

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