すごい製品やサービスをつくる

最も簡単で最も近道な方法は、

自分が使いたいモノを作ることです。


そうすれば、あなたは

自分が知っているものを

デザインすることができ、しかも

自分が作っているものが

どの程度役に立つかどうかも、

あなたにはすぐにわかります。


37 signals 」では、

私たち自身にとって役立つ製品を開発することで

自分たちのビジネスを構築したのです。


例えば、誰と話をしたか、何を言ったか、

そして、次にいつフォローアップする

必要があるかなど、ビジネスの経過を追う方法を

私たちは欲しかったのです。


それで、私たちは”Highrise”という、

「連絡先管理ソフトウェア」を作ったのです。


フォーカスグループ、市場調査、

または仲介業者の必要性などは

全くありませんでした。


私たちにはかゆみがあったので、

自分たちでそれをひっかいたのです。


新たな製品やサービスを立ち上げる時、

毎日何百もの小さな決定を

しなければなりません。


もしあなたが、

他の誰かの問題を解決しているならば、

暗がりを絶えず突き刺しているようなものです。

(訳注:他人の問題だと、

真の求めるべき答えが分からず、

暗中模索になってしまうということ)


あなたが自分自身の問題を解決しようとした時、

光はやって来ます。

あなたには、正しい答えがまさに何であるか、

ちゃんとわかっているからです。


発明家James Dyson(ジェームズ・ダイソン)は、

彼自身のかゆみをひっかきました。


彼は自分の家を掃除機で掃除している間、

掃除機のバッグ(布or紙のパック)のせいで

次第に吸引力を失っていくことが分かりました。

ホコリが紙パックの孔を詰まらせて、

吸気を妨げてしまうからです。


それは、他の誰かの

想像上の問題ではありませんでした;

それは、彼が直に体験した現実のものでした。

そこで、彼は問題を解決することに決めて、

世界初のサイクロン方式の、

バッグのない掃除機にたどり着いたのです。(*)


ボストン交響楽団で

ティンパニーを演奏している間、

Vic Firth(ビック・ファース)は、

もっと良いドラムスティックを製造するという

アイデアを思いつきました。


彼が楽器店で購入することができた

スティックだと、

プロが使うレベルだとは思えなかったので、

彼は自宅の地下室でスティックを製造して、

売り始めました。


そしてある日、

彼は床にたくさんのスティックを落としてしまい、

それぞれから異なるピッチ(音の高低)を

耳にしたのです。


それが、彼が同一セットのスティックを

含水量、重さ、密度とピッチによって

揃え始めるきっかけとなったのです。


それが結果的に、彼の製品の

キャッチ・コピーになりました。


「完璧なペア」


今日、ビック・ファースの工場では

1日に当たり85,000本以上のスティックを生産し、

スティック市場における62%ものシェアを

誇っているのです。(**)



(つづく)


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*"Fascinating Facts About James Dyson,

Inventor of the Dyson Vacuum Cleaner in 1978,"

http://www.ideafinder.com/history/inventors/dyson.htm


**Russ Mitchell, "The Beat Goes On."

CBS News, Sunday Morning, 2009年3月29日

http://www.tinyurl.com/cd8gjq


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ビジネスを立ち上げる土俵はどこがいいのか?


自分が体験した不便さの解消という土俵が

最適だということだ。


その不便さが、どうなったら「解決」と言えるのか

それが分かっているからに他ならない。


ダイソンの掃除機の逸話は、

世界中で有名な話だ。


彼が体験したからこそ、

母親がしている掃除をもっと楽にしてやりたい、

と思うようになり、その結果、

そんな掃除機を開発しようというのが

製品化の動機だったのだ。


だからこそ、サイクロン方式の掃除機で

どこまで掃除できれば「完成」なのか

彼には、開発に着手する前から

ちゃんと分かっていたのだ。


誰かに命令されただけでは

そうはならない。


それなのに、多くの人が

自分のではない、他人の土俵で

ビジネスを始めようとして失敗してしまう。


起業は思っている程、難しいものではない。

あなたの気付いた不便さを解消すること、

それが、自分の土俵で勝負する

ということなのだ。


難しく考えることはない。

考えすぎて行動が遅れるよりも、

多少荒削りでも思い立ったら行動した方が

早く経験できて、早く軌道修正もできる。


あなたのオリジナル・アイデアを基に

ビジネスを小さく立ち上げよう。


そのためには、

世間の反応、いや、友人、知人、

そして家族や親戚の反応などに

左右されてはいけない。


あなたのアイデアを形にしよう!

広い世界では、

そのアイデアを今も待ち焦がれている

人たちがいるはずだ。


さぁ、ビジネスを立ち上げよう!


但し、何やってもいいというわけではない。

各人の強みを生かした上で、

市場の「ウォンツ」(「ニーズ」ではない)に

フォーカスしたビジネスを始める必要がある。


その辺りのノウハウを徐々に紹介していく予定だ。


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Jason Fried(ジェイソン・フリード)と

David Heinemeier Hansson(デイビッド・H・ハンソン)

という若者が1999年に、Webデザインの

コンサルタント会社を立ち上げた時、

全社員は彼らを含めてたったの3人だけだった。

(成功した今でも社員は20名に満たない!)


ウルペンのドリームピラミッド-Jason Fried

<JKason Fried>



ウルペンのドリームピラミッド-David H. Hansson

<david Heinemeier Hansson>


ところが、彼らの会社、「37signals 」は、

彼ら自身が作り出した様々なWebツール、

中でも「Basecamp 」が評判となり、

今では世界中にユーザーが3万人以上にも

なっている。


さらに、彼らが発信するブログも評判となり、

読者との交流からまた新たなサービスを

誕生させたりもしている。


そんな成功した彼らが、

「起業してやろう」と思っている人たちへの

率直なアドバイス(従来とは違った視点から

ビジネス・チャンスを見つけて

成長させていったノウハウも含めて)が

評判になっている。


このブログ記事は、

そんな彼らの考え方を含めて

これまでに自分でビジネスを立ち上げようなどと

夢にすら見なかった人々や、

既に会社を立ち上げて成功させ

成長させている人たちとは明らかに違う人たち

のために書くブログ記事だ。


そう、これから「成功しよう」という意欲があり、

一歩踏み出そうと決意した人たちのための

ものだ。


当然、古い価値観の人が読めば、

「そんなバカな!」とか、

「それはたまたまうまくいったんだよ」とか、

「誰にも出来るわけじゃないよ」

といった反応を示すかもしれない。

いや、もしかして、怒りだすかもしれない。


そういう意味では、

この記事は「毒」になる可能性もある。

但し、大抵の「薬」に「副作用」があるように、

「毒」は使いようによっては「薬」になることを

忘れてはいけない。


あなたにとって、「毒」となるか、「薬」となるか、

読んで試してみるといい。



参考文献:『REWORK』

Rework/Jason Fried

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