この記事は、中部大学教授、武田邦彦氏のブログから

記事の転載許可を得て、以前ネコペンギンのブログ

『幸せな成功のための魔法の杖』で連載しておりましたが、

2011年2月18日朝、アメブロによってそのブログが

突然削除されてしまい、ご紹介ができなくなってしまいました。


そこで、ウルフペンギンのこのブログで改めて

ご紹介していくことになりました。

なお、本文中の誤字脱字は訂正してありますが、

基本的に内容はそのままにしております。


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先回、電気代がなぜ高いかを

設備稼働率ということで整理をしてみた。


原発事故が起こった後の3月14日、

東電の設備は6300万キロワットもあるのに、

東電管内の国民が使った電気は、

わずか2800万キロワットだった。


それでも東電は「計画停電」をすると言い張っていた。


その理由は

「原発が事故を起こしたから」ということで、

多くの国民は「仕方が無い」と思った。


・・・


3月14日の状態


電気設備     6300万キロワット


やられた原発   200万キロワット(運転中のもの(203))


差し引き     6100万キロワット(作る事ができた電気)


消費量      2800万キロワット


・・・


えっ!と驚く数字だ。


福島第一原発の発電量は

全部で470万キロワットだが、

事故当時、4号機から6号機までは定期点検中で、

もともと動いていなかったから、3月14日に東電が

「実質的に事故でやられた原発の発電量」は

わずか200万キロワットだったのだ!


残りは6000万キロワット。

それに対して東電管内の国民が使った電気は

2800万キロワットだから、ジャブジャブ余っている。


これほど余っているのに「計画停電」をした。

国民は大変な迷惑を被ったが、政府(経産省)も、

マスコミもこのトリックはほとんど言わなかった。


・・・


どこにトリックがあったのだろうか? 

実は「福島原発が想定外の津波で壊れたから停電」ではなく、

1) 東電は原発だけではなく、火力発電の耐震性もサボっていた、


2) 設備をいつも休ませていた。


の2つが主な原因だった。


繰り返して言いたいのだが、3月の計画停電は、


「地震で福島第一が事故を起こしたから電気が足りなくなった」


のではなく、


「地震や危機に対する東電のあまい体質がもたらしたもの」


だった。


実際に東電はどんな状態に陥ったのだろうか?(単位は万キロワット)


総発電能力                   6266


福島第一で動いていてダメになった量    203


福島第一で休んでいた量             78


津波でやられなかった福島第一        188


津波でやられなかった福島第二        440


地震でやられた火力発電所の量       680


(止まった総量)                 1588


(津波に関係なく泊まった量)         1308


地震後の総発電量               4678
3月14日の消費量               2800


・・・


これでもまだとんでもなく余っていた(約2倍)。


「計画停電」を大々的に発表したが、

現実には実施しなかった。

それは、詳しく調べると現実には

電気はあったということになるからだ。


でも、こうして内容を見ると、ずいぶん印象と違う。


東電は「津波でやられた。想定外だった」と言っているが、

実は津波で破壊したのは、

6266キロワットのわずか3%、203キロワットに過ぎない。


今回の震災はマグニチュード9という大地震だったが、

福島原発は震度6である。

震度6で原発も火力発電もやられて、

電気が来なくなるということになると、

東電は「何やっているのだ。

地震の備えが出来ていないじゃないか!」と言われるので、

福島第一の1から4号機が

津波に襲われたことを全面に出して釈明した。


もちろん、

地震でも津波でも備えなければならないのだが、

実はこの説明もウソなのだ。

本当のところは、

大震災で停止した発電量1588キロワットの内、

実に82%の1308キロワットが「地震」だけで壊れたのだった。


それも震度6以下である。つまり、


1) 現実には3月14日の計画停電は必要がなかった

(設備能力は2倍あった)、


2) 普段から稼働率が低い運転をしていたので、

そのツケがまわった、


3) 計画停電の理由として東電が言った「津波」の影響は

わずか3%だから、これはウソで、「普通の規模の地震」で、

多くの原発、火力発電が壊れたからだった、


というわけだ。


でも、自分たちのミスは「大人しい国民」

と「自分たちをかばってくれる政府とマスコミ」に押しつけるという、

いわば小児病の会社、それが東電のようだ。


・・・・・・


今、滑稽なことが全国で始まっている。


これから来る夏、

電気が足りないから「節電」をしなければならない

と言われている。

それも東京ばかりではなく、名古屋でも大阪でも、

また全国のほとんどのところで冷房温度を上げたりして、

「省エネ」に努めている。


いったい、どうしたことだろうか? 

本当に電気は足りないのだろうか?


東電の福島原発と中部電力の浜岡原発は止めたけれど、

それだけでなんで日本中で「節電」が必要なのだろうか?


また私たちは騙されて、暑い夏を過ごそうとしている。

もう、日本の誠意はどこに行ったのだろうか?


(平成23年6月29日 午後1時 執筆)

武田邦彦


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東電だけならまだしも、その節電対策に便乗して

関電や中部電力など他の地域でも「15%節電を」と

大合唱が起きて、しかもその根拠は全て電力会社が

出してきた数値を元にしており、第三者が一切検証を

行っていない。


国民に対して地域独占で「電気」を販売している以上、

電力会社の販売する「電気」という製品の品質は

相当厳しくチェックされなければならない。


それが、全くなされていない!

マスコミも政府も地域の首長も(もちろん御用学者も)、

時には「なぜ15%なのか」と問うことはあっても、

自ら調べようとはしない。


これは、「茶番劇」としか言いようがない!



by ウルフペンギン